大徳寺高桐院の庭


 大徳寺高桐院
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 桃山時代

 この寺は細川三斉(忠興、細川ガラシャ夫人の旦那さん)によって建てられた大徳寺塔頭の一つです。この三斉さん、智将として有名ですが、利休七哲の一人として茶道に於いて秀でた才能を持った人だった様です。その為か建物の中には茶室がいくつかあります。そして、そこに至る露地が存在するわけですが、こちらの方はあまり手入れが行き届かないせいか少々荒れている様に見えました。
 上の写真は客殿南庭です。中央奥に石灯篭があるほかは枯山水庭に見られるような庭石が存在せず、長方形横長の敷地には楓の木が数本植えられその足下を苔が覆っているのみです。にもかかわらず、と言うよりその為か何か緊張感をさらりと受け流すような優しいしっとりとした空間となっています。この閉ざされた空間の中に唯一木漏れ日だけが入ることを許されています。そうこの空間は光が美しい。初心者の私はこれを写真で捉えることはできません。現地を訪れてみて下さい。
 高桐院ではこの南庭を眺めながらお薄をいただくことができます。
 この南庭を眺めるとき、縁側に座って眺めるよりも少し下がって座敷の中程まで下がって座り眺めることをお勧めします。
 さてこの高桐院には細川三斉他、細川家代々のお墓があるのですが、この三斉さんの墓石が石灯篭となっています。この石灯篭はもともと利休居士秘蔵のものだったのですが、秀吉と三斉の双方から請われた際、利休居士はわざと裏面三分の一を欠いて疵物と称し秀吉の要請を退けたとのいわくがあります。のちに利休居士割腹の際、改めて三斉に遺贈され、三斉の遺言で墓石とされたそうです。銘を「無双」といい別名「欠灯篭」というそうです。

 さてこの寺で私が一番気に入った場所は、参道です。まさに幽玄の世界です。

        

   19961117日客殿南庭

 この寺にはいくつか茶室があるのですが、その内の一つに二畳台目の茶室、松向軒があります。闇の中に、小さな明かりとりから障子を通して柔らかな光がしみこんでいます。そこに居合わせたおばさんが一言「なんや、暗いなぁ」・・・オイオイ(^ ^; 。
 谷崎潤一郎氏の「陰翳礼賛(いんえいらいさん)」の中にこの様なことが書かれていました。個人的に好きな言葉ですので引用させていただきます。
 「われらの祖先の天才は、虚無の空間を任意に遮蔽して自ずから生ずる陰翳の世界に、いかなる壁画や装飾にも優る幽玄味を持たせたのである。」

(
追記)
 5月初旬の休日、麗らかな陽気の中新緑を楽しみに再び高桐院を訪れました。大徳寺はその山内に足を踏み入れたとたん、その清々しき緊張感に心洗われるのですが、高桐院はその山門から覗く空間から既に格別の清冽が感じられ襟を正す重いがします。自然石の石畳を抱く青苔は、瑞々しく輝き、私を歓びの内に誘います。
 ここまで歩いてきた私は、まずはお茶を所望。さすが茶人ゆかりの寺。見事なお手前です。その薄茶に負けず控えめでいながら洗練されたお菓子は、紫野「末廣」の御製でした。楓若葉の木漏れ日は青苔、畳に豊かな表情を作り出し、祖国日本の美が我が遺伝子と共鳴し震えるのを全身で感じることができました。
 庭の楓に、紅が目にも鮮やかな一本。新芽の折、秋と二度紅葉するとか。光り輝く新緑の若葉と紅の織り成す錦絵は、瞳をつきさし脳裏に焼き付く鮮烈な美でした。高桐院の美がもっとも高みに達するのはこの今、新緑の季節です。

                             200354日追記


アクセス

住所 京都市北区紫野大徳寺町
交通 市バス 1番 12番 特59番 61番 92番 204番 205番 206
       「建勲神社前」             (19969月現在)
tel.
 075-492-0068


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