たかが嵯峨野
  されど嵯峨野コース

 渡月橋(とげつきょう)〜亀山公園〜大河内山荘〜常寂光寺〜落柿舎
 〜厭離庵〜祇王寺〜仏野(あだしの)念仏寺〜鳥居本平野屋〜大覚寺・大沢池
 〜宝筐院〜天龍寺〜西山艸堂(せいざんそうどう)〜渡月橋

 略地図
      前編・・・渡月橋〜祇王寺
          後編・・・仏野念仏寺〜渡月橋


  これは女性に人気のあるあまりにも有名なコースなので敢えて私など今さらが書く
 こともないのかもしれませんが、まぁガイドブックなんかと違いタダの情報というこ
 とでしばしおつきあい下さい。
  それほどこのコースは有名で、有名になった弊害としてかなり俗化されてきている
 ように思います。土産物屋はもううるさいほどですし、嵐山付近には芸能人の店や美
 空ひばり館なんかができたりして、もう信州の白馬や東京の原宿のような有り様も見
 受けられます。
  しかし嵯峨野の奥の方に行きますとまだまだ平安貴族が愛した山里の気配や鳥居本
 付近は趣のある町並みが残っています。今回はそんな嵯峨野を例によって私の独断と
 偏見によりご紹介したいと思います。
  尚ご意見・ご感想はkazuoy@mbox.kyoto-inet.or.jpまでどんどんお送りいただき
 ますようお願いします。


 まずこのコースを廻る際の方法なのですが三通り考えられます。

  1 散策 つまり歩く  2 レンタサイクルを借りる  3 人力車

 京都弁べたべたの人力車のお兄さんの巧みなtalkを聞きながらの嵯峨野巡りもなかな
か良いと思いますが(私の友人は大学時代このバイトをしていました)、今回はパス。
 大覚寺・直指庵まで足をのばされる場合はレンタサイクルを借りた方が良いかもしれ
ません。そうでなければ断然歩くのをお勧めします。狭い道が多く、またポイントから
ポイントの移動そのものが魅力の嵯峨野では自家用車・タクシーはお勧めできません。

 渡月橋   始点はやはり渡月橋でしょうか? 交通の便もここを始点にすると阪急
      嵐山線「嵐山駅」、京福嵐山線「嵐山駅」と市バス以外も使え便利です。
       ここから嵐山(上流左手の山)の眺めは、深山幽谷といった感で見事で
      す。雪化粧をした朝靄の嵐山が、ここの一番の晴れ姿だと私は思います。
      まさに中国の山水画の様です。
       さて渡月橋を(北へ)渡ったらすぐに左へ川べりの道へ入りましょう。
      この道沿いに「吉兆嵐山本店」などもあります。途中Vの字に枝分かれし
      ている道を左に進んで下さい(右のどんつきは「嵐亭」)。しばらくする
      と右手に「亀山公園」の看板が見えます。

 亀山公園  ここではひたすら「頂上展望台」を目指して下さい。小高い丘ですので
      坂道ですがまずはひたすら登って下さい(大した坂ではありません)。す
      るとこんな景色が広がっています。   

 大河内山荘  大河内山荘は亀山公園のすぐとなりです。道標に従えば迷うことはあ
       りません。亀山公園を出ると竹林が広がっています。
        大河内山荘は有料で少々高めですが 、これにはお薄代も含まれている
       ので・・・でもやはり高いか? でも入ってみてください。こちらの詳
       細は大河内山荘のページでご覧下さい。

 常寂光寺   さて大河内山荘を出ると正面に一番上の写真の様な竹林が続いていま
       す。こちらを進むと野宮神社があります。別に大したことないんですが
       「縁結び」の神社ということですので興味のある方は行って下さい。
        常寂光寺へは上の道に向かって左手に進むと近道です。でもやはり竹
       林の道の方が雰囲気がいいですけれどね。
        さて常寂光寺ですが、紅葉の季節は絶対に訪れるべき寺です。ちなみ
       にここも有料。
        山門をくぐり石段を上がり、仁王門をくぐりさらに石段を上がる。こ
       の時すでに空は真っ赤に染まっています。石段を登り切ったらそのまま
       本堂へ向かわずに後ろを振り返って下さい。嵯峨野随一の紅葉の名所が
       眼下に望めます。
        境内は小倉山の斜面に広がっているのですが、なにしろ地面も空も全
       てが紅なのです。神々しいまでの美しさです。お帰りの際は、行きの石
       段を降りずに横のなだらかな階段を降りて下さい。やわらかな光に包ま
       れた優しい女性的な趣が待っています。
                   
                    これは別の日19961117
 落柿舎    落柿舎は江戸時代の俳人、向井去来が閑居した跡です。ひなびた藁葺
       きの庵で趣深いところです。おそらく紅葉の週末ともなれば大勢の人が
       押し掛け、侘びた風情など望むべくもないでしょう。叶うことなら平日
       に訪れてみてください。ここは葉が全て落ち、木に柿の実がなっている
       ときが一番趣があります。

 祇王寺    落柿舎から祇王寺へ抜ける途中に、嵯峨野には珍しい堂々とした大き
       な門が左手に見えます。二尊院です。せっかく来たのだからとおっしゃ
       る方を止めはしませんが、ここも有料です。全ての寺を廻っていると結
       構出費がかさむので、どこかを削るというのであればここだと思います
       。「紅葉の馬場」と呼ばれる広い参道はその名のとおり美しいのですが
       、その他の場所に見るべきところがあまりないように思います。ただ仏
       像に興味のある方は訪れて下さい。名前の由来となっている共に重文の
       釈迦如来像と阿弥陀如来像が待っています。

        さて王寺にまいりましょう。ここはやはり「平家物語」を読んでか
       ら訪れると魅力が増すと思います。巻第一「妓王の章」に出てくる祇王
       とその妹である祇女、そして仏御前ゆかりの寺です。
        とはいうものの彼女達(実在かどうかも不明)が本当に住んでいた建
       物があるわけではなく、明治時代に他から移されたものです。
        しかしながらそんなことは忘れ、この小さな茅葺きの本堂に尼となり
       仏に仕える彼女達の姿を思い浮かべましょう。素朴な庵といった風情の
       本堂には祇王、祇女、刀自、仏御前と清盛の木像が安置されています。
       ただ、この木像は教科書などに載ってる有名な木像とは違います(これ
       は六波羅密寺にあります)。
        奥の吉野窓(円窓)の前に文机が置かれています。つい今しがたまで
       祇王がここに向かってお経をしたためていたかのような錯覚にとらわれ
       ます。

        祇王寺の奥には滝口寺があります。ここも祇王寺と同じく明治時代に
       「平家物語」巻第十「横笛」に出てくる滝口入道にちなんで再建された
       ものです。今、祇王寺と滝口寺が建っている場所はかつて「往生院」と
       いうかなり大きな念仏道場のあったところだそうです。滝口寺ももとも
       とは往生三宝院という寺だったところだそうです。上記の「横笛」にも
       「嵯峨の往生院におこなひすましてぞ居たりける」とあるように滝口入
       道が出家して入っていたとされています。
        この滝口寺の境内には「太平記」に出てくる新田義貞の首塚(越前で
       討たれて首だけ三条河原にさらされていたため)もあります。義貞の奥
       さんである勾当内侍が首を盗んできてこのあたりに庵を結んだと言われ
       ており、かつての嵯峨野の地が世をはかなんだ人々の隠棲の地であった
       ことがうかがえます。
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since 10.19,1996
last update 11.24,1996


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