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四次元パズル 4DRubikCube

 四次元の世界―― SF ではメジャーな存在である。SF ドラマなどでは「宇宙空間」よりむしろこちらがよく登場するぐらいだ。ただ、ではいったいどういう世界なのかと尋ねられると、困惑する人は案外多いのではないだろうか?

 まず広がりのない点を考える。これが〇次元の世界だ。

 この点をある方向――仮にその方向を「縦」としておこう――に一定の距離だけ真っ直ぐに動かすと、その軌跡は線分になる。線分は「縦」という一つの次元を持っているので、一次元の世界に存在することになる。線分の両端には頂点が一つずつ、計二つある。

 次ぎにこの線分全体を「縦」とは垂直な、別の方向に同じ距離だけ動かしてみると、その軌跡は正方形になる。正方形には「縦」と「横」という二つの次元が存在し、二次元世界に存在することになる。正方形は四つの辺と四つの頂点を持っている。

 この正方形を「縦」と「横」の両方に垂直な第三の方向にまた同じ距離だけ動かしてみる。早くもここで挫ける人がいるかもしれない。仮に先程の正方形が地面の上に書かれたものなら、第三の方向は上の向きになる。この三つ目の次元はなぜか、大方の納得を得られそうもない「高さ」という名前で呼ばれることが多い。正方形が描く軌跡は立方体となり、六つの面と十二の辺と八つの頂点を持っている。

 さて、第四次元となると、「縦」「横」「高さ」すべてに垂直な第四の方向を考えなければならない。ペンや指を組み合わせて、いろいろ工夫して貰えばわかると思うが、そのような方向はない。つまり、われわれが住むこの空間は三次元空間なのである。

 では、四つ目の次元はないのかと言うと、物理学では「時間」を四つ目の次元と扱う場合が多い。「縦」「横」「高さ」をそれぞれ x y x座標で表わし、時間を t で表わす。つまり、空間と時間を一つのものだと考えると、この世界は四次元の世界だと言えるのだ。確かにそれで理屈は合ってはいるのだが、時間が四つ目の方向であるというのは直感的には納得し難い。なにしろ、他の三つの方角には自由に動けるのに時間は常に一方通行にしか動かないのだ。

 数学者たちはこの世の現実の空間に縛られることなく、純粋に四次元以上の空間を研究している。無限の次元を持つヒルベルト空間などと言うものもあるが、ここでは四次元について考えよう。立方体を x y z それぞれに対し、垂直な w の方向に動かすと、その軌跡は超立方体になる。超立方体は八つの立方体と二十四の面と三十二の辺と16個の頂点を持っていることになる。

 ところで、次元と言えば世の中の図形パズルの主流は二次元パズルである。なぜなら、一次元パズルはあまりにも単純過ぎて面白くないし、三次元パズルは作製に手が掛かり過ぎるためだ。もちろん、三次元パズルにもルービック・キューブのような名作もあったが、全体的には簡単に印刷できる二次元パズルほどには普及していなかった。しかし、パソコンやテレビゲーム機が普及して事態は一変した。高速演算処理を行うことで、CGによる擬似三次元表現が可能になったため、各種三次元パズルを手軽に楽しめるようになってきた。

 では、同じくコンピュータを使って、四次元パズルを実現することはできないだろうか?

 4DRubikCube (著作権者名: Ishihama Yoshiaki 氏) はその問いに答えてくれる。これは文字通りルービックキューブを四次元に展開したものである。画面上部の図は超立方体を三次元空間に押し込めたもの、下の八つの立方体は超立方体の各表面である。最初は何がなんだかわからないだろうが、くるくると弄んでいるうちに何となく四次元がイメージできるような気になるから不思議だ。三次元パズルに飽きたパズルマニアに勧めたい。

 4DRubikCube は以下のサイトからダウンロードできる。(MAC版、Windows版、JAVA版がある。また、これ以外にも多くの数学系ソフトが揃っている。)

http://www.asahi-net.or.jp/~hq8y-ishm/

(<産経新聞>大阪版 平成12年6月5日夕)


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