その時まで僕は優しかった
2000 8/15


第三笑

黒いモコモコした毛虫が道を歩いていた。
しかも、結構な速さで。
僕は思わず、手でそいつの進路を妨害をした。
・・・はずだった。

ところが、そいつは僕の手に登ってくるではないか。
そいつは何かに悩むように首(?)をひねったかと思うと、
僕の手に噛みついていた。

「うぎゃ〜〜〜!」

その時まで僕は優しかったのかもしれない。
僕はとっさにそいつを指先から振り落としていた。
そいつは最初に見たときと同じように、
何事もなく走っていった。
幸いにも僕の指は何ともなかった。
もし、あいつが毒を持っていたとすれば、
僕の指はどうなっていただろうか。
しかし、それは考えたくもない恐ろしい話ではある。


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