研究・睡眠医療について
大学院生のころは(1992-1997)京都大学 医学部の基礎医学の教室(生体情報科学講座)において、神経科学の研究をしてきました。
その内容は、分子生物学とパッチクランプ(これは結構苦労しました)、マウス行動学などを組み合わせたもので、
- ノックアウトマウスを用いた、NMDA型のグルタミン酸受容体(NR2A・NR2C)の小脳運動機能における役割の解析がJournal of Neuroscience に掲載されました。詳しくはこちらをご覧下さい
- 記憶学習に関しての共同研究 (Conditioned eyeblink response is impaired in mutant mice lacking NMDA receptor subunit NR2A) が論文になり、1997年12月1日のNeuroreportに掲載されました。abstractをwebからコピーしてきました。
- 大脳虚血に関しての論文(Attenuation of focal cerebral infarct in mice lacking NMDA receptor subunit NR2C )が1998年2月16日号のNeuroreportに掲載されました。abstractをwebからコピーしてきました。
1997年の7月よりアメリカのStanford大学のMignot博士のもとに3年くらい留学して、睡眠異常について研究しています。特にナルコレプシーという非常に特徴的な睡眠異常に注目し、その原因遺伝子を同定しました。
- ナルコレプシーという病気の原因遺伝子を同定できました。この成果は1999年8月6日号のCell の表紙を飾りました。これは睡眠の基本的構造に関して同定された始めての遺伝子であり、今後、この分野を切り開いていく上での鍵となることが期待され、更なる解析が望まれます。
2001年から、再び京都大学 医学部に戻ってきています。
- 最も頻度の高い睡眠異常である、睡眠時無呼吸症候群に関わる遺伝子を同定することができました。この疾病に関して遺伝子レベルで初めて明らかになったもので、論文がJAMAという雑誌に特集記事付きで載りました。また、JAMAの日本語版の2002年1月号に和訳したものが掲載されました。
- ナルコレプシーという睡眠異常について解説したパンフレットを作りました。PDFファイルがここからダウンロード出来ます。
2002年から2007年につきましては、先端領域融合医学研究機構のわたしのHPを見てください。
2007年からは京都大学 医学研究科内でゲノム医学センターに所属が変わりました。
睡眠の基礎研究及び疫学研究を継続しています。
京都睡眠と健康のコホート研究(KSHS: Kyoto Sleep and Health Cohort Study)という総合的・多角的疫学研究を主任研修者(PI)として実施してきました。
その成果は、
- 睡眠時無呼吸症候群の有病割合の論文がSLEEP 2008 Mar;31(3):419-25 に掲載されました。
そのデータを利用して以下も報告されています。
- ESS日本語版(JESS:Japanese version of ESS)の開発に使用され、その開発論文がSleep Medicine 2009 May;10(5):556-65 に掲載されました。
- ESS日本語版(JESS)自体は、日本呼吸器学会雑誌 44巻11号,p1-3,2006、
および、健康医療評価研究機構で公開され、広く使用されるようになってきています。
- 性別、BMI、いびき、血圧の4項目より睡眠時無呼吸症候群の可能性の高い人を見つけてくるスクリーニングツールが開発され、
SLEEP 2009 Jul;32(7):939-48 に掲載されました。
- 睡眠時間やメタボリックシンドロームと睡眠時無呼吸症候群の関係を解析し、SLEEP 2010 Jan;33(1):89-95 に掲載されました。
- 高血圧の眠気や睡眠時無呼吸症候群への影響を解析し、J Sleep Res 2011 Dec;20(4):538-43 に掲載されました。
- 睡眠呼吸モニター(type3, type4)の使用感等について解析し、Sleep and Biological Rhythms 2011 Apr;9(2):86-94 に掲載されました。
- Sleep and Biological Rhythms誌にPreface(Welcome to the Worldsleep2011 meeting in Kyoto, Japan)を書きました(2011 Apr;9(2):61)。
- 糖尿病の眠気や睡眠時無呼吸症候群への影響を解析し、J Sleep Res 2012 Aug;21(4):410-8.に掲載されました。
- 呼吸機能と睡眠時無呼吸症候群への影響を解析した結果がInternal Medicine 2012;51(17):2291-7.に掲載されした。
- 睡眠時間と脂質と睡眠時無呼吸症候群への影響を解析した結果がChest 2013,143(3):720-8.に掲載されした。
マウスを用いた基礎研究の成果は、
それ以外に
- 北海道八雲町における高齢者の睡眠調査 が不眠研究 2011:27-30 に掲載されました。
- 日本における睡眠科学の最新の知見と動向 が保健医療科学 2012: 61(1):18-22 に掲載されました。
京都大学が滋賀県の長浜市と共同で行なっている「ながはま0次コホート事業」という、1万人規模のゲノム疫学研究に従事しており、
2011年からは、NPO法人健康づくり0次クラブと共同で、そのコホート研究既参加者に”睡眠とこころの健康”について追加調査する
「なごーする研究 (Nagahama 0-degree Sleep study)を開始しています。
長浜コホートの解析計画・成果発表の管理
- 滋賀医科大学 睡眠学講座(精神神経科)の睡眠外来で診療しています。
- 市立長浜病院においても、湖北随一の睡眠障害の専門外来を開設し、睡眠医療を行なっております。「睡眠時無呼吸症候群外来」と名付けていますが、睡眠障害一般を診療しています。
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