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アスキーアート変換ソフト PitexWIN

 過去において実用的な技術であったものが、その後別の新しい技術にとって代わられ、忘れ去られていくことがある。例えば、計算尺がそうだ。計算尺とは、何種類も奇妙な目盛りのついた物差しのようなものが互いにスライドできるように組み合わさったもので、名前から想像がつくように計算機の一種だ。こんな単純な構造であるにも拘わらず、掛け算、割り算から、平方根、立方根、三角関数、対数計算、指数計算までこなす優れものだったのだが、今は目にすることがほとんどない。

 一方、別の新しい技術にとって代わられたはずの過去の実用的な技術が生き残っていることもある。例えば、算盤がそうだ。もちろん、塾の半分ぐらいが算盤塾だった頃に較べるとかなり使用者は減っているだろうが、今なお算盤を知らぬ人はまずいない。計算機としての実用性は電卓やパソコンの出現によって殆どなくなっているにも拘わらずである。

 計算尺と算盤――思うに、二つの技術の運命を分けたものはエンターテイメントの要素ではなかろうか。読み上げられた何十桁もの計算を聞きながら、ぱちぱちと現実の、あるいは頭の中の架空の算盤の珠を弾き、最後にすらすらと正確な計算結果を高らかに答える姿は、時に感動的ですらあるぐらいエンターテイメントの要素に富んでいる。計算尺だとこうはいかない。尺をスライドさせるだけでは派手さがないし、答えも三〜四桁だし、致命的なことに暗算が不可能なのだ。

 算盤と同じく、おそらく二十一世紀にも生き残るだろう技術の一つにアスキーアート、もしくは文字絵と呼ばれるものがある。簡単に言うと、文字を組み合わせて絵にする技術である。元を辿ればタイプライタを使ったものにまで行き着くが、ここではコンピュータ上のテキストとして表現されたものを言う。英文の文字はすべてアスキーコードで表現されるため、アスキーアートと呼ばれるようになったのだろう。

 作成され始めた当初は「画像を表現する統一的な手法がない」「文字しか表示できないディスプレーが多い」「画像は情報量が多いので、取り扱いが難しい」などの理由からアスキーアートは実用的なものだとされていた。しかし、標準的な画像形式が存在し、携帯電話ですら画像表示可能なディスプレーを装備し、高容量記録メディアや高速通信が当たり前になった現代においては、それらの理由は成り立たない。それにも拘わらず、アスキーアートが生き残っているのは、文字から絵が構成されているという、その面白さによるのではないだろうか?

 今回紹介する「PitexWIN」(著作権者名: もなか氏)は文字のドット数で濃淡を表現するタイプの文字絵を簡単に作成できるツールだ。

 使い方は任意の画像を読み込み (ライセンスの関係で gif ファイルはだめだそうなので、ペイントなどで他の形式に変えておく必要がある)、できあがりの一行当りの文字数と行数を指定するだけでいい。文字数を多くすればするほど見栄えがよくなるが、その分時間がかかる。ディスプレーの設定に合わせて、白黒反転させることもできるし、RGBのそれぞれの色の要素に分解して文字絵化することもできる。

 また、このソフトの特徴として、逆に文字絵を画像に変換する (REPicture) 機能もついている。

 著者は、メールに普通の画像を添付されるよりも絵文字にして送って貰った方が洒落た感じがして楽しいと思うのだが、皆さんはどうだろうか?

「PitexWIN」は以下のサイトからダウンロードできる。

http://www.geocities.com/TelevisionCity/Station/5554/ (注)

(<産経新聞>大阪版 平成12年7月17日夕)

注: 現在、上記サイトは存在しません。「PitexWIN」は以下のサイトからダウンロードしてください。

http://www.vector.co.jp/soft/win95/art/se093524.html


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