上賀茂こども園の造形保育造形保育は、幼稚園教育要領・保育所保育指針においては、幼児教育・乳児保育の中心的な活動です。 また、充実した「表現」を得るためには、他の領域にもかかわる様々な体験・経験を通じて蓄積された基礎能力から興味や意欲、思考力や発想力が必要となります。 幼児期の造形保育は、小学校等の他校種との連携に際して最も歴史と実績のある教育活動分野となっています。 上賀茂こども園では、子どもの学力の充実の礎なるこの造形活動を最も重要な活動と位置づけ、単に作品を作るだけではなく、 幼稚園教育要領・保育所保育指針における教育の目標である心情・態度・意欲を育てるためのプロセスを重視した保育を実践しています。
平成22年には、日本美術教育連盟の全国大会が京都で行われました。そのときの保育園部門のテーマが以下の3つです。
☆ わくわく体験 〜夢をもってはじまる、題材との出会い〜 ☆ きらきら感動 〜感動の共有によるイメージの広がり〜 ☆ いきいき表現 〜子どもの声の聞こえる生きた作品をめざして〜 |
上賀茂こども園では、様々な体験活動を重視し、先生の豊かな言葉がけによりその子なりの発想を広げ、個性豊かなのびやかな表現がなされるよう、日頃の保育を充実させています。また、集中力が発揮されるように情緒の安定には特に気を使っています。
0歳児の活動 |
体験活動 |
体験活動 |
砂遊び(3歳児) |
ボディペインティング(5歳児) |
製作(1歳児) |
育ちの連続性と学習内容
造形保育の取り組みの効果は、単に芸術的な情操を高めるというだけではありません。
造形保育における線の描画は、国語における文字を書くことにつながります。造形保育における観察は、理科教育や科学的素養につながります。造形保育における製作は、図工や算数につながります。ルールやマナーを守ることは道徳教育にもつながります。幼児期の学習は小学校へとつながる育ち連続性を考慮して計画されなければなりません。
小学校の内容を幼児期に教育することを早期教育といいますが、保育所保育指針・幼稚園教育要領・小学校学習指導要領が発達段階を考慮したものとなっていることを考えると、早期教育は好ましいことではありません。幼児期には幼児期の学習目標にあわせて発達を促すことが必要になります。
良い絵とは
良い絵とはどのような絵を指すのでしょうか。幼稚園教育要領・保育所保育指針では、表現に関わる活動の中で、感性を育てることを主眼としています。 絵画指導の中で同じような絵が並ぶのは、決して良いことではありません。 その子なりの個性豊かな表現の出ている絵、描こうとしている場面に対する感動が伝わってくる絵が良い絵といえます。
低年齢児の場合は、形になりませんが形を求めるのではなく、線の描き方で、集中力や思考力、豊かな感性が育っているかを判断することになります。 逆に何かを写したような、整った硬い絵は一見よさそうに見えても、豊かな感性を養うという表現の目標からすると良い絵とはいえません。 造形作品の中での個性は、絵画指導だけではなく、日頃の保育の結果として湧き出てくるものといえます。
絵画指導
子どもの絵が不十分であってもそれを直接本人に伝えるのは逆効果です。指導にあたっては、ネガティブコレクト(悪いところを指摘して修正させる)のではなく、ポジティブアシスト(良いところをほめて伸ばす)でなければなりません。また、絵には子どもの日頃の思いが表現されているのですから、良い絵を得るにはに描画時に上手く描かせようとするのではなく、日頃の保育から見直す必要があります。良い保育の結果として良い絵が作り出されるのです。
子供たちの作品 |