ジェネレーション・ギャップ 外伝-1-
2000 10/30


少女は暗い部屋に閉じ込められていた。
数日前、車に乗せられ少女はこの場所に連れてこられた。
この部屋を出れるのは、死ぬ時だけ。
少女はそれを直感していた。
毎日、一人ずつこの部屋から人が連れ出されていく。
連れ出された人間は帰ってこない。
しかし、それだけではなかった。
少女には連れ出された人間の断末魔の悲鳴らしきものが感じとれたのだ。
そしてその力は、日々強くなっていた。

ある日、少女と一番仲の良かった子が連れ出されていった。
そして、当然の如くそのイメージは少女の中に流れ込んできた。

「ああああああああああああ!!!!」

強烈な苦しみのイメージが少女の中に焼き付いていた。
その瞬間、少女の頭の中で何かが弾けた。


少女が目覚めた時、そこには何もなかった。
自分と一緒にいたはずの人も、そこにあったはずの建物も。
ただ、建物の破片らしきものと、クレーター状になった大地。
そして荒野がそこに広がっているだけだった。
そこに何が起こったのか少女は朧げながら覚えていた。

「あはっ、あははははっ」

何がおかしくて笑ったのだろう。
しかし、少女の瞳からは涙がこぼれていた。

「大丈夫かい?」

背後から声を掛けられて、少女は後ろを振り返った。
そこにいたのは年老いた老婆だった。

「あ、私・・・は」

動揺した少女は言葉を詰まらせていた。
それを見透かしたように老婆は少女に声をかけていた。

「何もお言いでないよ。」
「例え、あんたが何者でも私は気にしないから。」

その言葉で少女の中で張り詰めていた糸が切れた。

「うわあああああ!!」

少女は泣いていた、老婆の胸の中でずっと。
その心が落ち着くまで。


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