霧街
1999 11/25


街を霧が覆う。
街灯から漏れる光。
ぼんやりとくすんで見える。
眼下には街灯。
いくつもいくつも並んでいる。
もっと霧が濃くなればいいのに。
そう。
何も見えなくなるぐらい。
霧は晴れる。
望み通りにはならない。
それでも、わずかの時間だけ。
霧がかったぼんやりした世界の中にいた。
心は現実を離れている。
それを望んだから。
心はない。
霧の中に置いてきたから。
もう。
怖くない。
だから。
さようなら。
誰にともなしに呟きが漏れる。
景色が傾き。
すべては幕を閉じる。


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