駄文15 京フェス


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 京フェスに行った。

 午前中、別件の打ち合わせがあり、その後カナダから来日中の SF 作家ロバート・J・ソウヤー氏を囲む昼食会に参加する。メンバーは幹事の喜多哲士さん、我孫子武丸さん、大野万紀さん、大森望さん、五代ゆうさん、さいとうよしこさん、菅浩江さん、野尻抱介さん、林譲治さん、冬樹蛉さん、京都SFフェス実行委員長加藤さんという面々。ソウヤーさんの英語は非常にわかりやすく、また内用もユーモアたっぷりだった。日本と同じく北米でも若者の科学離れが問題になっていると聞き、少し暗い気持ちになったが、ソウヤー氏の楽天的な様子にほっとした気分になる。

 その後、喫茶店に寄った後、京フェス会場のさわやへ。

 受け付けで、アンケートを渡される。何組か SF 者夫婦の名前が書かれてあり、「SF 的に最も好ましいカップル」を選べとある。「SF 的に最も好ましい」という意味がわからなかったが、物理学者の菊池誠さんが悪巧みをしていたので、仲間に入る。

 今回、なぜかオープニングに小浜さんが間に合わず、大森さんが会場のプロ系の方々の紹介を始める。いつもながら、プロの割合が異様に高いイベントである。もっとも、SF 系のイベントは大概そうなのだが。

 合宿企画に入る前に、アンケートの結果発表。その日、11月11日は電池の日ということで、ベスト・バッテリーを選ぶという主旨だったらしい。因みになぜ電池の日かと言うと、11を漢字で書くと、「十一」となり、+ と - のように見えるからだそうだ。ベスト・カップルは小浜さんと三村美衣さんの夫婦に決定。賞品はバッテラ (バッテリーとかけてある)。2位は菊池誠さんの悪巧み通り、野尻さんと仙台エリさんだった。知らない人のために言っておくが、野尻さんと仙台さんは別に夫婦でもなんでもない。野尻さんが仙台さんの熱烈なファンというだけ。野尻さんは口では嫌がっている振りをしていたが、にやにやととても嬉しそうだった。

 今回は五時始まりで、夕食を食べる時間がないため、我孫子武丸さんの先導でカレーライスを食べに行く。とても辛いカレーで汗だくになりながら、隣に座った高野史緒さんの話を聞く。内容はとてもここには書けない。

 さわやに戻って、いつも通り馬鹿話をした後、「宇宙開発の部屋」に参加。皆が自分の興味のある方向に引っ張ろうとするので、話が酔歩するのがとても楽しかった。こういうことこそがコンベンションの醍醐味だろう。太陽熱ロケットが案外有望で、反物質ロケットはあまり使えないらしいということがわかった。

 その後は「ファースト・コンタクト・シミュレーションの部屋」。2つのチームがそれぞれ互いに正体を知らない宇宙人の役になり、宇宙空間で遭遇するという設定で、一種のロール・プレイ・ゲームを行う。2つのチームは別々の部屋に集まり、両者のコミュニケーションは通信 (実際には紙に書かれた単語と絵) のみで行われる。それぞれの宇宙人の設定は野尻さんと僕が作った。少なくとも僕の側チームはめちゃくちゃ盛り上がり、午後10時から午前3時にかけてゲラゲラと笑いながら続けられた。コンタクトの直後、突然野尻チームの宇宙人が小林チームの宇宙人を450人も虐殺するわ、水爆で宇宙船ごと自爆するわ、と驚くべき展開もあったが、詳細は別に報告する。

 広間に戻ると、牧野修さんと田中啓文さんが来ていた。大阪での森奈津子さんの公開講座に参加してきたそうだ。お二人によると、森さんは講義中、「小陰唇」という言葉を連呼されていたという。後で田中さんが理由を尋ねたところ、「本当は『お×こ』と言いたかったのだけど、関西弁のアクセントがわからなかったので、言わなかったの。間違ったアクセントで言ったりしたら、恥ずかしくて顔から火が出てしまうわ」と答えられたという。そこで、田中さんが正しいアクセントを教えたところ、「ありがとう。これでこれからは恥をかかなくてすむわ」と感謝されたとのこと。美女に感謝されて羨ましいことである。

 それから朝まで例年通り、いろいろとためになる話をしていたが、やはり例年通り殆ど何も覚えていない。微かに覚えているのは、完全犯罪の斬新なアイデアの話題だ。死体を70万年前の地層に埋めれば、発見された時死亡推定時刻が70万年前になり、時効が成立するという論理に一分の隙もないアイデアだったが、残念ながら発表の機会がないのでここに書いておく。

 朝になったので、我孫子さんの先導で朝食を食べに行く。ここでもためになる話の続きをしていたような記憶がある。

 11時から京大会館で本企画が始まる。

 まずは「海外 SF レヴュアー座談会」。原書を読んで紹介している。冬樹蛉さん、加藤逸人さん、磯谷彩子さん、深山めいさん、寺尾千佳さんが自らの体験に基づく原書の楽しみ方を話されていた。思えば、大学を卒業してから原書の SF を読んでない。座談会を聞くと、また読んでみたいような気がするが、僕の場合、普通の本の10倍ぐらい掛かってしまうのが難点だ。

 昼休みを挟んで、「SF 鼎談 ―― SF 誌の新世界――」。現在、日本にある SF 雑誌は「S-F マガジン」、「SF オンライン」、「SF Japan」の3誌だけしかない。しかし、数年前までは「S-F マガジン」だけだったことを思うと、日本 SF には回復の兆しがあるのかもしれない。

 最期は「ロバート・J・ソウヤー インタビュー」。聞き手は野田令子さん、通訳は宮城博さん。「あなたはソウヤーさんですか?」「そうや」とお約束の駄洒落から入る。宮城さんもいつの間にか、聞き手になり、ソウヤー一人で二人を相手に一歩もひけをとらず、さすがである。小説のネタ探しは洋の東西を問わず同じなんだなあと感じ入った。

 本会の後、いつものように京阪電車で家路につく。

 


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