残った翼
1998 6/26


ふと、気がつくと、目の前に翼が落ちていた。
頭の中を古い記憶がよぎった。
道路で見つけた、鳩の死体。
それを掴んだときの柔らかさ、温かさ。
そういえば、その後、その鳩をどうしたのだろう。
記憶がすっぽりと抜けている。
ちょうど、この鳩の翼を見つけたときのように・・・。
今、目の前には、
ひきちぎられたような鳩の羽。
道路には血の痕が点々と残っている。
ふと、手の匂いを嗅ぐと、獣臭いにおい。
鳩の身体はどこに消えたのだろう?


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