助成金をしっかりもらおう!

リーマンショック以降の不況対策として、雇用状況の改善のためにいろいろな助成金制度が創設されています。
これら助成金、元々は雇用保険の事業主負担分が原資ですので、遠慮は不要。
受給できるものはもらうに越したことはありませんが、そのためには必要な条件をしっかりと押さえておくことが大切です。

○ どういう時に助成金がもらえるのか
 
助成金の主な目的は雇用の維持、改善ですから、たとえば

 ・ 新しく就職が困難な人を雇用する
 ・ 今まで不安定な雇用状況だった人を安定的な仕事に就かせる
 ・ 従業員の能力を向上させるために訓練を実施する
 ・ 福利向上のために新しい施策を実施したり、施設を整備する

といった場合には何らかの助成金が受給できる可能性があります。

ただし!
 事前に手続きをしておかないと、雇った後からでは受給出来ない場合もあります。


以下に主な助成金をピックアップしておきます。

◎ 受動者喫煙防止のための助成金



本年10月1日より、開始が予定されているのが受動喫煙防止対策助成金です。
  対象業種が飲食店、喫茶店、又は旅館業(いずれも中小企業のみ)に限られていますので、どこの事業所でも
利用できるというものではありませんが、最近各地でこれらの業種については喫煙室を設けない場合は、
全面的な禁煙が必要とする条例を制定・推進する動きが起こっていますので、
該当業種はこれを利用して喫煙室の設置を進めることも検討されてはいかがでしょうか。

○ 助成金の額
 
  喫煙室設置に係る費用の1/4(上限200万円)が助成金として受け取れます。
喫煙室設置に500万円かかかった場合は125万円、800万円以上かかれば満額の200万円が受給できます。

  ○ 注意点
  
  受給のための手続きについて、詳細はまだ発表されていませんが、助成金を当てにして先に工事を始めて、
設備を完成させても支給されない場合があります。
 過去の助成金の受給方法から推測すると、喫煙室の設置に関する計画を提出して
 認可を受けてから着工し、完成後に申請・支給されることになると思われます。



◎ 3年以 内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金

卒業後3年以内の大学等の既卒者も応募可 能な新卒求人を、ハロー ワークまたは新卒応援ハローワークに提出し、大学等の3年以内の既卒者を正規雇用した事業主に支給されます。

対象となるのは

  1. 大学等を卒業後3年以内の既卒者(本年度は平成20年3月以降の卒業者が対象にな ります)

  2. 1年以上継続して同じ会社等に雇用された経験のない人
 
  3. ハローワークまたは新卒応援ハローワークに求職登録をしている人
 
  上記1から3のすべてに該当する人をハローワークまたは新卒応援 ハローワークの紹介を通じて雇い入れる事が必要です。

支給額 

    正規雇用での雇い入れから6か月経過後に100万円

    ◎ 雇用人数に関係なく事業所単位での支給となります


◎ 3年以内既卒者トライアル雇用奨励金

  既卒者トライアル求人をハローワークまた は新卒応援ハローワーク に提出し、ハローワークまたは新卒応援 ハローワークからの紹介により、 原則3ヵ月間の有期雇用として 雇い入れ、その後に正規雇用で雇い入れた事業主に支給されます。

  どういう人を雇い入れると支給されるのか、具体的には

 1.平 成20年3月以降の新規学卒者で就職先が決っていない人(平成22度の新規学卒者 については、卒業日以降に対象になります)  対象は中学、高校、高専、短大、大学(院含む)専修学校など
 
 2.1 年以上継続して同一の事業主に正規雇用された経験がない人

 3. 40歳未満の人

 4.ハ ローワークまたは新卒応援ハローワークに求職登録を行い、就職先が未決定で、正規 雇用の実現のためには既卒者トライアル雇用を経ることが適当であると公共職業安定所長が認める人

   支給額

  有期雇用期間(原則3か月)  月額10万円(上限30万 円)

  その後の正規雇用雇入れ 正規雇用から3か 月経過後 50万円
  
  ◎ 当助成金は対象者1名ごとに上記の額が支給されます。


 
 ○「派遣労働者雇用安定化特別奨励金」
派遣労働者を派遣先が雇用した場合に支給される助成金ですが、具体的には以下の二つのケースが対象となります。

 @6か月を超える期間継続して労働者派遣を受け入れていた業務に、派遣労働者
を無期または6か月以上の有期(更新有の場合に限ります。)で直接雇い入れる
場合。
A労働者派遣の期間が終了する前に派遣労働者を直接雇い入れる場合。

助成金の額は


期間の定めのない労 働契約の場合

6か月以上の期間の 定めのある労働契約の場合

大企業

計50万円

6か月経過後

25万円

計25万円

6か月経過後

15万円

1年6か月経過後

12万5千円

1年6か月経過後

5万円

2年6か月経過後

12万5千円

2年6か月経過後

5万円

中小企業

計100万円

6か月経過後

50万円

計50万円

6か月経過後

30万円

1年6か月経過後

25万円

1年6か月経過後

10万円

2年6か月経過後

25万円

2年6か月経過後

10万円


○ 若年者等正規雇用化特別奨励金(平成24年3月31日まで)

『年長フリーター及び30代後半の不安定就労者』又は『採用内定を取り消されて就職先が未決定の学生等』を正規雇用する事業主が、一定期間毎に引き続き正 規雇用している場合に支給されます。
対象者を雇い入れた場合中小企業は100万円大企業は50万円が支給されます。

具体的には
☆ 年長フリーター等(25歳以上40歳未満)を正規雇用する場合

 @ 直接雇用型   
  ハローワークに奨励金の対象となる求人を提出し、ハローワークからの紹介により正規雇用する場合(求人票に当該対象者を募集する旨を記載することが必 要になります。)が該当します
            
          ○ 対象となるのは
             ・対象者の雇入れ日現在の満年齢が25歳以上40歳未満
             ・雇入れ日前1年間に雇用保険の一般被保険者でなかった者、その他職業経験、技能、知識等の状況から奨励金の活用が適当である と安定所長が認める者

 A トライアル雇用活用型   
           ハローワークからの紹介によりトライアル雇用として雇い入れ、トライアル雇用終了後、引き続き同一事業所で正規雇用する場合が該当 します
                   
          ○ 対象となるのは
              ・トライアル雇用開始日の満年齢が25歳以上40歳未満
              ・トライアル雇用開始日前1年間に雇用保険の一般被保険者でなかった者

 B有期実習型訓練修了者雇用型     
           対象となる範囲が限られていますので、事前にハローワークにお問い合わせください。

☆ 採用内定を取り消された方(40歳未満)を正規雇用する場合
・ハローワークに奨励金の対象となる求人を提出し、採用内定を取り消されて就職先が未決定の新規学校卒業者をハローワークの紹介により正規 雇用する場合 (求人票に当該対象者を募集する旨を記載することが必要になります。)
 
○ {緊急人材育成・就職支援基金」による実習型雇用支援事業

 新規成長・雇用吸収分野等において、非正規離職者など十分な技能・経験を有しない求職者を実習型雇用により受け入れ、最初の6ヶ月間を有期雇用の実習期 間とし、その後、正規雇用した事業主に対して支給される助成金です。

  ・実習期間中は1か月10万円
  ・正規雇 用後6か月経過した時点で雇用が続いている場合50万円
  ・その6ヵ月後にも50万円

  助成金の支給総額は160万円となりますが、人数に制限はないので、この制度により3人を雇い入れた場合は1年半の間に480万円が受給出来ます。


失敗しないために!!
具体的な行動は最後に  

助成金は、新しく人を雇う、従業員ための新しい制度を設ける、不況で仕事がないので従業員を休業させるなどの企業のアクションに対して支給される制度です が、その前にクリアしなければならない事がたくさんあります。
具体的な行動(新規雇用、制度創設、休業など)を起こしてからでは
後の祭り。 

具体的なアクションは一番後回しでい いのです。

◎ 殆どの助成金制度で定めている主な支給要件は  
・雇用保険の適用事業所であること   
・過去(少なくとも2年間)に労働保険料の滞納がないこと。
・ 従業員を会社都合で退職させていないこと (概ね過去1年から6か月以内。受給後も同様の場合アリ)
・職安、または一部の民営職業紹介を通じての雇用であることが条件となる事が多い。 (職安等の紹介状が必要)。
・行動の前にまず相談・問い合わせを。事前に計画の提出など、準備が必要な場合があります。


 かならず、事前に社労士に確 認や相談を。   

 ○ 雇用調整助成金の需給要件や支給内容が拡充されています。
  08年暮に創設以来、利用が急増している中小企業緊急雇用 安定助成金(中安金)は  受給しやすいように何度も要件の緩和などが行われています。
  しかし、実際に休業に入る前に届を出しておく事が必要な点は変更されていません。地域によっては申請の窓口が混雑しているため、かなり時間がかかる事 がありますので、休業計画は余裕を持って作成するようにしましょう。
    休業させてから申請し ても助成金はもらえません。

 ◎ そのほかにも出勤簿や賃金台帳、就業規則が整備されていないと、受給が困難な場合があります。


社会保険労務士 小見山 敏郎  
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