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駄文40 世界の中心

「世界の中心で愛を叫ぶ」というドラマは見ていないのだが、このドラマに出てくる「世界の中心」というのはどうやらオーストラリアのどこからしい。当然、「どうしてオーストラリアが『世界の中心』と言えるのか?」という疑問が湧いてくる。

「世界の中心で愛を叫ぶ」を見ていないので、推測にしか過ぎないのだが、オーストラリアにはエアーズロックという巨大な一枚岩が存在する。遠くから見ると、地面に生えた巨大な出べそのように見える。つまり、「大地の出べそ」だが、これが「地球のへそ」と訳されたりする。英語のことはよく知らないが、日本語では中心のことをへそと呼ぶことがままある。だから、この「へそ」を中心だと思った日本人が「地球の中心」と呼ぶことがあったのかもしれない。地球の中心、つまり世界の中心というわけだ。

 まとめると、

エアーズロック → 大地の出べそ → 地球のへそ → 地球の中心 → 世界の中心

ということになる。

 ただし、上にも書いたように「世界の中心で愛を叫ぶ」を見ていないので、あくまで推測に過ぎない。「大地の出べそで愛を叫ぶ」の方が絶対にかっこいいと思うけど。

 では、実際に世界の中心はどこかというと、これが案外難しい問題なのである。

(1) 自分自身

 世界を見る主体は常に自分自身であり、世界の中心にはかならず観察者としての自分自身が存在する。でも、ここではそんな哲学的なことを言っているのではないので、この説はここまで。

(2) 地球の中心

 つまり、惑星としての地球のど真ん中、内核の中心である。こんなところにはとても行けない。行ったところで、凄まじい高温と高圧で一瞬で消滅してしまう。そもそも「世界」と言った時、惑星「地球」と同じ意味で考える人は少ないだろう。文字の意味としては、「宇宙」とほぼ同義だが、現在では概ね地球の表面を指すことが一般的だ。ということで、地球の表面付近で探してみることにする。

(3) ワシントン

 世界でもっとも強力な国家はアメリカであり、その首都のワシントン、もっと言えば元首である大統領が住むホワイトハウスが世界の中心であるという考え方。しかし、アメリカが世界を代表する国家であると誰が決めた? 国際電話の番号が1番だから?

(4) 北京

 アメリカに対抗する巨大勢力としては、中国が存在する。中国こそが世界を代表する国家であると考える人がいるかもしれない。中華思想で言えば、まさに中国が世界の中心だろう。と言っても、ほとんどの人は納得しないと思うが。

(5) ニューヨーク

 世界の代表は特定の国家ではなく、国際連合に決まっている。だから、国際連合本部のあるニューヨークが世界の中心であるという考え方。まあ、人為的に創った都市を世界の中心だと言い切るのはあまりに人類に偏った意見のようにも思える。人類と切り離して、世界単独で中心と言える場所はないだろうか?

(6) 緯度0°経度0°の場所

 この場所はギニア湾の近くの海域である。ここが世界の中心だと言われてもぴんとこない。そもそも緯度0°というのは赤道上にあるということなので、充分に天文学的な意味があるが、経度0°というのはグリニッジ天文台があった場所と同じ子午線上にあるという意味しかない。人為的に勝手に決めた場所なのである。

(7) 赤道と日付変更線が交わる場所

 世界中で統一した暦を使うためには、どこかに日付変更線を設ける必要がある。そこで、おおよそ経度180°の子午線で陸地があった時は、そこを避けるように折り曲げられたのが現在の日付変更線である。これもまた、人為的に決められたもので、天文学的・物理学的な意味合いは薄い。

(8) 北極・南極

 ここは正真正銘天文学的・物理学的に特異な場所である。ただ、二箇所あるのがいかにも残念である。

(9) エベレスト (チョモランマ) の頂上

 地球表面で形状的に特異な場所と言えば、もっとも標高の高い場所もその1つである。「第3の極地」などと呼ばれることもある。ただ、「高いだけで中心と言えるのか?」という素朴な疑問も沸いてくる。

(10) マリアナ海溝の最深部

 エベレストの頂上と対照的な場所である。でも、人が行けない場所なので、世界の中心と言えるのか疑問。地球の表面で、もっとも「地球の中心」に近い場所ではあるけど。

 という訳で、他に「世界の中心」に相応しい場所をご存知の方はご一報を。

[追記1]

 小島義史さんから以下のような情報提供があった。

さて、先生のホームページに「世界の中心」についての考察がありましたが、
自分なりにも考えてみましたので、失礼ながらもメイルを差し上げました。

世界の中心:
太陽の核と地球の核とを結んだ直線と、地球の地表が交わる点(太陽側)。

太陽はいうまでもなく太陽系の物理的中心です。
地球は太陽に照らされることによって、世界の事物が立ち現れてきます。
つまり、太陽に観測されることによって、その存在がはじめて確認されます。
その観測者である太陽が地球を眺めたとき、視界の中心にあるのが、
太陽の核と地球の核とを結んだ直線と、地球の地表が交わる点(太陽側)です。

さらに、太陽は太陽系の物理的中心であると同時に、
世界の多くの神話・伝承などで最高神などとして描かれることが多いです。
人間中心主義からいうと、精神的な意味でも太陽は絶対観測者なのです。

  太陽が頭上に見える地点が中心ということになる。中心の位置が常に移動していくのが面白い。北回帰線と南回帰線の間のすべての地点に中心になる可能性がある。

[追記2]

 駄文42で日本の中心として、「海から最も遠い地点」を挙げたのだが、それと同じ事が世界でも言える事に気付いた。

(11) ユーラシア到達不能極

 新疆ウイグル自治区にあり、海から2645kmある。地球上で最も海から遠い地点であり、陸の中心である。

(12) 太平洋到達不能極

 南緯48度50分西経123度20分の点から陸地までは2688kmある。地球上で最も陸から遠い地点であり、海の中心である。


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