1999年6月20日
あれから二週間
週末からの水幕
ようやく山河が濡れました
所在なげであった草木は
瑞々しく輝いています
朝早く
東山を超えて洛外へ
三室戸を訪れました
ひんやりとした山の匂いの中
鴬の歌声が響いていました
杉木立の足下を被い尽くす
うす青、濃い青、濃い紫、青味を帯びた紫、紫をかすかに宿した白
一万株
清々しい緑の中で
露を貯え輝いていました
清風流るる紫陽花の渓谷
その中に身を置いていると
なにやらその空間の清浄に同化できるような心地がしました
三室戸の谷は心の汚れを洗い浄めてくれました
そして法金剛院
待賢門院の気品と美を伝えるかの様に
紫の額紫陽花が輝いていました
紫は高貴の色
蓮の葉の上では
昨夜の雨の名残りの露が
風に揺られて踊っていました
妙心寺東林院
沙羅の花が青苔に白く映えていました
梅雨の合間の心地よい一日でした