作成:1998/07/01
更新:2016/01/15

     
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    -「九重昆虫記〜昆虫の心を探る〜第9巻」の表紙 -
                   ◆私(實川 紀)の実兄(宮田 彬)が昨年秋に続いて『九重昆虫記』- 第9巻 -が、2014年7月20日
                    刊行されました。  

                   『九重昆虫記』第9巻が、2014年7月20日刊行されました。申し込みを受け付けています。
                    本の題名は「九重昆虫記〜昆虫の心を探る〜第9巻」宮田 彬(みやた あきら)/著
                   B6判・上製・391ページ 定価2,376円(本体2,200円+税8%)
                  【発行所】(資)エッチエスケー 〒162-0041 東京都新宿区早稲田鶴巻町525 黒沼ビル101
                                    tel 03-5155-6552 fax03-5155-6553
                                      http://homepage3.nifty.com/praonhsk/
                    著者は大分県九重山中の地蔵原に設けた自然史研究所を中心に九重周辺に生息する昆虫の
                   多様で個性的な生活をカラー写真と平明な文章で紹介する。昨年春より滋賀県草津市にて
                   暮らしております。

                  【主な目次】◆『九重昆虫記』━ 第9巻 ━
                       ◇九重昆虫記第9巻-序文-
                       ◇第III部 ━ 庭のチョウのモニタリング ━ 22頁〜74頁 24章
                       ◇第IX部 ━ 鱗翅目幼虫の進化 補遺 ━(第8巻IX-164から続く)78頁〜362頁 284章
                       ◇付表 364頁
                       ◇索引 386頁

                  【ご注文は】お近くの書店で「地方小出版流通センター取扱品」
                                    [ISBN978-4-902424-16-4 C0045 \2200E ]
                                        定価 2,376円(本体2,200円+税8%)

                   ◆公益財団法人「渋沢栄一記念財団」の『青淵(せいえん)1月号』に、実兄(宮田 彬)のエッセーが
                   載っていました。  

                   ◇随想『わが青春は奈良にあり』宮田 彬  

                    草津市に移ったおかげで忘れていた私の青春の地奈良を訪れる機会が増えた。この夏、奈良国立
                   博物館で白鳳時代の仏像が多数展示される特別展が開かれたので妻と見に行った。そして私に大きな
                   影響を及ぼした亡き学友佐藤優君を偲んだ。彼は大和古寺巡礼を目的に水戸から奈良学芸大学(現奈良
                   教育大学)に入学し美学・美術史を専攻した。彼の知識は単に仏像や古美術だけに限らず、それらが
                   作られた史的背景や時代精神にも及んでいた。卒業のとき、彼の才能を惜しんだ京大の某教授が大学院に
                   来ないかと勧めたが、アルバイトをしながらやっと卒業した彼にとってそれは高嶺の花だった。彼と
                   いっしょににまだ俗化していなかった飛鳥や斑鳩を訪ね、赤々と燃える夕日を眺めたことが何度かあった
                   だろうか。彼との出会いは強烈だった。数百冊の蔵書に囲まれた彼の下宿を訪ね夜明けまで話を聞いた。
                   和辻哲郎に私淑、その著書は完璧にそろっていた。そのころ和辻とは何者かまったく知らなかった理系の
                   私にとって、和辻の訃報に接し直ちに上京し、葬儀場の外で一度も会ったことのない心の中の師匠を
                   見送ったという、彼のような男の存在は私の理解を超えていた。彼から多くを学んだが、私が彼に教えた
                   ことは何もない。
                    いや一つだけある。ひょっとするとそれが彼の死を早めた遠因かもしれない。子供の頃の私の夢は、
                   探検家になって マレー半島で昆虫を研究することだった。しかし高校時代に肺を患い、その夢は諦めて
                   いた。しかし健康が少しずつ回復すると山岳部の山歩きに加わった。山岳部と言っても学芸大学は女性が
                   多いから一・二泊のハイキングのようなもので奥吉野に月一回出かけた。彼は私の山の話を黙って聞いて
                   いるだけで誘っても一度も来なかった。く
                    卒業して私は東大寺学園に努め、彼は白鳳美術の研究を完成したいと卒論だけを残して留年した。その年の
                   秋なると彼がぶらりとやってきて、奥吉野へ行くから山の道具を貸せという。そして奈良からバスで七時間
                   かかる和歌山県に近い下北山村の山中を一人で歩いているとその村の教育長と偶然出会い、その家に泊めて
                   もらい、すっかり意気投合してそこの分校の先生を引き受けてきた。彼が山歩きを始めたのはそのころからで、
                   毎年のように賀状が冬山から届くようになったのはそれから数年後のことだった。
                    私は長崎大学に移り、フィリッピンに出かけてマラリアの研究に従事した。探検家になる夢は捨てては
                   いなかった。一方、彼は付属中学に移り、日本ヒマラヤ協会のアフガニスタン北奥の登山隊に加わっていた。
                   それから二○年ほど後、そのときの隊長有田豊氏(昆虫学者)と学会で、出会い佐藤君がアルゼンチンの
                   日本人学校に勤め、休暇を取り登山に向かう途中に交通事故で死んだと聞いた。そのときまは胸の中に
                   ぽっかりと穴が開いたように感じた。
                    それからまた三○年経った。もし佐藤君と出会っていなかったら、私の青春は和辻哲郎やアリストテレスを
                   知ることもなく、飛鳥・白鳳時代とはどんな時代か知らなかっただろう。佐藤君がいたから私の青春時代は
                   日本の青春時代と重なって、飛鳥、白鳳と聞くか、その文字を見るだけで今も胸がときめく。振り返れば
                   人生には多くの出会いと別れがあった。私にとって大学とは人間の知的世界がどんなに広く、奥深いかを
                   教えてくれた場所、そして学問の面白さを知った場所だ。もちろん私自身も何をするにも全力で取り組んで、
                   燃えていた時代だから、人並みに「天空の城のお姫様」とかなわぬ恋の物語もあったが、その話はまた
                   いつかお話ししよう。                                          (大分医科大学名誉教授)

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