旬の京都

2002816日作成



送り火



8
16
盆の終の日
市街の窓から灯が消え行く
月夜にうっすらと見える東山のなだらかな稜線
その中空の闇に巨大な文字が浮かび上がりました
周囲から沸き起こる歓声
盆の間
こちらに戻っていた先祖
あの世へ旅立つ足下を照らす送り火です
雄大な達筆の大の字は
力強くその焔を燃え立たせました

間もなく北の空に妙法の文字
優美な妙の字は我が眼前に浮かび上がりました
その揺らめきも見えるほどに近くに

家族と共にあった精霊を見送った後
徐々に衰える火勢と共に
京の夏が終わりを告げました



昨年から独り暮らしを始めた我が侘び住まい。
五山の内、四山まで見えるその眺望で選んだようなものです。
あの世に戻る父の霊を見送る為に。
今日そのその日を無事に過ごせたことを感謝しつつ、父の戒名を書いた木片が燃え立つ
のを眺めていました。前日に浄土寺で父の戒名をしたため、16日に送り火を見る。
水面に大の字を映し取りつつ、その水を飲み干す。
私の変わることの無い年中行事の一つです。

残念なのは、送り火の最中にも家の灯を消さないところが増えたこと。
送り火の際は、家の灯を消して闇を作り出すという暗黙の了解があります。
特に「妙」の手前のマンションからは、殆どの部屋から明々と光が漏れ、闇に雑光が
交じってしまっていました。外から京都に越してきて知らないのか、知っていて無視しているのか。
こうしたことは親から子に伝えて行くものなのに。
あれでは精霊も、あの世への旅路を迷ってしまうことでしょう。。。

ちなみに五山とは「大」「妙法」「左大文字」「舟」「鳥居」です。
我が家のバルコニーから見えるのは、この内鳥居形を除く四山。
私はこの内、「大」と「妙」が好きです。


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