青白いせん光に目がくらむ。赤い火の粉があちこちに飛び散る。工場内には、鉄板
切断機や屈折磯、鉄板製品が所狭しと並ぷ。溶接作業の火花と黒々とした鋼鉄板の空間だ。
ごつごつといかめしい。
メモ 従業員は7人。
資本金は1000万円。
年商は約9000万円。
1973年9月創業。1995年9月に株式会社に。
「良心の結晶を提供する」と話す土本さん

 社長の土木春男さん(五五)は、中学卒業後、山科で鉄工業
を営んでいた母方の叔父の会社に就職。約十年間、溶接など
の鉄工技術を学び、帰郷して一九七三(昭和四十八)時に創
業した。「今やらねばいつやる、との思いで工場にこもり、四季
の移ろいも分からないぐらい、しゃにむに働いてましたね」と、
創業時を振り返る。
 鉄骨組の建築工事なども手がけるが、主製品は、コンテナロ
ーリー(鋼板油槽)。トラックの車体や荷台に取り付け、液体な
どを貯蔵運搬する。ガソリンスタンドが、灯油などを宅配する
小型タンクローリーをイメージすれば分かりやすい。
 叔父の取引先をのれん分けの形で引き継ぎ、京都市内の専
門メーカーヘ納品する。油槽のサイズは、軽トラックやニd車
用など、車種に応じて変わる。
 跡継ぎを目指す長男(二六)や地元、京北町や瑞穂町の職
人を含め、七人で鉄板の切断や溶接に多忙な日々を送る。
「職場は戦場、良心の結晶を提供する」をモットーに、製品づく
りに取り組む。「一人前になるには、三年はかかります」と、従
業員の技術向上にも力を入れてきた。
 この結果、年ごとに業績を伸ばした。創業二十二年目の一
九九五年には、念願の株式会社になった。
 「一時は、業績が一億円を超えたこともありますが、不景気
の影響は避けきれず、今は九千万円台です。扱う製品のレパ
ートリーを広げるのが、これからの課題です」と土本さんは、さ
らに意欲を燃やしている。


京都新聞丹波版平成14年3月29日