青柳さんへの不当弾圧を許さない会ニュース


青柳さんへの不当弾圧を許さない会
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23号
(1996年2月27日)
許さない会ニュース23号
   弁護団・一時間にわたる控訴趣意の陳述
   −控訴審第一回公判− 
   弁護団 矢野 正剛

 改正入管法の運用におけるリーディング・ケースと言うべき青柳事件の控訴 審(福岡高義判所第一刑事部坂井智裁判長)の第一回公判が一九九七年二月一 七日午後一時三〇分に、福岡高等裁判所三〇一号法廷で開催された。

 弁護側による一時間にわたる控訴趣意の陳述と検察側の答弁がなされた。検 察側の答弁書は、弁護側一五七頁にわたる控訴趣書を充分に検討して、高検と して珍しい位詳細なもので、一審の論告と比較しても検察官の『仕事のあと』 が伺える。
 (もっとも、その具体的内容は控訴趣音のうち反論しやすい部分について原 判決を要約し引用して、弁護側の所論は理由がないとするものである。)

 それから、弁護側により青柳さん自宅前の石鹸製造会社社長の小舘氏、吉塚 カトリック教会の共助組合理事長の冨永氏、『解放の神学』実践者である大阪 市「ふるさとの家」の本田神父、外国人救援活動をしている川崎市の小林神父、 奈良保証人バンク主催者で樫原市議の平沼氏を各証拠申請がなされたが、裁判 所は証拠の採否につき、合議の結果、小舘氏を鉦人として採用し、次回公判期 日(三月一七日午前一〇時から一二時)に調べることになった。

 控訴審の争点は、青柳さんの本件ペルー人らに対する援助活動(原判決すら 『人道主義に根ぎした崇高なもので、同時に入国管理行政を補完する意味合い があった』と認定し、評価している)の一部としてなされた「就労先の紹介」 が、不法就労助長罪に該当するか否かである。

 昨今の厳しい経済情勢の中で発生した在リマ日本大使館占拠人質事件によっ て、在日ペルー人の生活環境にも、ますます厳しさが増していることがさまざ まな形で報告されている。本件はもともと、高度経済成長の頂点を迎えた一九 八〇年代のバブル経済において、国が何らの将来的な展望や定見も持たないま ま『日系人』を理由として外国人単純労働者を導入したことに原因があり、青 柳さんと福岡入国管理局は、コツコツとその『入管行政のツケ』を支払い続け たのである。

 そもそも民族、国家、国境は『人が人を支配するという欲望』の産物であり、 『法』も、その手段として編み出されたものである。青柳さんは、それら利己 的・便宜的な権力装置とは相いれない、自己の信仰に基づく普遍的な「人類愛」 の証として本件行為をなしたのである。そして、我が日本の法律家の通念では 『信仰』は内面的な存在に留まるものとされ、六法には、そもそも『人類愛 (単なる愛も)』は一切規定されておらず、いわんや『人類普遍の愛(汝の隣 人を愛せよ)』等は到底理解し難いものである。すなわち、本件は『国家(社 会)』と『人(個人)』のそれぞれのあり方そのものが衝突した事案であり、 実に今日的な問題を提起しているのである。

 丸山文男は「日本人の政治意識は民主主義も自由主義も『すべてを儀式とす る』ことにある」と書いている。橋本治もその近著で「明治以来日本に未だ近 代はなかった」「個人主義という名の元に、各人がバラバラの自分勝手な基準 で生きてきた」と書いている。そのような日本人の多数にとって、青柳さんの 行為がほとんど理解の範囲外にあるのは当然なように思われる(『憲法も法』 であり、『御上のなせる技』として受け入れるべきものなのである)。

 キリストは「心貧しい者は幸いなり」と教えた。そして、原判決が示したの は、今の日本では『何もしないことが一番よい』ということである(これは平 均的な日本人の常識でもあろう)。
 このような心貧しき我ら日本(人)は、これらの外国人とどのように共存し ていくつもりなのか。そのことを、いつ、だれから、どにようにして学ぶのだ ろうか。次の世代に何をどのように伝えていけばよいのか。
青柳さんの裁判を見ているとふとそのような思いにとらわれる。

 言い換えれば「私が青柳さんならあの時、ベルー人にどうしたか」という問 いに自分自身なりの答を見つけることが、私にとっての本件裁判の本当の意義 であるように思えてならない。

ついに、地労委結審。
後は、救済命令を待つだけ。

 青柳さんの勤務先である明治学園は、刑事裁判の一審判決を理由に青柳さん を無給休職処分に付し、青柳さんと家族の生活を困窮のどん底につき落とした ままにして平然としています。私たちは、一審判決後明治学園に対して青柳さ んの復職を求めています。現在、青柳さんは釈放されており、執行猶予判決で すから将来的にも収監される可能性は全くありません。現時点で、青柳さんが 復職することについて、法律的に問題になることはないのです。にもかかわら ず、学園側は青柳さんを一方的に休職処分にし、しかも無給で私学共済の資格 まで奪っているのです。

これがキリストの福音を標榜するカトリック学校のすることでしようか。

門を閉ざす学園

 私たちは、青柳さんの所属する福岡地区合同労働組合とともに明治学園に対 して、青柳さんの復職と生活保障を求める話し合いを要求しています。ところ が、明治学園は私たちの話し合い要求に対し、門を閉ざし警察官まで呼んで私 たちを排除し、横断幕をハサミで切ったり組合旗を地面に放り投げたりする不 当労働行為を繰り返しています。
 現在、この学園側の団交拒否が福岡県地方労働委員会(地労委)で不当労働 行為として裁かれています。

学園側反対尋問

 一月一七日この地労委の第二回審問が開かれ、青柳さんに対する学園側から の反対尋問が行われました。

 学園側はこの日の反対尋問で、�\通�さんが担任を持ったことが無い、とか ��刑事裁判の一審判決の根拠を聞いたりするようなことしかできませんでした。 こうした事柄は、学園側の団交拒否という不当労働行為とはなんら関係のない もので、私たちから「不適切な尋問として」異議を受け、地労委の審査委員か らも度々注意を受ける有り様でした。結局、この日の反対尋問では、学園側が 青柳さんのペルー人支援活動を非難する一審判決と同じ立場に立っていること が明らかになっただけで、学園側の団交拒否を正当化するような立証は何一つ できませんでした。

最後陳述ー結審

 こうした証拠調べを経て二月一七日に最後陳述が行われ結審しました。 後は、救済命令を待つだけになっています。
 最後陳述における申立人組合の主張の趣旨は次のようなものです。

1、理事長海外出張を理由とする団交拒否について
 � ∋篶�学校法三七条三項には理事長に事故があるとき(海外出張等)は、 他の理事が、理事長の職務を代理し、または理事長の職務を行う」ものとされ ている。

 �◆⇒�事長海外出張中の青柳氏に宛てた一九九六年六月一二日付け私学共済 貸付金め返還を求める文書の名義は理事長今泉ヒナ子名義となっている。  ��、帰国後も、理事長は団交要員になっていない。

2、一方的団交ルールの設定について
 理事長が帰国すると、続いて学園は、一方的に日時、場所、団交 人員を指 定、制限して、これに申立人組合が従わなければ団交に応じないとしてきた。

 これに対して、組合が団交ルールの制定に向けての事前折衝を要求しても、 学園側はこれを拒否し、事前折衝のための窓口を改定するょう求めても、これ をも「必要ない」として拒否し、電話による折衝をも拒否し続けてきた。これ では、誠実な団交拒否どころか両者が出会う場すら設定できないのは明らかで ある。一方的に団交ルールを指定してこれに従わなければ、団交に応じないと 言う姿勢は団交拒否に該当することはすでに、判例としても定着している。

3、地労委あっせんの拒否
 組合と「許さない会」が地労委にあっせんを申請し、地労委は学園に対して あっせんの場に望むように説得を尽くしたが、学園はこれをも拒否した。学園 の姿勢を如実に示すものといえよう。

4、警察官の指導すら無視
 事前の折衝ができないため、組合が直接被申立人学園に団交要求にいくと、 学園は門扉を閉ざし、後援会を動員し団交要求を排除し、警察権力まで導入し て弾圧を画策してくる。また、自らが要請した警察官の「日時に関する事前折 衝に応じるよう」との指導にすら耳を貸そうとしなかった。

5、「団交をボイコッ卜しない」旨の文書提出要求について
 あまつさえ、学園は申立人組合に対し「団交をボイコットしない」旨の文書 の提出を求め、これに応 じなければ、団交要求に対する具体的回答すらしな いという意思表示をなしている。

 組合がかかる文書を学園に提出することは、�/塾�人組合がこの間団体交渉 をボイコットしたことを自認することであり、�∈8紊涼銚鬟襦璽襪砲弔い董� 一方的に被申立人学園のルール設定に無条件に従う旨を表明させられることで あり、申立人組合が到底受け入れることができないことは明らかである。

6、行事「妨害」について
 学園は、申立人組合が事前になんの連絡もなく押しかけてきて学園側行事を 混乱させている等と非 難するが、組合がこうした混乱を 避けるために事前 に学園に電話を入れてもこの取り次ぎすら拒否し、事前の日程の協議のための 窓口を開設するよう求めてもこれを拒否 する態度と齟齬をきたしているこ  とを理解しないのであろうか。理解に苦しむところである。組合こそが、事態 の混乱を避けるために団交ルールの制定やそのための窓 口の開設を一貫して 要求し続けているのである。

 事前の協議や折衝を拒否しておいて、学園に来るなと主張することは、結局 団体交渉権を放棄せよ と要求することにほかならず、団結権、団体交渉権及 び団体行動権(争議権)等の労働基本権を保障した憲法28条や労働組合法の趣 旨を理解しようとしない暴論であり、被申立人学園の前近代的かつ非民主的姿 勢を露わにするものでしかない。

傍聴記から

 カトリック青年労働者連盟
   (JOC)
 全国協力司祭 沢野 耕司さん

『権利について』

 権利は本来、誰か人によって与えられるものではない。まして法律や規則に よって権利が生まれるものでもない。

 権利は、生まれながらにして人がもっている (キリス卜教的に言えば、神 から与えられている)ものである。

 また、権利は義務に先行するものである。義務を果たすことによって、権利 が生まれるものではない。
 しかし、人は社会的存在であり、生まれながらにして限界を背負う存在でも ある。そこから、個々人が権利を行使しようとするとき、往々にして他者の権 利とぶつかる。このときに法律や規則が必要となり、あるいはそれに伴う義務 が生じる。

 法律や規則は個々人のもっている権利が守られ、スムーズに行使されるため に作られ、それは人間社会において有用不可欠なものである。
 しかし、それは同時に両刃の剣のように、一歩間違えば非常に危険なもので あり、個人の権利を容易に侵害するものとなる。

 生存権は、あらゆる権利や義務に優先する、人の基本的権利である。それは、 国籍や人種を越えて、万民が等しくもつ権利である。国籍は、人によって作ら れたものでしかない。したがって、国籍を理由に生存権に制限を加えるような 場合、例えばある国への国やそこでの労働、就学などを制限するような場合、 相当の事由の存在と慎重さが必要である。

 今日、国・家や企業が経営の名において至る所で、そしてあらゆるレベルで 個人の権利が不当に侵害されており、真の意味での人間性が失われている。  青柳さんのこの裁判と労働争議を単なるヒューマニズムや同情的な愛といっ たものではなく、もっと深い人間の尊厳そのものを取りもどす闘いとして、今 後も支援していきたい。

 以上、二月一七日朝の明治学園前での就労闘争と午後からの裁判、そして、 一九日の地方労働委員会での申し立てに参加して、改めて決意したことである。

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控訴審を迎えて
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 二月一七日の控訴審で、弁護団六人、一人一人の心のこもった力強い陳述に、 熱い思いと新たなる決意がわきあがりました。
地元、福岡の方々を始め、北海道、東京、大阪、大分、岡山等から多くの傍 聴者(七十余名)がかけつけて下さいました。本当に心強い思いの中で迎えま した。
 この日の明治学園への就労闘争と一九日の地労委の審問にも、裁判傍聴と併 せて多くの方が参加して下さいました。

 皆様に支えられて今日まで「座して死を待つだけ」から、立ち上がってやっ てこれました。私をはじめ家族一同、言葉では言い表せない感謝の思いでいっ ぱいです。今後とも変わらないご支援をよろしくお願いいたします。

                           青柳 行信
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 カンパのお願い

 毎度のお願いで心苦しいのですが、またカンパのお願いをさせて下さい。  現在の明治学園の姿勢からみて,青柳さんへの無給処分を撤回させることは 容易ではありません。闘いは長期化が予想されます。

 一方、青柳さんと家族は、子どもたちの受験期を迎え、共済組合の資格まて 奪われて保険まで倍額負担(学園側負担分を含む)を強いられるという苛酷な 経済的困窮を強いられています。明治学園の兵糧攻めともいえる卑劣な生活破 壊攻撃から、青柳さんと家族を守っていく必要があります。

 加えて、現在明治学園への就労闘争用に使用しているボンゴ車は、青柳さん か知人が廃車して倉庫代わりに使っていたものを譲って頂いたもので、はっき り言ってボロです。雨漏りはするし、風でドアが開きそうになるし、高速道路 を走るとガタピシいって正直こわくなる時があります。この車も四月で車検を 迎え、なんとかこの就労闘争用のボンゴ車を手当する必要にも迫られています。

 毎度のお願いなから、青柳さんの生活と闘いを防衛していくためのカンパを 切に訴えるものです。
          事務局長 筒井修

カンパ振込先
振込番号は 01710-7-86042

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