駄文34 縦書きに挑戦

 


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 日本語は縦書きと横書きの両方に対応した言語である。

 新聞や小説などは今でも縦書きが主流であるが、公文書や契約書、会議資料などは横書きが主流である。

 横書きのメリットとしては、アラビア数字との相性がいいことや、横書き文化である欧米の書類の様式がそのまま流用できるという点がある。

 一部に、横書きと縦書きのどちらかがより速く読めるという議論もあるようだが、これは殆ど慣れの問題だろう。携帯メールやネットを頻繁に利用する人は横書きの方が速く読めるだろうし、小説本をよく読む人は縦書きの方が速く読めるだろう。

 どちらが優れているかということではなく、両方を使い分けることができるという点がいいのだと思う。少なくとも縦書きと横書きを併用できることでレイアウトの自由度が高くなるのは間違いない。

 ところで、インターネットは完全に横書き優位の世界である。コンピューター自体が欧米で開発され、長らく日本語表示に対応していなかったという歴史の影響が強いのだろう。そもそも画面上の位置を表す座標からして、左上から始まる。縦に使うと言う発想が最初からないのである。

 まあ、横書きだけでも、それほど不便ではないのだが、せっかく縦書きと横書きの両方の文化があるのだから、インターネットで両方を使い分けられないのは勿体無いと思う。

 という訳で、今回はウェブでの縦書き表示に挑戦してみた。

 なお、取り敢えず縦書きに見えることを目的としたので、見栄えについては、あまり気に掛けなかった。工夫次第ではさらに美しい表示にできると思うので、興味のある方は各自試みていただきたい。

(1) スタイルシートによる方法

 調べてみると、すでにスタイルシートは縦書きに対応しているようである。という訳で、『ΑΩ』の冒頭で縦書き表示を試してみた。スライドバーは左にあるで、ご注意を。

縦書きページの例 (1)

 なんとタグ1つで、ほぼ完璧な縦書き表示ができてしまった。コピー&ペーストもできるし、文字修飾も自由にできるし、リンクも張れる。また、ウィンドウの大きさに合わせて、一行の文字数が変わるといったウェブページの特徴もちゃんと再現できている。

 よって、今回の実験は終了……と言いたいのであるが、実は縦書きスタイルシートに対応しているのは、InternetExplorer5.5 以降のみということなのである。「InternetExplorer は使いたくない」という信念を持った人々も少なからず存在することを考えると、これだけで事足れりとするのは、早急かもしれない。

 という訳で、引き続き、別の手法も試みることにする。

(2) 並べ替えによる方法

 見かけが縦書きになるように、横書きの文字を並べ替えるという手法である。言葉で説明すると、よくわからないので、取り敢えず実物を見ていただきたい。

縦書きページの例 (2)

 見た目は縦書きだが、カーソルで文字を選択していただくとわかるように、実際は横書きなのである。一つずつ、人力でこんなことをすると気が遠くなるが、幸いこのような縦横変換をしてくれるフリーソフトはいくつか存在する。今回は「縦書き HTML」というソフトを使用した。縦書きのかぎかっこや句読点を半角ずらしで表現するなど、なかなか心憎い。

 この方法は一応縦書きとして読むことは出来るが、実際には横書きなのでコピー&ペーストや文字修飾やリンクは1文字単位でしか実行できない。また、一行の文字数や行数を固定する必要があるので、ウィンドウの大きさに合わせた柔軟な表示もできない。そもそも HTML の設計者が想定していないイレギュラーな使用方法であるため、完全には縦書きに対応した表示にはならない。さらに検索エンジンや更新アンテナによるページ内容の抜粋は意味不明な文字列になってしまうという欠点もある。

(3) 表による方法

 表のセルの幅を細くすることによって、セル内の1行の文字数を1文字にする。つまり、横書きで1文字1行にすることにより、見かけ上縦書きにする手法である。これも「百聞は一見に如かず」実例を見ていただきたい。

縦書きページの例 (3)

 この方法だと、1行単位でコピー&ペーストや文字修飾やリンクが実行できる。しかし、1行の文字数はやはり固定されてしまうし、イレギュラーな使用方法のため、完璧に縦書きに対応した表示にはならないのは (2) と同じである。

(4) 画像による方法

 テキストに拘らなければ、画像を使って完全に縦書きに対応した表示が出来る。(テキストは alt 属性に埋め込むこともできる)

縦書きページの例 (4)

 HTML の使用法としてもイレギュラーなものではない。ただし、1行の文字数が固定さてしまうし、データ量が大きくなってしまうという問題点もある。実はこの方法によって表示したページはこのサイトの中にもある。ただし、縦書きにこだわった訳ではなく、原稿の電子データが見付からなかったため、雑誌記事をスキャンしたのである。

(5) PDF による方法

 当たり前の話だが、縦書きに対応したソフトを使えば、簡単に縦書き表示ができる。PDF はプラットフォームに依存せずに、正しく書式を表示する目的で開発されたものであり、このような目的には最適であると考えられる。

縦書きページの例 (5)

 本来印刷のためのソフトであるため、1行の文字数や1ページの行数は固定されるが、それ以外は理想的な表示形態であるように思われる。

 ただし、PDF ファイルの表示はそれ自体、閲覧者にストレスを与える可能性がある。まず立ち上げで、かなりの時間を食うし、ブラウザと操作系が変わるため、保存や印刷といった基本的な動作ですらすんなりとはいかないかもしれない。

 

 以上、様々な手法を試した結論を言うと、(1) > (5) > (4) > (3) > (2) の順で推奨できると考えられる。

 8割り程度の閲覧者に縦書き表示で読んで貰えるなら、残りの2割り程度には横書きで読まれてもいい、と思う人には迷わず (1) を薦める。

 必ず縦書きで読んで欲しい。横書きで読むぐらいなら、読まなくてもいい、と思う人なら (5) が適している。

 1ぺージ程度の分量なら、(5) ではなく、(4) でもいいだろう。

 横書きの文章中に数行だけ縦書きが必要なら、(3) も便利だ。

 実用性はさほど高くないが、(2) にはパズル的な面白さがある。

 他にも、面白い手法をご存知の方がおられたら、是非お知らせいただきたい。

 

[追記1]

 SF 作家の林譲治さんから以下のような情報提供があった。

 縦書きですが、エクセルなどのスプレッドシートで幅が一文字程度の細長い表を作製し、その表に一行単位で文章を書き込んでから、html形式で保存するという方法も考えられると思います。これだとカーソルも一行の範囲ですが縦に機能します。

 それで実際にサンプルを作ってみましたが……理想には程遠いようです。

 これは (3) 表による方法 を簡単に実現する方法と考えられる。テキストで HTML を書くのが億劫で、かつ、HTML エディターを持ってない人には、お勧めの方法である。

 

[追記2]

 snj_x さんから以下のような情報提供があった。

縦書きの選択肢にはこのようなものもあると思います。

http://www.kagetaka.org/index.html

縦書きブラウザ 「影鷹」

開発途中ということもあり条件は厳しいですが、将来の布石のひとつとして注目に値すると思います。

「影鷹」というプログラムには、ブラウザとアプレットの2つがあるようだ。「影鷹ブラウザ」は任意のホームページの内容を縦書きで表示するものであり、縦書きにするかどうかは発信側ではなく、受信側が決めることになる。今回の目的とはややずれるかもしれない。「影鷹アプレット」の方は特定のページを JAVA アプレットを使って縦書き表示するものである。これは発信者側が縦書きにすることを決めるので、今回の目的に沿ったものである。ただし、受信者側のブラウザが JAVA アプレットを実行可能であることが必要である。つまり、(1) スタイルシートによる方法 と同様の問題点を含んでいることになる。InternetExplorer 以外の JAVA アプレット 実行可能なブラウザで縦書き表示させたい場合には有効な手段だろう。

 

[追記3]

 通りすがりさんから以下のような情報提供があった。

もうご存知かもしれませんが、こんなのを見つけました。

http://www.sf.airnet.ne.jp/~ts/filter/index.html

 縦書きフィルター (URL を指定します)

 読み込んだ文書を縦書きにします。現在のところ、画像やアプレットには対応していません。

ついでに:

http://www.sf.airnet.ne.jp/~ts/language/index.html

 日本語の門 - 日本語のウェブサイトを日本語書体がない状態で見るための仕組み。

 URL を入力するだけで日本語の文字が画像に変換される。説明は英語。

  これはブラウザ上の窓に URL を打ち込んで表示させるタイプの無料サービスの一種である。縦書きにするかどうかは、受信側が決めることになる。下の方のフィルターは海外で日本語フォントを持ったパソコンがない場合に便利かもしれない。(なぜか僕が使用したときは、両フィルターともうまく機能しなかったのだが)

 

[追記4]

吉左右衛門さんから縦書きブログを開設したとのメールをいただいた。

吉左右衛門ブログ

純和風でなかなかしゃれたサイトである。


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