ふと、気がつくと、目の前に翼が落ちていた。 頭の中を古い記憶がよぎった。 道路で見つけた、鳩の死体。 それを掴んだときの柔らかさ、温かさ。 そういえば、その後、その鳩をどうしたのだろう。 記憶がすっぽりと抜けている。 ちょうど、この鳩の翼を見つけたときのように・・・。 今、目の前には、 ひきちぎられたような鳩の羽。 道路には血の痕が点々と残っている。 ふと、手の匂いを嗅ぐと、獣臭いにおい。 鳩の身体はどこに消えたのだろう?