青柳さんへの不当弾圧を許さない会ニュース


青柳さんへの不当弾圧を許さない会
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青柳さんへの不当弾圧を許さない会ニュース第27号(1997/7/27)



●第5回公判
8月5日(火)午後1時30分〜4時
弁護側証人 平山論 (橿原市市議会議長)
外国人労働者・奈良保証バンク

福岡高等裁判所501号法廷(地下鉄赤坂駅下車2番出口)

●第6回公判日9月25日午後1時半〜4時




外国人との共生が教会の優先課題
第4回控訴審で、小林賢吾さんが証言

青柳さん個人でも教会の活動

青柳行信さんの第四回控葬審は、7月1日午後1時半から福岡高裁の五○一 号法廷で開かれ、弁護側証人として横浜教区の「滞日外国人と連帯する会」( 以下「連帯する会)の小林賢吾さん(フランシスコ会司祭)の尋問が行われま した。

前回の本田哲郎神父への尋問では第ニバチカン公会議で、すべての教会メン バーに社会的不正義に立ち向かうことがうたわれ、聖書に「寄留者」(移住労 勘者)を同胞として授助することを求めている、と証言されました。これを受 けて、今回は直接、現場で外国人支援活動に携わっている小林さんの活動を通 じて、資格外や超過滞在者に対する入管の対応、教会と個人の活動との関係な ど青柳さんとの関わりで有利な証言を聞き出すことに成功しました。

超過滞在者の相談が多い

牟田哲朗弁護士は、まず「連帯する会」の活動内容を聞かれました。「連帯 する会」の昨年の相談件数は五九四人、相談人数は五二一人で、外国人の定住 化に伴って婚姻閣係、子どもの国籍など生活全般にわたる相談が多く、相談者 の九割がオーバースティ(超過滞在者)です。「なぜ、オーバースティと分か るか」という質間に、小林さんは「オーバースティの人たちは相談するところ がなく、教会やそれに関連した組織、市民団体に相談することが多い」と答え ていました。このほか、電話の相談は年間千五百件以上あります。

現実に巻き込まれることを出発に

小林さんは一九八○年に岩手大学農学部を卒業と同時にフランシスコ会に入 会。司祭叙階後、仲間五人で「兄弟の家」を結成し、日雇労働者や「在日」、 沖縄の人たちなどが住んでいる川崎市南部で共同生活を営み、家賃と生活費は 日雇労働でまかなっています。
90年に横浜で「アジア社会活動研修会」(AISA)が開かれ、小林さん は、実行委員とパネラーを務めました。AISAは第ニバチカン公会議を受け て、教会が社会の底辺に生きている人たちと共に歩むことを目的としたもの で、横浜では外国人労働者をテーマに体験学習などが行われました。報告書に は「滞日外国人労働者と出会い、その現実に巻き込まれることを出発点とし・ ・・」と記されています。閉会のミサで、横浜教区長の浜尾文郎司教は「滞日 外国人と連帯する会」を設立させることを宣言、小林さんは九二年四月の発足 当初から関わり、教区が年間予算の七割を出しています。

入管が資格外就労を証人

「連帯する会」では、オーバーステメの人たちが結婚などで特別在留許可の 申請をした時、入管は「在職証明書」や「納税証明書」を、日系ペルー人が定 住ビザに切り換える際も、「届用契約」や「在職証明」の提出を求めていま す。青柳さんの場合も、福岡入管が就労を黙認し、奨励していたことを、小林 さんの証言である程度、裏付けられました。
もっとも、逮捕されるまで青柳さんの活動を知らなかったそうです。付帯決 議がありながら、ボランティアが「不法就労助長罪」で逮捕されたことから、 「連帯する会」では組織的に対応し、原則的に仕事の紹介をしていません。

日本人とほぼ同数の外国人信者
現在、日本のカトリック信者(約40万人)と同じくらい外国人の信者が滞 在し、外国人労働者と共生することを教会の優先課題にしています。国際協力 委員会では、一人でも外国人救援活動に取り組める」手引き」を作成し、各教 区に配布しています。
小林さんは「青柳さん場合、教会の援助がなく、個人で取り組んでいても教 会の活動である」と個人でも教会活動であることを証言しました。

最後に、小林さんは各国で実施しているオーバースティのアムネスティ(恩 赦)にふれ、「日本も前回の入管法の改定の際、不法就労助長罪とセットで実 施すべきだった。法律をきびしくしても、入国を止めることがができず、抜本 的な解決にならない」と入管行政を批判しました。

通報より、事実確認が大事

検事は4月に成立した改正入管法を意識し、「犯罪者や密入国者でも通報を しないのか」と質問。小林さんは「守秘義務があるし、通報が先でではない。 まず事実を確認することが大事だ」と答えていました。

次回の弁護側証人は、「奈良保証人バンク」の平沼論・橿原司会議員を採用 し、第6回公判は9月1日と決まりました。(大阪教区正平協 山本保)


学園は、仮処分裁判における和解のテーブルに着け

明治学園は、地労委の団体応諾命令以後も、これを無視し、私たちとの団体 交渉を拒否し続けています。私たちは、こうした明治学園の開き直りと時間稼 ぎを許さないために、六月一七日付けで福岡地方裁判所に明治学園を債務者と して「債務者は債権者〈合同労組)に対し、債権者組合員青柳行信の地位、身 分、賃金、労働条件に関する団体交渉を求めうる地位にあることを仮に定める 」旨の仮処分を申請し、すでに地裁民事五部の合議体(草野裁判長係)により 〈ョ)第四五三号地位保全仮処分命合申立事件として審議が開始されていま す。

この仮処分により、明治学園が現在団体交渉開催の前提条件として主張して いる「今後団体交渉をボイコットしない旨の文を組合が提出すること」の正当 性が争われることになります。つまり、明治学園の主張する前提条件が合理性 をもち団体交渉拒否の正当理由足り得るなら、債権者(合同労組〉は債務者に 対し団体交渉を請求しうる地位」にないことになり、仮処分申請は却下される ことになり、明治学園の主張が正当性がなけれぱ、私たちの仮処分申滑が認め られ、「団体交渉を請求しうる」地位の保全がなされることになるのです。明 治学園は、この仮処分申請に対し、(1)私法上、具体的団体交渉請求権は認 められない。(2)「団体交渉を請求しうる地位」の確認については、当事者 間で争いはないので、確認の利益を欠いており、確認請求は被保全権利たりえ ない。(3)債権者主張の団交拒否の争いは、団交開催条件・団交の誠実性に 関する争いであり、このような争いは専ら不当労働行為救済手続きにゆだねる べき事柄である。(4)本件団交事項は、地労委における「青柳さんへの不当 弾圧を許さない会」との斡旋により既に解決済みである。さらに青柳の処遇に ついて話し合いを求めるのであれば、前記斡旋案4項の協議手続きによれば必 要かつ十分に目的は達成される。(5)債権者は必要性として、青柳の経済的 精神的困窮やや名誉回復を掲げているが、…青柳は既に休職中であり、しかも その理由が自らの刑事事件(不法就労助長罪)にあったのであるから、一審の 有罪判決により無給となった結果は自ら甘受すべき事柄であって、債務者にそ の責任を転嫁する理由は毛頭ない、等と主張して全面的に争ってきました。

仮処分の進行状況

すでに裁判所による審尋は二回開かれています。裁判所は、この事件の解決 に向けて積極的で、審尋の場で「なんとか和解で解決したい」と双方の説得に 意欲的です。しかしながら、明治学園はこの裁判所による審尋でも頑なな姿勢 を崩していません。学園側は、この仮処分事件について、代理人として東京の 弁護士を二名、福岡の弁護士を二名、計四名もの弁護士をつけてきています。 この四名の弁護士の着手金や東京からの出張費用だけでも数百万の責用がかか るものと思われます。こうした無駄な責用を浪費するより、私たちと話し合っ て争議を解決し、青柳さんの家族の生活費用に廻した方が双方にとって得策で あることが、何故明治学園には理解できないのでしょうか。第二回目の審尋は 七月一七目開かれ双方の初めての顔合わせがありました。学園側からは、東京 からきた中山弁護士、福岡の三浦弁護士、岩本弁護士及び柴山恵子中学校校 長、中学教論笠原節子が出席していました。その顔合わせの後、主として学園 側からの事情聴取がありました。裁判所の話によると、学園側の主張は、

一、今は、解決の時期と考えていない。その理由は、(1)中労委で再審査中 である。(2)刑事再弁の判決が確定していない。
二、争議については、「神の試練だと考えている」ので長期化も辞さない。
三、囲交に今泉ヒナ子理事長は出席する予定はない。柴山校長が全権委任を受 けている。四、骨柳さんの行動は、信仰に基づく行為であウても、「正義と平 和協議会」の組織組としての活動ではない。
五、「和解解決を願う」日本カトリック協議会濱尾司教文書についても、自分 たちは、福岡教区長の松水司教の指示を仰いでいる。裁治権は、直接バチカン から松永司教が付与されている。

等で、総じて非常に態度が固いとのことでした。
しかし、裁判所としては「何とかして和解に向けて努力を続けたい」とのこ とで、「後2回9月4日と10月7日に審尋を入れ、和解協議をすすめたい」 「それでだめなら、その後早急に決定を出す」とのことでした。

すべての皆さん。争議解決の一つの山場を迎えています。学園側に裁判所の 和解のテーブルにつくよう強く働きかけてください。



資料として
日本カトリック司教協議会
コングレガシオン・ド・ノートルダム管区長 寺島京子様
学校法人明治学園理事長 今泉ヒナ子様

日本カトリック司教協議会
会長 濱尾文郎

主の平安
日本の教会の中で皆様の尊いご奉仕に、平素より感謝しております。 ところで、わたくしは貴修道会、コングレガシオン・ド・ノートルダムが設 立母体となっている学校法人明治学園とその教員である青柳行信さんとの間に 存在する、深刻な問題を憂慮しております。日本カトリック正義と平和協議会 担当の岡田武夫司教とその秘書の大原猛神父が両者の和解のための努力を試み たが不調に終わったとの報告を受け、心を傷めておりました。 この度、別紙のような「要望書」がわたしのもとに届けられました。わたく しは福岡教区の松永久次郎司教のご意見をうかがい、熟慮の結果、以下の事項 を皆様にお伝えすることにいたしました。

1、わたくしは、明治学園と青柳さんとの問題が一日も早く解決することを、 切に望んでいます。どうか両者が和解されるよう最大の努力とご配慮をお願い いたします。

2、目下、労働法など市民法による和解と解決の試みが進行中と聞いておりま す。わたくしとしてはこの働きを尊重し、両者ができるだけ迅速にこの和解の 手続きを進められ、紛争を解決するよう切にお願いいたします。

関係者が聖霊の光に導かれて、キリストにおける和解と一致へ一日も早く到達 されることを切望いたします。

なおこの手紙のコピーは青柳さんならびに東京教区正義と平和委員会へも送付 いたします。



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