ジェネレーションギャップ-3-
2000 11/4


「あまりオールドジェネレーションを殺しちゃいけないよ。」

「彼らは大事な労働力なんだから。」

少年はにこりと微笑んだ。
優しそうな微笑みとは裏腹の血も凍るような笑顔。
実際、男の身体には寒気が走っていた。
それと共に男にはある感情が溜まっていた。

「なんで、てめーの言いなりにならなきゃいけねーんだよ!」

男は感情を爆発させる。
男の瞳が金色に輝き始めていた。

「それは、君が僕より弱いからだろう?」

男の敵対行動に動じることもなく、少年はさらりと言ってのける。
それは自分の力への絶対的自信かもしれない。

「てめえ、殺してやる!」

男の身体が光を発し始める。
男と少年の間に青年が割って入った。

「後は、私が。」

青年は少年に跪いていた。

「わかった。」

少年の許可を得ると青年は男に向き直った。
青年の瞳は冷ややかに光をたたえていた。
男は青年の力を知っていた。
少年に楯突いたニュージェネレーションを始末するのを見たことがある。
青年の力は、男よりも強い。
しかし、怒りの矛先を変えるわけにはいかなかった。
それに万が一ということもありえる。

「うおおおおおっ!」

男は吠えていた。


「馬鹿だね。」

「彼に敵わないようじゃ、僕には絶対、敵わないのにさあ。」

男の死骸を見下ろして少年は呟いていた。



「君も僕と一緒に来るかい?」

少年の手が青年に差し延べられていた。
それはまさしく救いの手だった。
地獄のような毎日を過ごしていた彼にとって。

「僕はさ、世界を支配しようと思ってる。」

「あんな愚かな連中にいいようにされてたら馬鹿みたいじゃないか。」

「だから、僕は僕の望む世界を作ろうと思う。」

「君も手伝ってくれるかい?」

青年にとって少年の考えは驚くべきものだった。
しかし、少年の考えがいかようなものであろうとも、
彼の答えは最初から決まっていた。

「君が手伝ってくれるなら僕もありがたいよ。」

少年はにこっと微笑んだ。
その微笑みは少年の年相応の微笑みに見えた。


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