典雅の記憶と松風コース

  (相国寺〜御所〜寺町)

 
                             建礼門 後ろに見ゆるは紫宸殿

略地図
はじめに


 御所は、ご承知の通りかつての天皇の住居であり、公家社会の中心であったところです。今は
正式には京都御所と呼ばれるこの御所(う〜ん。ややこしいですね。。。(^ ^; しかし、我々はた
だ「御所」と呼んでいますので、以後この呼称で通します。)は、かつては上皇の住まいであった
「仙洞御所」や、梨木神社、広大な松風の杜などを巨大な生垣の中に抱いた京都御苑の一部です。
 実はこの京都御苑、御所と仙洞御所を除く広大な敷地が市民に解放されており、街の真ん中と
も思えない、穏やかで、豊かで、心地よい空間となっています。松林の濃い緑のそここでは、四
季折々に様々な表情を見せてくれます。今回は、そんな京都のCentral Parkたる京都御苑を中心
としたコースをご紹介したいと思います。
 また、このページを書き始めている今は1999年の2月13日。梅の蕾がそろそろほころび始める
季節です。四季の表情を、今全てお伝えすることはできませんので、それらは、この後季節の一
巡する間にこのページに順に加え、ご紹介させていただきます。

 最後にお願いなのですが、私の記述に誤り等を発見された方は、お手数ですが以下の宛先迄ご
連絡下さい。宜しくお願いします。

            1999年2月20日 吉田 一雄<kazuoy@mbox.kyoto-inet.or.jp>

  さて、今回のコースは、前述の通り京都御苑を中心として散策を楽しもうというコースです。
その京都御苑はあまりにも広大です。その為、最初の一歩を踏み出すのに適した場所は何ヶ所も
あります。そして、京都の中心であるこの辺りは地下鉄の駅やバス停が何ヶ所もあります。です
から散策ルートは幾通りも考えられます。二条城あたりから歩き始めて中京の町を通り抜け、堺
町御門から入っても良いと思いますし、清明神社や一条戻橋のある堀川一条辺りから、武者小路
千家の前を通って乾御門から入っても良いと思います。ここでは、そんな様々なルートの中から
、地下鉄今出川駅を始点とするコースをご紹介します。あくまでもこれは参考ですので、皆さん
の思い思いのルートで散策をお楽しみ下さい。

 地下鉄烏丸線「今出川」駅の改札を通り、地上に上がる出口です
            が、烏丸今出川北東に出るのをお薦めします。この場合、改札
            は南改札から出て下さい。そうすると、煉瓦造りの同志社大学
            を横目に見ながら歩けます。足にあまり自信の無い方は、ここ
            からすぐに横断歩道を南に渡って、京都御苑の乾御門から入ら
            れると良いかも知れません。「今出川駅」には北改札もあり、
            相国寺に行くにはこちらで降りる方が近いことは近いです。し
            かしこちらの出口、殺風景で私は嫌いです(^ ^;

             いずれかの出口を出て、烏丸通りを北上します。同志社大学、
            同志社中学と連なる石塀が切れるところを右に折れると相国寺
            の参道となります。
             この時点で、既に何かお腹に入れたいと思ってらっしゃる方
            は、相国寺の門前、参道の北側(相国寺に向かって左側)にある
            Papa Jon's Cafeで一息つかれると良いでしょう。平日は同志
            社の学生達が集うここPaPa Jone'sでは、数種類のチーズケー
            キをエスプレッソと共に味わうことができます。フローリング
            の床に木のテーブル、そして赤い天井。心地よく落ち着いた
            小さな隠れ家の様なお店です。少し味の強いチーズケーキと
            は、エスプレッソの苦みが良く合います。

   
   PaPa Jone'sのケーキ達             PaPa Jone's店内
   お土産として買って帰ったものでお皿は
   私のものです(^ ^)

相国寺(しょうこくじ)  門をくぐると、そこは大徳寺や妙心寺などに共通する、禅寺
            独特の静かで、どこか緊張感のある清清しい空間があります。
             相国寺の法堂から南へ進み、放生池の左(東)を抜けてさらに
            南へ進むと、正面に京都御苑の今出川御門が見えてきます。
            同志社大学アーモスト館の瀟洒な赤れんがを左手に愛でながら
            御所に向かいます。
               
                          同志社大学アーモスト館

京都御苑         今出川御門を潜ると、すぐ左手(東)に築地塀があります。崩
            れかけた門が、何やらチェーホフの「桜の園」や、太宰治の「
            斜陽」を思い起こさせます。ここは、かつては公家の桂宮(か
            つらのみや)の邸宅であったところで、今は宮内庁の官舎になっ
            ています。皇族ゆかりであることの明かしである築地塀の五本
            線が入っています。
                 
                         桂宮邸跡の築地塀
                         左奥に見えるのが今出川御門です

             後から紹介しますが、鬱蒼とした生け垣(?)に囲まれた京都
            御苑の中は、今は京都御所と仙洞御所を除けば、広大な芝生の
            敷き詰められた松林となっています。しかし、東京遷都までは、
            これらの場所は上の桂宮邸の様な、貴族の邸宅が立ち並んでい
            たそうです。遷都の後は、これらの屋敷や塀が順次取り壊され、
            後に庭園や鎮守社だけが残されたのが、今の京都御苑の姿だそ
            うです。ですから、かつての御所の面影は、この桂宮邸跡に見
            ることができるわけです。

             さて、既に京都御苑の中にいるわけですね。ここからどうい
            ったコースを辿るかも結構迷うところではあります。歴史の舞
            台を辿りたければ、明治天皇の生誕の地を見て、猿ヶ辻を通り
            、皇女和宮生誕の地で往時に思いを馳せつつ、蛤御門の鉄砲の
            弾痕を見ながら、歴史の急転に感慨を深めるのも良いかもしれ
            ません。
             また京都御苑は、春夏秋冬に様々な表情を見せてくれます。
            それぞれの季節ごとに梅や桜の花見を楽しむのも良いでしょう
            。或いは、よく整備された、広大で心地の良い公園である京都
            御苑でピクニックを楽しむのも良いですしね。



             広大な青空の天蓋の下、松林も清清しい公園である京都御苑


              京都御苑内は、ベンチも多く、且つ広大な芝生も解放され
             ています。柵が芝生を縁取っていますが、これは芝生保護の
             為、自転車などの侵入を禁じる為で、人の出入りは自由です。
              うららかな陽気の日には、若い人々(多くは近くの同志社
             大学の学生でしょうか)が、芝生に寝転んだりベンチに座っ
             たりして本を読んだりしています。また、季節を問わずカッ
             プルや子供達が、広がる青空の下、この緑の園で思い思いの
             時間を過ごしています。ランニングをしている人、犬の散歩
             をしている人も見えます。

              私も、春は枝垂れ桜の近くで、秋は御苑内至る所にある
             楓の紅の近くで、大木にもたれながらよく本を読んでいます。

              自転車ですが、芝生の中にこそ入れないものの、京都御苑
             全体が良きサイクリングコースとも言えます。砂利道で少々
             走にくくはありますが。。。ただ、東西の門を繋ぐ様に獣道
             (?)が通っており、ここは走りやすくなっています。特別に作
             られたわけでなく、皆が走るので自然に砂利が払われたので
             しょう。自転車の多くが、ここをきれいに一列になって走っ
             ていきます。この道、地元では「御所の細道」と呼んでいま
             す。(^ ^)

                     
                      通称「御所の細道」

             京都市街の真ん中にある京都御苑。住民が自転車に乗って横
             切って行きます。しかし考えてみれば、今でこそ市民に開放
             されていますが、かつて出入りが思うに任せなかった頃は、
             京都に住む人の行き来を遮断する大河の様であったのかもし
             れません。

             京都御苑からは、また大文字山が良く見えます。建礼門の前
            に立ち、真直ぐ東を向けば、真正面に見えるのが大文字山です。
            改めて京都の地図を見ると、五山送り火が、御所を中心に配さ
            れていることに気付きます。

             それでは京都御苑では、敢えてコースを決めずに、それぞれ
            見どころをご紹介したいと思います。

→京都御苑内外の見どころへ

→京都御苑の四季


寺町から二条へ     丸太町通から寺町通りにかけては、漆器専門や、高級品専門
            などの骨董屋(アンティーク・ショップといった方がしっくりと
            いくかもしれません)、そして一保堂や柳桜園の様なお茶の老舗、
            和紙の専門店などが立ち並ぶ、瀟洒な佇まいとなっています。

    
アンティーク・ショップの柔らかな光    「うるわし屋」さんの店内
ここは、漆器専門「うるわし屋」さん     う〜む。。。目移りしてしまいます(^ ^;
                      私は溜め塗りの薄手の菓子皿を買い求めました。



 下は一保堂さん。夏になると暖簾が清々しい白地に黒文字に変えられます。

    

            最近は石畳も整備され、散策をしていても心地よい空間となっ
            ています。
             これらの店を冷やかしながら、疲れた足を休める場所も多く
            あります。お薦めは、一保堂の喫茶コーナーと、せいほうです。
            お茶の香りも清清しい店内右横の、小さな喫茶コーナーです。
            また、二条寺町の八百屋で売っている「焼きいも」を買って散
            策を続けるのも良いでしょう。この「焼きいも」、100gが80
            円(1999年2月20日現在)と非常にリーズナブルになっています
            。大学芋もありますので、お好きな方はどうぞ(^ ^)
              
              何やら汚そうに見えますが(^ ^; それはガラス
              が汚れている為。
              100グラム80円(1999年4月3日現在)は安い
              ですよね。とはいえ、販売は本数単位。二本
              買ったら300グラムありまして、240円でした。
              やはり安いですね。
              柔らかく芯迄ほくほく(^ ^) 甘くかすかな塩味
              が美味です。
              寒い日に是非とも食べたいですね(^ ^)
             
             お疲れの方は、ここから5分程、河原町通りを南に下がった
            日銀京都支店前に市バスのバス停がありますので、こちらをご
            利用下さい。もう少し歩いて御池通まで達すれば、京都地下鉄
            東西線の「京都市役所前駅」があります。

高瀬川          ここまで歩けば結構疲れるかもしれませんが、まだ余裕のあ
            る方は、二条通を東へ、河原町通を横切ってさらに進むと、高
            瀬川が情緒たっぷりの木屋町通りに辿り着きます。御池通より
            南へ行くと、雑然とした街並みとなってしまいますが、北は二
            条通から、南は御池通までの木屋町通は、柳の緑も目に心地よ
            い、趣のある場所です。近くの京都ホテルは、長州藩邸跡地。
            幕末に思いを馳せることのできる場所でもあります。
             また、近くには料理屋さんも多く、そこでこのコースを締め
            くくるのも良いかも知れません。
             このあたりは、交通機関も豊富で、市バスの各系統に前述の
            京都地下鉄東西線「京都市役所前駅」もあります。

                       

結構長い道のりになりましたね。お疲れ様でした(^ ^)
このコースは、観光というより、むしろ住民の生活の一部となっている心の空間です。
その心地よさは、京都御苑の行き届いた管理によるものでしょう。日本の公園によく見ら
れるゴミの散乱や、テント村がありません。それを維持する為に、馬鹿にならない税金が
使われていると思うのですが、こうした文化財、空間を護る為であれば、私は納得ができ
ます。我々自身も、この素晴らしい京都御苑を守る為、モラルを持って行動したいと思い
ます。

長い間おつき合い有難うございました。これでおしまいです。
尚、御所の折々の四季は随時ご紹介していく予定です。

それでは、今日はこのあたりで。失礼します。

作成:1999年2月20日
更新:1999年8月22日

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