人力羽ばたき飛行機「迦楼羅」(かるら)
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【迦楼羅とは?】
迦楼羅(かるら)は伝説上の鳥の名前。
須弥山(しゅみせん)の四天を翔り(かけり)
龍を獲って食とする
翼は金色(こんじき)
頭に如意珠(にょいじゅ)
常に口から火炎を吐く
その大きさ三百余里
アジア地方に広く伝わる名前でガルーダとも呼ばれる。
【迦楼羅の仕様】
迦楼羅のイラスト。クリックすると原画がみれます。
羽ばたき飛行機、迦楼羅(かるら)をイラストに示した。
全長9m、翼長28m、重量約36kg。翼は矩形翼、翼断面型はLissaman7669の改良型。
翼は固定翼である内翼と、羽ばたき翼である外翼からなる。
羽ばたき翼は打ち下ろし時にはワイヤーで引っ張り、打ち上げ時は翼の上下の圧力差によって自然に打ちあがる仕組みである。羽ばたき時に外翼にとりつけられたタブによって外翼に適当なねじれを与える。
迦楼羅の駆動系のイラスト。クリックすると原画がみれます。
エンジンパイロットはコクピット内で漕運動することによりパワーを発生させる。シートはボートのスライディンリガーと同様な形式になっていて、パイロットの運動による重心の前後移動を防いでいる。足台とレバーが一つのワイヤーにつながれており、手と脚と両方から力を得ることができる。ワイヤーは羽ばたき翼の付け根にとりつけられたホーンの先端を経て羽ばたき翼の中程につながっている。
翼は内翼,外翼ともに1本桁構造で、内翼はCFPR製,外翼はスプルースとバルサ製,胴体はトラス構造でスプルースとバルサ製である。
一回の羽ばたき周期は2〜3秒であり、羽ばたきの度に機体は上下し、また多少重心が移動するためピッチングも起こる。機体のピッチング角を適当に保つために水平尾翼を制御する必要があるため、水平尾翼の取り付け部付近にジャイロと制御装置がとりつけてあり、水平尾翼の角度を機体の姿勢に合わせて自動的に制御するようになっている。
【Silever Shooting Stars】
1993年,平成5年5月5日午後5時5分に結成された,人力羽ばたき飛行機プロジェクトチーム。
京大バードマンチームのOBを主力とした、約60人のメンバーで構成された。
主任設計者は航技研の原田正志。チーム代表者は森亜紀子(現在は河合一穂)。
6月1日より以下の3グループに分かれて制作を開始した。
東京グループ(グループ長;原田正志):航技研敷地内,コックピット制作,及び全体の設計
滋賀グループ(グループ長;東堂康範):新谷正孝宅、後部胴体制作,胴体の詳細設計
京都グループ(グループ長;河合一穂):河合一穂宅、主翼及び尾翼の制作
10月9日から全ての部品を京都大学吉田寮内に移送し、作業を吉田寮で行う。
このころより京大バードマンチームの現役メンバーの多大な制作協力を仰ぐ。
11月21日に全ての部品を各務原市へ移送。各務原市の協力を得て各務原航空宇宙博物館建設予定地にて作業する。
12月12日ロールアウト。ここまでの総作業時間は約8000人時。テスト直前見物客により、機体破損。
12月19日人力牽引による有人水平飛行テスト(羽ばたきなし)。右翼が予期せぬ方向へ捻れ,破壊。グラウンドループに入り大破。
以後機体は京都大学宇治キャンパスへ,さらに河合宅へ運ばれて保管されている。
また、グループとしての制作活動は宇治キャンパスでの作業後,現在休止状態である。
1994年には国際人力飛行シンポジウム(シアトル)にて2報の論文を発表した。
また、現在原田宅にて1/8模型制作中。他,羽ばたきの研究を行っている。
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