その時まで僕は優しかった
2000 8/13


第二笑

僕の飼っていたハムスターが、
巣から出たそうにジタバタしていた
・・・はずだった。

かしっ。

何を思ったか、そいつは僕の手に噛みついていた。
地面から足を浮かせば離すだろうと思ったが
・・・甘かった。
そいつは見事に僕の手にぶら下がっていた。
それどころか機関銃のように僕の指に歯を立てたのだ。

「うぎゃ〜〜〜!」

その時まで僕は優しかったのかもしれない。
僕はとっさにそいつを指先から振り落としていた。
やつらの前歯は固い木の皮すら容易く貫通する。
幸いにも僕の指から血は出ていなかった。
もし僕が我慢さえしていれば、
そいつは噛み付くのをやめてくれただろうか。
しかし、それは考えたくもない恐ろしい話ではある。


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