ロマン・ロランの紹介


愛、自由、平和を!

希望と勇気の書

 ロマン・ロラン(Romain Rolland)は1866年フランスの中部クラムシーに生まれた(父は公証人)。パリの高等師範学校に学び、歴史を専攻、優秀な成績で卒業し、選ばれて二年間ローマに留学。文学博士の学位を得、母校で、ついでパリ大学で音楽史を講じた。また演劇に志し、多くの戯曲を書いたが、十分な成功をおさめるにいたらなかった。しかし伝記『ベートーベンの生涯』は深い感動と生きる希望と勇気を読者にあたえた。彼の文名をいちやく世界的に高めたのは大河小説『ジャン−クリストフ』である。フランス・アカデミーは文学大賞を彼に授け、ついで1915年度のノーベル賞がおくられた。第二の大作『魅せられたる魂』の物語は、クリストフのそれにおとらず波乱にみちている。不正と矛盾が横行する現代の社会で、正しく自由な精神をもって生きんとするものは、そこに希望と勇気の源泉をみいだすであろう。

平和主義ロラン

 第一次世界大戦以後のロランはスイスのレマン湖畔に定住し、美しい自然のなかで多くの芸術作品(小説、戯曲、政治的・社会的論文、研究書)を書いた。彼の人格を敬仰し、思想と芸術にひかれる人々―ガンディー、タゴールをはじめ世界の友が巡礼のように彼を訪れた。文学・哲学・歴史・音楽いすれの面にも深い造詣と偉大な天分を有した彼は、世界の政治、社会の動静にもたえず注意し、国境と人種の差異をこえて、圧迫されるすべての国民・民族の擁護のためにたたかった。全人類の自由と平和・調和が彼の理想であった。
 カトリックの家に生まれながら、青年期に神からはなれた彼は「私は本質的に宗教的である」といっている。まことに、愛こそ彼の神であろう。ロランの思想と芸術、その人格は60年このかた、深い精神的影響感化を日本にあたえつづけている。

(宮本正清)


次のページ:年譜
ロマン・ロランのホームページ