京に田舎ありコース


 金福寺(こんぷくじ)〜詩仙堂〜曼殊院

  このコースは、広沢の池近辺と同様「京に田舎あり」という言葉をわずかながら感
 じることができます。東山コースと同様、山の麓を南から北へ抜けていくのですが、
 距離的には大したことはなく、ゆったりと回っても半日かかることはないでしょう。
 東山コースとは違い、侘びた山里の風情を味わって下さい。
  京都には紅葉の名所がたくさんあるのですが、このコースも紅葉の季節には一変し
 て華やいだものとなります。もっとも人も多いのですが・・・
  軽い散策にはもってこいのコースです。


 略地図

  1. 金福寺   まず始点ですが、市バスの「一乗寺下り松町(いちじょうじさが
         りまつちょう)」で下車します。白川通りを走る5番・北5番・65
         番の停留所です。ここで降りて、すぐ南を東西に横切る道を東の方
         (山の方)へ進んで行って下さい。なだらかな坂道を登っていくと
         どんつきの少し手前右手に「金福寺」の看板がありますのですぐに
         分かります。
          この寺は、荒れていたのを元禄時代に鉄舟和尚という人が復興し
         たのですが、この鉄舟という坊さんは松尾芭蕉と親交があり、芭蕉
         がよく訪れていたので、山へ入ったところにある庵が芭蕉庵と呼ば
         れています。
          小さな寺です。白砂とその周囲、山の傾斜を覆うように植えられ
         ているツツジの緑が美しく、ツツジの植え込みの上、山の中腹に見
         える芭蕉庵と、秋でしたら桔梗の花の取り合わせが、山奥の草庵の
         趣に心惹かれます。
          街からそんなに離れたわけでもないのですが、三方を山に囲まれ
         た京都は、少し山に入るとこういう場所がまだ残っています。言い
         方を変えれば、山の麓にしか京の風情が残っていないということな
         のですが・・・。
          山に登って(というと大げさで、徒歩2分ほどの距離ですが)、
         芭蕉庵の横まで行くことはできます。私は個人的に、庭の向こうに
         のぞいている風情の方が好きですが・・・。
          建物の中で、ボタンを押せば案内のテープを聞けるようになって
         いますが、こんなのが流れていればせっかくの風情も台無し。テー
         プなど流さず字を読みましょう。
          ここは村山たか女ゆかりの寺でもあります。
          今の建物は、また荒廃していたものを与謝野蕪村一門が再興した
         ものだそうで、何かいつの時代においても文人たちを引きつける魅
         力があるようです。

              

  2. 詩仙堂   金福寺から詩仙堂までは、歩いて15分くらいの距離なんですが、
         先ほど通ってきた東西の道まで戻って、いったん坂を下りていって
         も良いのですが、ここは近道をしてどんつきの本願寺北山別院をか
         すめて左手、北へのびる細い道を行きましょう。人がようやく二人
         通れるくらいの細いところもありますが、そのまま突き進むと、T
         字路に突き当たりますので、そこを右に、山の方に進むと、すぐ右
         手に詩仙堂の風情のある門が見えます。
          なんとも趣のあるどちらかといえば女性的な、嵯峨野によくみら
         れるような門で、「小有堂(しょうゆうどう)の門」というのだそ
         うです。この門をくぐると、普段のあわただしさや騒々しさを忘れ
         ることのできる結界のような気がするほど、この参道は空気が止ま
         っています。
          建物も、山奥の農家や草庵ののどかな佇まいと、桃山時代独特の
         優美でどこか華麗な佇まいが、派手派手しい自己主張もなくうまく
         解け合っているような気がします。
          縁側に座り、山の自然を楽しみながら、時折空気を震わす清々し
         い獅子おどしの音に耳を傾けていると、時間のたつのも忘れてしま
         います。
          この後は、曼殊院と、紅葉の時は足をのばして赤山禅院(せきさ
         んぜんいん)くらいですので、幸いにして人が少なければ、ゆっく
         り本を読むのも良いでしょう。ほっこりするのは、曼殊院よりこち
         らです。
          誰もいなければ、体を伸ばしてうたた寝でもしたくなります。
          の〜んびりと、脳のシワを伸ばして休めましょう。

  3. 曼殊院   詩仙堂ではお薄をいただけませんので、お薄を飲みたくなったら
         詩仙堂から少し山の方に進んだ「野仏庵」に行ってみるのも良いで
         しょう。さらに奥に登っていくと狸谷不動尊がありますが、今回は
         パス。
          詩仙堂から曼殊院までは少し距離がありますが、至る所に案内が
         出ているのでまず迷うことは無いでしょう。
          曼殊院からのびる参道を登って行くに従って、門跡寺院らしいみ
         やびた雰囲気になってきます。
          さて、ここでちょっと説明を。門跡寺院というのが京都にはいく
         つかありますが、この門跡寺院というのはどういう意味でしょうか
         ?ちょっと調べてみました。

           門跡寺院(もんぜきじいん)
             皇子・貴族などの住する特定の寺の称。宇多天皇が出家し
            て仁和寺に入ったのに始まり、室町時代には寺格を表す語と
            となり、江戸幕府は宮門跡・摂家門跡・准門跡に区分して制
            度化した。       (広辞苑より)

          さて参道を進むと、皇族が住んでいたというだけあって、石垣も
         見事な寺の偉容が見えてきます。この石垣の上のモミジが秋になり
         紅葉すると、石垣と塗壁と苔と見事に調和し、お金を払って中に入
         らずともここだけで満足できるくらい、絢爛豪華な姿となります。
              

              
                           20011123日撮影

          まあ今回は中に入りますと、かなり傷んではいますが狩野派の襖
         絵が迎えてくれます。全体的に、桃山時代の豪華さを色濃く残した
         江戸時代初期独特のつくりとなっています。
          なるほど説明を読むと、「建築・作庭の基本理念は細川幽斉から
         伝授された古今和歌集(国宝)、古今伝授(重文)、源氏物語(重
         文)、伊勢物語、白氏文集等の詩情を形象することであった。」と
         書いてあります。細川幽斉というのは、細川忠興のお父さんで、明
         智光秀の娘のたまさん(細川ガラシャ夫人)にとっては義理のお父
         さんにあたる人です。
          そんなせいか、華やかなことは華やかなんですが、例えば二条城
         二の丸御殿などに見られるようなアクがなく、皇族流に洗練させた
         ような雰囲気になっています。

          ここには、かなり気持ち悪い幽霊?の掛け軸もあります。見たい
         人は見て下さい。・・・私はパス・・・。

          さてここでもお薄などはいただけませんので、どうしても喉が乾
         いた人は、入場券を買ってすぐ左に行った奥にある自動販売機でジ
         ュースでも買って下さい。ちょうどよい腰掛けもありますので。

  4. 帰る    お疲れさまです。このコースはこれで終わり。帰り道は曼殊院を
         出て、来た道を戻らずにすぐに右(北)に行って下さい。するとの
         どかな、ここが京都かと思うような田園風景が広がっています。
              

         「京に田舎あり」です。少し前までは、今回のコースの周りは全て
         このような光景だったようです。花畑もたくさんあって、その花を
         売り歩く白川女の姿もよくみられたそうです。
          狭い国土ですので宅地開発も多少はやむを得ないとしても、なん
         とか人間がそこで心穏やかになれる、懐かしいような姿を残せるよ
         うな開発の方法は無いものでしょうか?
          このままでは、日本全国、工場で作られるプレハブまがいの組み
         立て式の大量生産の家ばかりになってしまいます。コンビニエンス
         ストアの店内が日本全国変わらないように、日本の風景・住空間も
         無味乾燥・没個性ばかりになってしまいます。

          さて田園風景を左に見ながらすすみ「関西セミナーハウス」の横
         を通り左に曲がって下さい。途中「鷺森神社」を横目に見ながらひ
         たすらまっすぐ坂道を下りていくとT字路に突き当たりますのでこ
         れを右に行って下さい。しばらくすると川がありますので、ここを
         左に曲がって川沿いに進むと白川通りに戻ります。
          紅葉の季節には、少し足をのばして赤山禅院に行ってみるのもお
         勧めです。

 お疲れさまでした。このコースの難点は、途中においしい食事がいただける場所が無
いことです。曼殊院の前にそばが食べられる茶店があるのですが、私はまだここで食べ
てないのでコメントできません。今度試食して報告します。

 他に何か良い情報が有りましたらkazuoy@mbox.kyoto-inet.or.jpまでメールを下さ
い。宜しくお願いします。

since 9.7,1996
last update 11.23,2001


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