旬の京都

2000122


「錦繍の便り」



私の好きな本に
宮本 輝氏の「錦繍」があります
今は別々の道を歩むこととなった男女が
偶然、紅葉の蔵王で再会することからこの物語は始まります
そして、その物語全てが
この男女の往復書簡のみによって構成されるのです
物語を緩やかに流れる時の風情
そのなかに紡ぎ込まれた情念に没頭しました

山々が彩づきはじめると
私はこの物語を思い出します

今年の紅葉は少々遅く
彩づきも全体としては今一つでした

にもかかわらず
京都は例年通りの大喧噪
私は辟易として洛外へ逃れ
石山寺と坂本へと訪れました

そして休みの日の午前中、クライアントを訪れた帰り
少し足を延ばして浄瑠璃寺を訪れたのです

そこには
見慣れた禅寺の清冽とは異なった
大らかな気高さがありました
三重塔の足下
池の端に輝く紅

紙の上を走るペンの感触
メールではなく手紙で
季節の便りを送りたくなりました








下の写真は、20001126日に京都府相楽郡にある浄瑠璃寺で撮影しました。


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