第三笑 黒いモコモコした毛虫が道を歩いていた。 しかも、結構な速さで。 僕は思わず、手でそいつの進路を妨害をした。 ・・・はずだった。 ところが、そいつは僕の手に登ってくるではないか。 そいつは何かに悩むように首(?)をひねったかと思うと、 僕の手に噛みついていた。 「うぎゃ〜〜〜!」 その時まで僕は優しかったのかもしれない。 僕はとっさにそいつを指先から振り落としていた。 そいつは最初に見たときと同じように、 何事もなく走っていった。 幸いにも僕の指は何ともなかった。 もし、あいつが毒を持っていたとすれば、 僕の指はどうなっていただろうか。 しかし、それは考えたくもない恐ろしい話ではある。