ジェネレーションギャップ
2000 10/30


惑星にひとつの隕石が落ちた。
すべてはそこから始まった。

「お前達は皆、僕らの奴隷だよ。」

「強いものが弱いものを支配する。」

「これは当然の権利だろう?」

「だから殺されても文句は言えないよねえ。」
眼下の太った男を少年は一瞥した。
男と少年の間には何があったのだろうか。
少年の目は冷たく無慈悲に男を見据えていた。

「ま、待ってくれ、命だけは・・・。」
何か言おうとした男を制するかのように、少年が腕をすっと下ろした。
それとともに男は不気味な音を立てて潰れていく。
男であったものは消え、ただ潰れた肉塊がそこにあった。

「それ、片づけといてよ。」
少年はにこりと微笑む。
白衣を着た男達は身体に寒気が走るのを覚えた。
あれだけ残虐な行為をしたとは思えないほど子どもらしい笑顔。
もっともそれは、彼らがしたことに比べればあまりに優しい。
それだけに、男達は少年の笑顔に恐怖を覚えるのだった。


隕石に付着していたウィルスは人を変質させた。
ウィルス感染者はウィルスによって特殊な力を得た。
彼らはその力を持つ人間をニュージェネレーションと呼んだ。
そして、力のない人間をオールドジェネレーションと呼び、蔑んだ。


それまで無秩序だったニュージェネレーションは、
次第に統一した動きを見せるようになっていた。
強大な力を持ったニュージェネレーションが、
他のニュージェネレーションをまとめ始めたのだ。

「力なきものは、力あるものに従え。」

「それがいやなら、死あるのみだ。」

世界的な状勢では一部の人間とニュージェネレーションは対立していた。
人が奴隷となるのを拒んだ結果と言えるかもしれない。
しかし、その力の差ははっきりしている。
全ての人間が奴隷になるのは時間の問題だった。


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