ジェネレーション・ギャップ 外伝-2-
2000 10/23


「お前らに、やめろなんて言う権利があると思うか?」

「弱いやつはな、強いやつに逆らう権利なんてないんだよ!」

「だから、お前らは何をされても文句は言えねえんだ!」

男が怒鳴る度に少年の身体には激痛が走った。
男はこの研究所の所長だった。
この研究所を自由にする権利が男にはあった。
その権力を象徴するかのように男の体は醜く肥え太っていた。


少年はウィルス感染者の一人だった。
身寄りのないウィルス感染者は、こうした施設に連れてこられていた。
それというのもウィルス感染者は、
特殊な力を持つということがわかったからである。
施設ではその能力を引き出すための、様々な人体実験が行われていた。
それはもはや拷問と言っても差し支えはなかった。
そんな過酷な人体実験を少年達は受け続けていたのだ。


蹂躪される少年の中では、ひとつの思いが燃えていた。
いつか、必ず殺してやる。
こんなことを考えたやつを皆殺しにしてやる。
いかな苦痛も少年の心の炎を絶やすことはなかった。
むしろ、それは少年の中の炎を焚き付ける結果にしかならなかった。


椅子に縛りつけられた少年の身体に電流が流される。
その瞬間、少年の中で何かが弾けた。
少年に電気を流していた機械が吹き飛んでいた。
少年の身体は発光現象を起こしていた。
そして、その瞳は金色に輝いている。
なぜか、少年にはわかっていた。
それの使い方が。
少年を拘束していたものが弾け飛ぶ。
力を手にした時、少年は最初にすることを決めていた。
それは実験されている間、ずっと夢だったこと。
その夢が今、彼の目の前にあった。


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