旬の京都

200799日作成

光輝


比叡の峰の深き緑陰
朝方よりの雨に洗われ
霧の中で匂いたつ
大原より尾根に取りつき峰道を逍遥する
肌を撫でる風は
既に秋の気配

荘厳な杉の巨木より生気を得つつ坂道を登る
ふと目線を上げる
そして呆然と立ち尽くす
それは山の精霊か 溢れる光輝
心の内まで洗い浄める

我が国の自然溢るる山々は
時に厳しい表情を見せつつも
しかし多くは優しく慈愛に満ちて
我々を抱いてくれます

山々は
子孫に残すべき日本人の聖地です



 表題は「旬の京都」ですが、このタイトルには嘘があります。ごめんなさい。
 この場所は、比叡山延暦寺境内。椿堂横の峰道です。
 比叡山はよく、京都の山と言われます。確かに西の裾野は京都に属しますし、京都の街からは、
常にその東山に連なる姿を見ることができます。しかし、延暦寺の代名詞となるいわゆる叡山は、
近江、つまり滋賀県の山です。
 延暦寺は、平安京の鬼門を守護する為に建てられたかの如く受け取られがちです。私もそう
思っていた一人なのですが。。
しかし、近江出身の僧である最澄が一乗止観院という小さなお堂
を立てて籠ったのは、平安京が造られるより前の話ですから、平安京守護の為に建てられたのは
正しくありません。
その後、都の鬼門を守る役割を担ったことは間違い無いのですけれどね。
 比叡山は、近江の坂本側から開かれて行った山です。文化的には、京都ではなく、近江に属する
山と言った方が正しいですね。

 とはいえ、京都人の私にとっても親しみのある山。
 以前は、円通寺などから借景として眺めることが主であったこの山ですが、ここ三年来山歩き
の中毒となっている私にとっては、手軽に登れる身近な山となっています。
 修学院離宮横の雲母坂より登り、根本中堂をかすめ、今も千日回峰行者が歩く峰道を北上し、
大原の三千院脇に下山するのが、丁度良い散歩道となっています。
 標高も低く、山中にドライブウェイやホテルがあり、街も近いですので、高野山ほどの霊気
を感じる深山幽谷の趣は望むべくもありません。しかし、手軽に歴史と自然の中に身を置くこと
のできるお気に入りの場所です。
 山歩きをされない方でも、ケーブルカーなどで東塔まで上がり、玉体杉という、かつて回峰
行者が、京都御所に向かい、天皇を拝んだ場所まで行くことができます。高低差はほとんど
ありませんが、スニーカー程度の足ごしらえは必要ですけれどね。写真の椿堂付近は、植林で
はない、原生林のような豊かな山の雰囲気を味わうことができます。雲母坂から尾根沿いの
峰道を行き、大原に下りるトレイルを行かれる方は、軽登山の装備を準備される方が良い
でしょう。


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