心話
2000 4/4


「お前ってほんとに笑ってるのか?」

「どうしてそんな風に思うの?」

「なんとなくそう思っただけだよ。」

「誰もそんなことに気づきもしないのに。」


「僕が笑わない理由知りたいかい?」

「別に。 それなりの何かがあるんだろう?」

「君はおもしろくもないのに笑える?」
「楽しくもないのに笑える?」

「笑えないだろうな。」

「だから僕の笑いは作り笑いなんだ。」
「みんな何がおかしくてあんなに笑えるのかわからないよ。」

「楽しいから笑えるんだろう?」
「お前はきっと楽しいの基準が違うんだよ。」

「そうかもしれない。」

「お前も楽しいときは笑うんだろ?」

「楽しいとき・・・わからない。」
「心から楽しいと思えたら笑うのかもね。」

「なんでこんな話を俺にするんだ?」

「なんとなく・・・。」
「僕を知ってほしかったからかな。」

「俺に話してもいいことなんか何もないぞ。」

「いいんだよ、話したかったんだから。」


「君は生きることの意味ってなんだと思う?」

「さあな、考えたこともないよ。」

「僕は生きることに意味はないと思うんだ。」
「だから死ぬっていうわけじゃないんだけどね。」

「楽しけりゃそれでいいんじゃないの?」

「そうだね。」

「君は終わりよければすべてよしって思う?」

「思うよ。」

「その過程がどうであっても?」

「だったら訂正するよ、今がよければそれでいいってね。」

「僕は君が羨ましいよ。」
「僕もそんな風に考えられたらいいのに。」

「考えたらいいじゃないか。」

「そんな簡単にはいかないよ。」


「僕は考える人間は馬鹿だと思う。」
「けど、考えない人間よりは考える人間の方が好きなんだ。」
「気楽に生きるのは楽だけど。」
「考えるということは大事だからね。」

「お前の場合は考えすぎだよ。」
「だからお前は笑えないんだよ。」

「あははは、そうかもね。」

「笑えるじゃないか。」

「誰も笑えないなんて言ってないよ。」

「・・・そうだったな。」


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