美術史とインターネット


☆「最近は、大学の図書館やコンピュータ室などで自由にインターネットが使えるようになった。

美術関係でも、おもしろいホームページがあるらしい。

でも、たとえば、美学や美術史の勉強にそれをどのように役立てていいのかわからない……」

と、こんな声をよく聞きます。



☆「美術史とインターネット」は、

このような声に応えてインターネットにも美術史にもまだ十分に慣れていないという人のためにつくられた

初心者向けのガイドです。



☆なお、このページは、

島本浣/岸文和編『絵画のメディア学』(1998 昭和堂 ISBN:4-8122-9817-2 \2,310(税込))

という本の付録資料「美術史とインターネット」のなかにある「よくある質問のコーナー」の内容を掲載し随時変更を加えたものです。

「メディア学」という考え方や、それにもとづいた絵画の鑑賞や解釈の具体的な実例などにつきましては本文に解説や詳しい記述があります。

よろしければ書店などで、ぜひ1冊お買い求めください。

また姉妹編の、島本浣/岸文和編『絵画の探偵術』(1995 昭和堂 ISBN:4-8122-9502-5 \2,310(税込))も どうぞよろしく。


『絵画のメディア学』表紙 『絵画の探偵術メディア学』表紙



1 「美術史とインターネット」(基礎編):「よくある質問のコーナー」


Q1 (インターネットで)本を探したいのですが。
  • 書名はわかっています。所蔵先を知りたいのですが。
  • あるテーマの研究をするために、どんな本や論文を読めばいいのかを調べたいのですが。

A1
・まず、自分の大学のOPAC(オンライン目録 OPAC(Online Public Access Catalog ) を探してみましょう。たとえば関西学院大学の図書館であればKG-OPACです。見つからなければ、日本中の大学図書館の蔵書が横断検索できるNII(国立情報学研究所)のWebcat(総合目録データベースWWW検索サービス)で探します。和書であれば、最後の手段は国立国会図書館のNDL-OPACということになります。また、美術書、とくに展覧会カタログの場合は、「アートカタログ・ライブラリー」のデータベースや、「アートライブラリーズ・コンソーシアム」(東京国立近代美術館、東京都現代美術館、横浜美術館の美術図書室から本を横断的に検索するシステム)、あるいは愛知芸術文化センターアートライブラリーで見つかるかもしれません。
 洋書の場合は、カールスルーエ大学のバーチャル・カタログが今のところ最強ではないかと思います。ドイツ語圏はもちろん、英米仏伊、スペイン、北欧などの国立図書館のカタログが英語で横断検索できます。美術史関係の文献であれば、ロンドン大学のウォーバーグ研究所やミュンヘンの中央美術史研究所(フィレンツェのドイツ国立美術史研究所とローマのビブリオテカ・ヘルツィアーナも横断検索できます)、フランス国立美術研究所といった美術関係の専門図書館のカタログが有益です。また、フィレンツェのIRISでは、ヴィッラ・イ・タッティ(ベレンソン図書館)、ウフィツィ美術館、ロベルト・ロンギ美術史研究財団、オランダ国立美術史研究所などの蔵書カタログも検索できます。
 日本や欧米諸国、さらには世界中の主要な図書館のOPACについては、実践女子大学図書館の伊藤さんが、みごとな「図書・雑誌探索ページ」(図書館OPACだけではなく、書籍販売目録、書店目録、学術雑誌・一般雑誌・新聞記事の情報検索、映画・ビデオ・CDの検索データペースも収録)を作ってくれています。
 また、論文を探すのであれば、欧文の場合は、ArtIndex, RILA, FirstSearch, 邦文の場合は、MagazinePlus, Nacsis-IR などのデータベースを利用するのが一般的です。自分の大学の図書館がこれらのデータベースと契約をしているかどうかを確かめてみましょう。なお、中央美術史研究所のカタログでは論文も検索できます。日本では、国立国会図書館が雑誌記事索引検索を公開しています。
・以上に紹介したものを利用すれば、たいていの文献は見つかると思いますが、さらに、いわゆる検索エンジン(注)を使えば完璧です。自分が研究しようと考えているテーマについて世界のどこかの大学で講義している先生が学生に提示している参考文献リストなどがヒットするかもしれませんし、芸術家や研究者、作品や時代、地域などを紹介するウェッブページが見つかるかもしれません。

(注)インターネット上のどこに何が書かれているかを教えてくれるページのこと。日本の場合は、Google を始めとして、gooINFOSEEKヤフージャパン、海外の場合はGoogle.comaltavistaall the web、などが有名。search engines worldwidesearch engines(図書・雑誌検索ページ)には、代表的な検索エンジンがまとめられています。


Q2 本を買いたいのですが。
  • 書名はわかっています。どこかの書店に注文したいのですが。
  • 書名や著者名の一部しかわかりません。どうすればいいでしょうか。

A2
・最近は大きな書店や書籍通販業者、あるいは古書店も、インターネット上にホームページを開設しています。代表的なものに、アマゾン(日本)丸善紀伊国屋クロネコヤマト神田京都全国の古書店、アマゾン(アメリカ)ブックファインダー(アメリカ)ブラックウェル(イギリス)カイザー(ドイツ)などがあります。美術関係でわたしがよく利用するのは、ドイツのケーニヒ、京都の人文系洋書専門店の至成堂などです。東京なら、Libri Arteかな。このほか、「世界の書店リンク集」日本や世界のさまざまな出版社日本国内の出版社などのリンク集もあります。
・上述の書店などのページには、たいていデータベースが備えられています。そこで調べればオンラインで発注もできます。また、各国語(日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペインなど)の入手可能な書籍目録を検索できるサイトにつきましても、実践女子大学図書館の「図書・雑誌探索ページ」Ariadne(Books)にまとめられてあります。


Q3 画像を探したいのですが。
  • 画家名はわかっているのですが、作品名はわかりません。
  • 作品名はわかっています。どこに所蔵されているのか知りたいのです。
  • 作品名はわかっています。できればインターネットで見たいのですが。
  • あるテーマを研究するために、どんな画像を見ればいいのか調べたいのですが。

A3

・まず、いちばん早いのは検索エンジンや、以下に紹介する画像サイト、リソース・サイトなどを利用することです。
 画像サイトとしては、西洋絵画なら、Web Gallery of Art(euroweb)Famous Paintings Exhibition, Web MuseumCarol Jackson Presents Fine ArtThe ArtchiveArtcyclopediaArts at Dorian。非西欧のものも含んでいるものとしては、ローザンヌのジャック・エドゥアール・ベルガー財団による世界美術遺産スライド集や、オーストラリア国立大学によるアートサーブが有名です。フランス国内にあるのがわかっていれば、joconde、ドイツ国内にあるのがわかっていれば、Foto Marburg で探してみてください。日本の場合なら、国立博物館所蔵の国宝画像を検索するE国宝が4ヶ国語での説明と拡大画像の迫力でお勧めです。また、画像はまだ少ないのですが、文化庁による国宝重要文化財(美術工芸品)目録検索も、これからが楽しみです。ちなみに、国内国外にかかわらず、所蔵者がわかっている場合は、その美術館(館蔵品目録検索)から探すこともよくあります。現在、さまざまな機関でディジタル・アーカイヴが構成されつつありますので、どんどん公開されていくことを期待しましょう。
 リソース・サイトとしては、VOICE OF THE SHUTTLE:ART & ART HISTORY PAGEArt History Research CentreWWW Virtual LibraryMother of All Art HistoryWorld Wide Art Resourcesアリアドネ美学の部屋(美学美術史学関係のリンク集)東京文化財研究所の研究リンク集などがよく知られています。


Q4 美術館に行きたいのですが。
  • 美術館の名前はわかっています。開館時間や交通手段を知りたいのですが。
  • あるテーマを研究しています。どんな美術館に行けばいいのか調べたいのですが。

A4
・正確な館名がわかっているのなら、検索エンジンで探すのがいちばん早そうです。都市や地域の観光案内のページが検索されてきて、たぶんいろいろと教えてくれます。また、その美術館がホームページを開いていれば、次のようなリンク集に集録されていますので、そこから直接そのページを訪問してみましょう。日本の美術館なら、博物館・美術館 展覧会案内Museum Databese(town art gallery)MUSEUM INFORMATION JAPAN、「インターネット・ミュージアム」など、世界の美術館については、「日本と世界の博物館美術館リンクリスト」、ICOM(国際博物館会議)提供のMuseums around the world、大日本印刷提供のMuseum Information of the World、あるいは、上記(A3[第4項])のリソース集などをあたってみてください。

・そのテーマに関連した作品を調べてから、その作品の所蔵先を探すとよいでしょう。これは、A3を参考にしてください。


Q5 展覧会に行きたいのですが。
  • 展覧会の会場はわかっています。どんな作品が展示されているか、どのように行けばいいのかを知りたいのですが。
  • いま、どこで、どのような展覧会が開かれているのかを知りたいのですが。

A5
・美術館での展覧会やビエンナーレなどの大きなイベントの場合は、独自のページを開設していることが最近は多くなりました。展覧会や会場の名前を検索エンジンで探せば、かんたんに見つけられます。美術館の場合は、A4を参考にしてください。

・日本の場合は、"artscape" 「アートスケープ」の展覧会情報、香山冬彦氏による博物館・美術館 展覧会案内展覧会情報(みゅーじあむ通信)Museum-Cafe、乃村工藝社のイベントナビなどが便利。
海外の場合は、日本と世界の博物館美術館天文台リンクリストMuseum Information of the WorldVirtual Library museums pages (VLMP)などの美術館サイトから入るか、少々使いにくいけれど、museum.com: event searchで検索です。このほか、地域を限定すれば、artforum(アメリカ中心)、RMNJapon(フランス)、Mostre di arte moderna e contemporanea(イタリア)などは便利ですし、ヨーロッパ全体なら、visiteurope.comでイベントサーチしてもいいと思います。

Q6 研究者のことを知りたいのですが。
  • 研究者の名前はわかっています。どのような論文を書いているのか知りたいのですが。
  • 研究者の名前はわかっています。できれば直接相談をしたいのですが。
  • あるテーマを研究しています。どんな研究者がいるのかを知りたいのですが

A6
・データベースが利用できるのであれば、Nacsis-IR や MagazinePlus が便利です。あるいは、検索エンジンで探すこともできます。著作リストのようなものが出てくれば大成功です。大学の教師なら、講義のシラバスが出てくるかもしれません。日本東洋美術史の場合なら、東京国立文化財研究所の「日本東洋古美術文献目録」を参考にしたり、あるいは、Webcatで検索してもいいでしょう。西洋美術史の場合なら ArtIndex や中央美術史研究所のデータベースを利用します。A1をご覧ください。

・検索エンジンで探した結果、電子メールのアドレスや、ご当人がホームページを開いていることがわかったりした場合には、まずメールを出してみてはいかがでしょう。そうではない場合でも、所属機関がわかればコンタクトは可能だと思います。ただ、いずれにしても、そこから先は、その研究者しだいです。幸運を祈ります。

・これも、A1で紹介したNacsis-IRNII(国立情報学研究所)中央美術史研究所などのデータベースでキーワード検索をすれば、その分野に関する論文や著作のリストが手に入ります。あるいは、最近は、それぞれの専門学会がウェッブページを設けています。学会誌I掲載される論文や全国大会の発表をチェックしてみるのもいいかもしれません。

Q7 ちょっと特殊ですが、絵を買いたいのです。どうすればいいでしょう。

A7
 ホームページを開いている画廊も、最近は増えてきました。いちどご覧になってから、相談されてみてはいかがでしょうか。日本なら、アート・遊ノブ・ギャラリーなどのページが充実しています。その他の画廊についてもリンク集(国内では、画廊net、全国画廊情報や、海外ではARTNETなど)で探してみてください。基本的には美術館を探す(A4)のと同じです。有名なクリスティーズサザビーズなどもホームページを開いています。また、Art Price Annualでは作品の価格情報、The Artloss Registerでは、なんと盗品のリストまでわかります。



※インターネットの利用法に関するこの他の基礎的な質問については、初心者向けの雑誌や参考書をご覧になってください。また、わからないことばがあれば、すぐ検索エンジンで探せば、インターネット上でかんたんにその説明が見つかるはずです。とにかく、いろいろと試してみてください。


※最後になりましたが、筆者の1人、加藤哲弘のホームページのリンク集には、大学、学会、美術館、図書館、アート関係情報など、ここで紹介できなかった多くの美術史関係のリンク先が集められています。こちらも、どうぞご利用ください。

また、ここに掲載されていない美術史関係の有益なページをご存知の方、よろしければ、下記のメールアドレスまでお知らせください。また、ご意見ご要望なども、下記まで、どうぞよろしく。今後の編集に役立たせていただきます。


Copyright 1998 F.KISHI, K.SHIMAMOTO, S.NAMIKI, H.HARA, T.KATO
Copyright 2004 T.KATO
katotk@kwansei.ac.jp

(2004年4月1日更新)