誤解していませんか 通勤災害

 通勤途上の災害に対して、労災とほぼ同様の給付が受けられるようになったのは1973 年からです。以後、4半世紀にもなろうと言うのに、通勤災害に関して正確に理解してい ない人が意外と多いのには首を傾げてしまいます。企業の担当の人でさえ、よく理解して いないのではと思うときがあります。
その誤解の中でもっともよく見受けられるのが、 会社に届け出た以外の経路や方法で通勤しているときに災害にあっても通勤災害にならな い、と言うものです。例えば、会社にはバスで通勤すると届けておいて、実際には自転車 を使うという人は、割といます。そんな人で、通勤の途中で事故にあったが通勤災害になら ないので困った、という人がいます。自分で勝手にそう判断して、会社へ届 け出をしない人もあるようです。交通費を貰っているのに、他の方法で通勤していたこと で、何となく後ろめたいような気になるのは分かりますが、困ったで済んでいる内はまだしも 何ヶ月も入院しなければならないような場合どうするのでしょう。相手があれば、そこ からと言うこともできますが・・・。

正しい通勤の定義

 労災保険法第7条に規定された通勤とは、「労働者が就業に関し住居と就業の場所との 間を、合理的な経路及び方法により往復すること」をいいますから「合理的な経路及び方法」 で通勤していれば会社に届け出た方法と違っていても問題はないのです。この「合理的な経路お よび方法」とは当該住居と就業の場所とを往復する場合に、一般に労働者が用いるものと認めら れる経路及び手段等を言う」(則8条)とされており、会社に届け出た方法による必要はありません 。 会社では、採用時などに通勤の経路や手段について届けを求めることがあります。 これは、交通費の支給や、通勤途上で事故が発生した場合に通勤災害に該当するかどうかを推測 するためのものです。私はこの方法以外では通勤いたしません、と言う誓約書ではありません。

間違った理解の下地

 会社に届け出たのとは異なる方法で通勤する理由の一つに交通費を浮かすというのがあります。 している本人は何となく後ろめたい気持ちになってしまうので、それもこの間違った理解を 助長する下地になるのでしょう。それに、「ちゃんと交通費を出しているのに、自分勝手なこ とをする奴だ。そんな奴が保障を受けられるはずがない」と端から手続きをしてくれない 無知な担当者がいるところさえあります。
そのような場合が決して少なくないようで、FAQにもそれに関連した質問が多く寄せられています。
対処の方法として一番無難なのは、労災に関する本を持参して、 先述した、労災法第7条の条文を示し説明を求めることです。

通勤災害はまず届け出を

 通勤途中で事故にあった場合はすぐに事業所に届け出て、通勤災害の給付が受けられるよう手続きをして貰いま しょう。ただ、会社に届けてある経路上であっても、そうでなくても「一般に労働者が用いるものと認められる経路 及び手段」で通勤している事が必要です。何でも通勤災害に該当するわけではありません。 しかし、それが通勤災害に該当するか、しないかを決めるのは事業主でも事務担当者でもなく労働基準監督署長です。 その点はお忘れ無く。
尚、会社が通勤手段としてバスなどを運行している 場合は、途中の事故は通勤災害ではなく労働災害になります。

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