駄文7 「〜べき。」


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 最近気になる言い回しに「〜べき。」というのがある。

 例えば、「現役合格を目指す者は寝る間を惜しんで勉強すべき。」とか「政府は早急に対応すべき。」など。

 「〜するのが当然だ」という意味で使っているようだが、連体形止めであるのが、どうもしっくりこない。終止形は「〜べし。」のはずだ。

 もちろん、連体形止めそのものは文法的に間違いであるとまでは言えないのだが、なんらかの効果を狙った場合以外は使わないのが普通だろう。箇条書きなどで使われると、いちいち余韻が漂って妙な感じだ。

 例えば、「今日は天気が悪き。」とか「君はまだまだ若き。」などと言われたら、気持ち悪いでしょ。そうでもない? 現代語では形容詞は連体形と終止形が同じ形になっているので、ぴんと来ない人は多いかもしれない。じゃあ、現代語でも連体形と終止形の形が違う形容動詞を使った文章で「冬の海は静かな。」とか「石油ストーブはエアコンよりも暖かな。」と言われたら、どうだろうか? 詩歌で使われるならともかく、散文で使われたら一瞬戸惑ってしまうのではないだろうか?

 という訳で、できれば「〜べし。」という表現を使って欲しいと願うしだいである。

 そもそも「べし」という古語を現代語で使うことに無理があるのかもしれない。「べし」にぴたりくる現代語がないのが問題なのだろう。「べし」は形容詞のク活用をする助動詞なのだから、対応する現代語として、形容詞型の活用をする「べい」というのを作ったらいかがか。「法律を適用するに当ってはその精神を重視すべい」「医師を目指す者は須らく仁術を獲得すべい」「明日はいろいろと忙しいから今晩は早めにねるべい」 はっ! ひょっとして、東北弁の「べい」は……。

 なお、「〜べきだ。」「〜するべきです。」のように断定の助動詞に接続する場合は OK です。


Copyright KOBAYASI Yasumi 1999


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