駄文5 マルチ・コミュニケーション


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 パソコン通信やインターネットなどによってもたらされた大きな変革の1つは多対多型コミュニケーションが容易に行えるようになったことだろう。

 従来あったコミュニケーション手段は郵便や電話等の一対一型コミュニケーションと出版や放送などの一対多型コミュニケーションだけだった。読者投稿欄や視聴者参加番組などは一見多対多型のように感じるかもしれないが、誌面や放送時間に限りがあるため、発言意思があるすべての読者・視聴者の発言を扱うことは不可能であり、結局取捨選択が行われてしまうのであるから本当の意味では多対多型とは言えない。

 多対多型コミュニケーションが現れてからはまだ日が浅い。浅い故に起こるトラブルもいろいろとあるだろうが、そのうち慣習や法律が確立すれば、そういう種類のトラブルはおさまっていくだろう。もっとも、一対一型コミュニケーションでも一対多型コミュニケーションでもトラブルは日々起きているのだから、すべてのトラブルがなくなることはないかもしれない。

 さて、現在ネット上で行われている主な多対多型コミュニケーションの種類は(1)ウェブ上の掲示板、(2)メーリングリスト、(3)ネットニュース、(4)商用 BBS、(5)草の根 BBS の5種類ぐらいだろうか。(ただし、チャットの類は掲示板の一種と考えられるので、数に入れていない。そう言えば、ウェブ上の掲示板はあまり BBS とは呼ばれないのはなぜだろう?) これらのメディアは今後も住み分けを行いつつ共存するのか? それともどれか1つが生き残り、他は衰退していくのか? あるいは、新しいメディアの前にすべて消えうせるのか? 

 と疑問をぶつけてみても、いきなりには答えが出るわけがないので、ここではそれぞれの特徴についての分析のみ行うことにする。なお、僕は(4)と(5)については経験がないので、(1)〜(3)を対象とする。

(1)ウェブ上の掲示板

 開放的なイメージがある。。一部 ID とパスワードが必要な掲示板もあるが、たいていの掲示板はメールアドレスすら明かす必要はなく、管理者以外には完全な匿名性を持って発言できる。また、覗くだけなら、管理者以外には覗いたことすら、知られることはない。こういう特性を持っているため、読むのも書くのも垣根が低く、時に悪戯や誹謗中傷、悪徳商売のターゲットになることもある。「掲示板」という名前が使用者に誰にも知られずに書き込め、読める場所という印象を与えるのだろうか? しかし、「掲示板」という名と裏腹に実際に行っていることは、メールとあまり変わりない。例えば、読む場合なら、最初に自分の IP アドレスを掲示板側に送り、ここに掲示内容を送ってくれと請求するわけだし、書く場合は同じく IP アドレスを送って投稿フォーマットをここに送ってくれと請求した後、そのフォーマットに書き込んで、また掲示板に送り返すわわけだ。データのやり取りの回数から言うと、メールよりもむしろ多い。また、開放的である故、去るものも多く、一部の常連を除き、メンバーは流動的である。したがって、一度寂れてしまうと、たまに書き込みがあっても誰にも気付かれない場合もあり、なかなか復活し辛い。

(2)メーリングリスト

 掲示板よりは少し敷居が高いという認識があるようだ。管理者に対して、自分のメールアドレスを知らせなくてはならないし、投稿する度に全メンバーに自分のアドレスを曝すことになる。匿名性が下がる分、自分の発言に対する責任が重くなるような気がする。でも、実際には不特定多数に向けて公開されている掲示板より、特定の人にしか送付されないメーリングリストの方が気楽であっていいのではなかろうか? (もっとも、最近では会員以外でもウェブ上でログを読むことができるシステムになっているメーリングリストも多いが) メンバーは非流動的であり、一旦寂れても、投稿があれば自動的に全メンバーに届けられるため、活気を取り戻しやすい。

(3)ネットニュース

 プロトコルの多くがメールと共通しているため、原則的にはメールアドレス付きの投稿でなくてはならないし、投稿した記事は世界中のニュースサーバにばら撒かれることになるので、書き込みに対してはかなり敷居が高い。逆に読む場合はたいてい自分が属するドメイン内のニュースサーバを覗くだけだから、やたらと敷居が低い。ただ、メールや www に較べて、知名度は低いようだ。サポートしていないプロバイダーが多いためだろうか? メンバーは比較的流動的であり、寂れたニュースグループも多い。たいていのニュースリーダは読まないニュースグループを見えなくすることができるので気付きにくいが、alt.* 辺りにはニュースグループの死骸がごろごろしている。

 以上を纏めると、以下の表のようになる。

 

読む(購読する)敷居の高さ

書く(投稿する)敷居の高さ

メンバーの流動性

その他

ウェブ上の掲示板

低い

低い

高い

荒れることがよくある

メーリングリスト

高い(ログが公開されていることもある)

高い

低い

一度寂れても復活しやすい

ネットニュース

極めて低い

極めて高い

高い

www に較べるとマイナー

 因みに、僕に関して言うと、メーラーとニュースリーダーは共通で、メールは自動的にメーリングリスト別のフォルダに配布されるように設定しているし、掲示板はメール感覚で読めるフリーソフト mamimi を使っているので、最近それほどそれぞれの違いを意識しなくなっている。個人的にはすでに統合は進んでいると言えるのかもしれない。


Copyright KOBAYASI Yasumi 1999


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