街を霧が覆う。 街灯から漏れる光。 ぼんやりとくすんで見える。 眼下には街灯。 いくつもいくつも並んでいる。 もっと霧が濃くなればいいのに。 そう。 何も見えなくなるぐらい。 霧は晴れる。 望み通りにはならない。 それでも、わずかの時間だけ。 霧がかったぼんやりした世界の中にいた。 心は現実を離れている。 それを望んだから。 心はない。 霧の中に置いてきたから。 もう。 怖くない。 だから。 さようなら。 誰にともなしに呟きが漏れる。 景色が傾き。 すべては幕を閉じる。