旬の京都
2000年2月29日

「春風の夢」
2月に入ってからの寒風の日々
山々は白く煙り
道行く人は襟を立て背を丸める
凍り付いた古都
訪れる静謐
そんな2月最後の週末
東山の麓を逍遥しました
顔を削り取ろうとするかの風は
優しさを微塵も感じさせません
ところがその厳しさがかすかに緩みました
誘われつつ知恩院の境内を行きました
峻厳を溶解せんとするその源は
健気に芽吹いた白梅の香りでした
寂寥の領域に立つ一本の陽気
まだかすかなその香りは
日毎に力を増し
ついには春を導くでしょう
眠っているかの自然
柔らかな優しき風の夢を見ることができました
まぎれもない正夢です