駄文13 ダサコン


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 ダサコンに行った。

 あいにくと、その日は別件があったので、田中啓文さん、田中哲弥さんとともに途中からの参加になってしまった。

 別件が終わって、さあダサコン会場に行こうとなった時、啓文さんがまず、「ところで、ダサコンって、どこでやってますのん? きっと他の人が知ってると思て、調べて来んかったんですわ」と言った。もちろん、こうなることは十分予想できたことである。次ぎに哲弥さんが「僕もこんな大事なことは他の人らが調べてないはずはないと思て、何も知らんと来たんですわ」と言った。もちろん、これも十二分に予想できたことである。このような二人の行動を予想して、律儀にも会場の場所と電話番号をメモしてきた自分がなんだか見透かされているようで、情けない気分になった。

 会場の旅館には豪勢にもタクシーで乗り付ける。時刻は午後11時過ぎ。中に入ると、ロビーには誰もいない。はて、どうしたものかとしていると、不機嫌そうな年配の男性が出てきた。

「あ、あの……」

「ああ。ダサコンっちゅうやつやろ。あっちや」

 男性の指差す方に逃げるように向う3人。と、そこは大広間。いつもの雰囲気である。あっちこっちで、知った顔、知らぬ顔がわあわあ言うております。

 舞台 (というか、大広間の一方の端) では、冬樹蛉さん司会で、「○○と××ぐらい違う大賞」の発表が行われていた。冬樹さんはこの前の「昭和37年生まれは我侭芸能人と犯罪者と SF 者しかいない」とかそんな題名の催しにも我孫子武丸さん、北野勇作さん、喜多哲士さんとともにゲストとして呼ばれていたはずだ。

 三馬鹿カルテッド五人組の6人目のメンバーでもある我孫子さんは田中哲弥さんを見つけるとしやきしゃきと事務的な口調で、ある書類を提出するように要求した。おお。そうであったと哲弥さんはその重要書類を手渡す。

「今日は少し疲れたので先に部屋で休ませていただきます。この書類は確かにお預かりしました」と、我孫子さん全然疲れを見せずにてきぱきと退場。

 しばらくして、田中啓文さんも帰宅された。実はこの後、啓文さんをインディージョーンスばりの大冒険が待っていたらしい。詳細は啓文さんの日記参照。

 会場では、ファンタジー大賞作家の森青花さん、山之口洋さん、「プリンセス・プラスティック」の米田淳一さんなどの方々にお会いできた。また、数年前からのネット上での知り合いである溝口さんにネット外で初めてお会いできたのも収穫だった。

 それからはまあいつものメンバーと朝までいろいろとアホな話続けたのだが、あちらこちらの掲示板にレポートが載っているので、詳しくは書かない。と言うか、あまり覚えていない。確か、田中哲弥さんの弱点を5つぐらい数えあげていたのを覚えている。将来、哲弥さんが人類の敵になった時のためである。1つめの弱点は尻尾である。2つ目以降は忘れた。それから牧野さんに正しい猫の回し方も教わった。両手で猫の尻尾を掴んでハンマー投げのように自分の体ごと回転させるのが正式なやり方だが、最近は片手で掴んで頭の上で振り回す略式ばかりが行われている。これでは早晩正しく猫を振りまわせる人がいなくなってしまう、と牧野修さんは寂しそうな様子だった。

 そうこうしているうちに朝になる。

 我孫子さんが起きてきて、しきりに首を捻っている。どうかしましたかと、訊くと、「いや。昨日、この大広間で酒を飲んでいたんですが、気がつくと部屋で眠っていたのです。しかも、枕元には田中哲弥さんからいただく予定になっていた重要書類があったのです。つまり、論理的には夜中の間に誰かが僕の部屋に忍び込んで、この書類を置いて行った以外には考えられないのです。全く不可解なことです」

 不可解である。あんなにはきはき話す泥酔者がいていいものだろうか?

 閉会式の後、行くあてもないのでだらだらと我孫子さんについていく。結局道頓堀の喫茶店をダサコン関係者が朝っぱらから大挙して占拠する。

 大森望さんと我孫子さんがいったん外に出て数分後に戻って来た。たこ焼きを食べに行ったらしい。朝から元気である。それに引き換え、田中哲弥さんは元気がなかった。元気がないというよりは、明らかに具合が悪かった。顔面蒼白である。徹夜が利いているらしい。おおそう言えば弱点の一つは徹夜に弱いということであった危うく忘れるところであった人類は救われた

 ということで、田中哲弥氏は苦しそうに唸りながら帰って行った。

 その後、我孫子さんの引率のもと、大森さんと北野さんと牧野修さんとで、ラーメンを食べに行く。なんだか、知らないが、とてつもなく量の多いラーメン屋だった。いくらなんでも、徹夜明けにこの量のラーメンはないだろうと半チャーシュー麺にしたのだが、実際に食べてみると物足りない。不思議なものである。

 食後、さいとうよしこさんが合流。われわれを見た瞬間、悲鳴をあげる。「牧野修さんが増殖している!」それが事実なら、確かに悲鳴をあげるべき事態ではあるが、そんなはずはない。さいとうさんは北野さんを牧野さんの分身だと誤認したのだ。なるほど、二人とも坊主頭だし、髭を生やしているし、背格好も似ている。初めて見たら、同一人物だと思っても不思議ではない。

「えっ? 僕、前にもお会いして、お話させてもろたことあります」と北野さん。

 さいとうさんはずっと北野さんを牧野さんだと認識し続けて接していたらしい。でも、特に不都合なことはないので別にいいのではないかと思った。

 その後再び喫茶店に入る。中途半端にラーメンを食べたせいか、やたら腹が減っていたので、皆が飲み物を頼む中、一人チョコレートパフェを頼む。北野さんに「徹夜明けにラーメンを食うてから、パフェを貪る。それでこそ、漢(カン)と書いて漢(おとこ)や」と褒め称えられる。ここで、さいとうよしこさんに関西人ですら知らない関西ローカルのカルトな雑誌――記事がすべて電波文――を見せてもらい、げらげらと笑いながら解散。


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