アフリカ文学研究情報

*アフリカ人作家の動向

*2000年10月 ジンバブエ・コミュニティ劇団 初来日公演
*2000年7月28日−8月5日    ジンバブエ・インターナショナル・ブックフェア
*1999年7月31日−8月7日    ジンバブエ・インターナショナル・ブックフェア
*書評『アフリカの女性史ーーケニア独立闘争とキクユ社会』
     (コーラ・アン・プレスリー著、富永智津子訳、未来社、2800円)

2000年10月 ジンバブエ・コミュニティ劇団 初来日公演
10月4日(水)  Dale Byam マルチメディア講演会 ZACT公演  4:20pm-6:00pm AVセンター
10月5日(木) ZACT公演/研究会 4:30pm-6:00pm 立命館大学 アートセンター 
10月6日(金) ZACT公演  4:20pm-6:00pm 京都精華大学 Performance Hall  

10月7日(土) 国際シンポジウム 8:45am-6:20pm 京都精華大学  流渓館2F会議室  
10月8日(日) 御堂筋パレード  
   ジンバブエの人たちと一緒に踊りませんか。参加御希望者はアフリカ文学研究会へお申し込みください。
10月9日(月) ZACT公演、Dale Byam の一人芝居公演14:30pmー16:00pm 国立民族学博物館

10月10日(火) 午後6時開場 6時半開演 三百人劇場 
原作/演出 グギ・ワ・ミリエ   

 


労働者のメリーゴーランド
音楽、歌、踊りとダイアローグで構成されるドラマ。
アフリカの労働者の状況を描く。
不景気つづきで、労働者は不十分な報酬しかえられず苦しい生活を強いられる。
企業に対し、賃金要求をすると、生産コストがあがる。
その結果、消費者は物価の値上がりに苦しむ。
労働者と生活コストと労働組合はメリゴーランドだ。
雨乞いの踊り (Mvura naya naya )
先祖の人びとは、旱魃の時太古の昔から雨乞いの踊りで、
神に訴えた。日常生活での水の大切さを訴えるダンスドラマ。
マイム、リズム、表情、身ぶり、ジェスチャーなどで喜び、怒り、
憎しみ、愛などを豊かに表現。アフリカ的儀礼の世界。

*料金:一般3000円 (前売り2500円)
   *9月11日よりチケットぴあ(03-5237-9999)
   *郵便振替えでも取扱っています。入金確認後、チケットをお送りいたします。
    京都9ー35680  アフリカ文学研究会



この公演に関するお問い合わせは・・・・
アフリカ文学研究会:京都精華大学楠瀬研究室  TEL&FAX 075-702-5114
または、075-722-4696 FAX 075-702-3188
 

2000年7月28日−8月5日    ジンバブエ・インターナショナル・ブックフェア
 

*ジンバブエのハラレガーデンで恒例のブックフェアが開催された。
 第10回ジンバブエ・国際ブックフェア(7月28日から8月5日)がハラ レ・ガーデンで開催された。アフリカ内外から50カ国の参加があった。作家、 批評家、編集者、読者、出版社、教員、図書館員など、およそ2000人が参加 した。出版社やNGOグループのパネルが青空のもとに300以上も展示され、 さまざまな催しが同時に開催された。テーマは「アフリカの本を祝う」で、20 世紀にアフリカの本が達成したものを確認し、21世紀に向けての展望を語っ た。特にガーナに焦点があてられ、ガーナからはスピオ・ガーブラー文部大臣や 著名な作家アツクウェ・オカイらが参加していた。  アフリカ文学や出版をめぐるフォーラムでは、作家が何語で書くのか、出版の 困難さ、書籍価格の高さ、版権、図書館のありかた、デジタル出版やIT革命等 が議論された。アフリカの若手の作家に授与される野間アフリカ文学賞の選考委 員を長年勤めたエルドレッド・ジョーンズらも参加していた。彼は視力を失って からも、精力的にアフリカ文学批評を行ってきたが、テープに吹き込んだ原稿を 読みながら、蘊蓄のある文学批評を展開した。  最後の2日間は一般の人たちに開放されていたので、小中学生らが社会見学に きていた。 1980年の独立直後から教育と出版活動に力を入れ、1983年から始まった このブックフェアを後援してきたムガベ大統領も姿を現わし、展示パネルを熱心 にながめていた。 新企画の「アフリカ図書ベスト100」を今後2年間にわた り投票して選んでいくことになった。
 

1999年7月31日−8月7日    ジンバブエ・インターナショナル・ブックフェア
 

*ジンバブエのハラレガーデンで恒例のブックフェアが開催された。
7月31日と8月1日にIndaba という催しがあり、「南アフリカ・女性・文学」をテーマとして、白熱した議論があった。
 ガーナの女性作家アマ・アタ・アイドゥ、エジプトのナワール・エル・サーダウィ、ケニアのミシェレ・ギザエ・ムゴ、南アフリカのアンキー・クロッフ、シャミン.ミーア、デズリー・ルイス、ジンバブエのティティ・ダンガレンブガらが参加した。男性作家としては、ジンバブエのチェンジェライ・ホーベ、チャールズ・ムンゴシ、チリクレ・チリクレ、ケニアのグギ・ワ・ミリエらが参加した。
*ジンバブエでは最近に最高裁で「財産権をめぐって、女性には男性と平等の権利はない」という判決がでたばかりであった。(この問題についてはいずれ報告する予定である。)この判決に対して、いまジンバブエでは多くの女性たちが立ち上がり、抗議をはじめた。男性たちの反応として惑いと、狼狽ぶりを露呈した。
*200社以上の出版社やNGO組織、図書館員、教員、作家などが毎年ジンバブエにつどい、アフリカでの出版活動と読書活動と教育活動を刺激し合ってきた。その結果、「言葉を語る、書きとどめる」作業の重要性、学校教育外で文学に親しむことの重要性が確認された。
*この数年、ジンバブエ・ブックフェアの話題の中心は、「ゲイ文学」に対するジンバブエ政府の態度だった。ゲイ文化はアフリカの風土に馴染まず、西洋の産物だとして、ムガベ大統領はゲイ文学作品の陳列を許さなかった。南アフリカでは、新憲法でゲイであることで差別をしてはいけないと、明記してあるのだが。ジンバブエは、時代を逆行しようとしているのだろうか。
                                 (くすのせ)

書評
  『アフリカの女性史ーーケニア独立闘争とキクユ社会』
     (コーラ・アン・プレスリー著、富永智津子訳、未来社、2800円)

 日本で初めて、本格的なアフリカ女性史が紹介された。植民地期ケニアにおける女性の社会的・政治的地位の変化をたどりながら、とりわけ「マウマウ闘争」(民族独立闘争)における女性の役割を考察した最初の研究であった。スタンフォード大学で歴史学を学んだ著者自身が、ケニアでキクユ女性にインタビューし、ジェンダーの視点から歴史の再構築を試みたのである。
 ケニアの反植民地闘争に関する記録や資料は数多く明らかになりつつあるが、そのなかでも最も重要な「デダン・キマジ文書」(デダン・キマジはこの闘争の指導者)なるものは、独立時のイギリスとケニアの協定のもとに、2013年まで非公開となっている。このように、過去の歴史的事実の多くが隠蔽されている。いまだに、民族独立闘争を記録しようとした多くの歴史家や知識人や作家が身の危険に曝されているのが実情である。そして民族独立闘争を担った人びとが自らの体験を語ることですら、現政府への批判ととらえられ、多くが沈黙を強いられている。
 こうした状況のなかで、著者のコーラ・アン・プレスリーは勇気ある女たちの声に耳を傾け、女性の社会的・政治的地位の変化を明らかにしようとした。とりわけ、土地と労働および文化的ナショナリズムの問題を女性の政治意識の覚醒に結びつけて考察し、女性の活動と男性の活動との違いを明らかにした点にある。さらに、植民地権力に忠誠を誓ったロイヤリストの女性と植民地支配に抵抗したナショナリストの女性との相違を、克明に分析している。
 本書を読みながら、世界中の女性が同じ思想で支配されていたことを痛切に感じた。たとえば、女性に関するタブーや禁止事項は、月経や女性の性的能力と結びついていたことと、女性が社会のスケープゴートにされたことだった。不幸な出来事の原因や、妖術を使って災難を引き起こしたとして咎められるのも女性だ。
 そして、一夫多妻制や女子割礼までもが、ナショナリストの反植民地闘争の民族的結束の証として、巧みに利用されたのだった。皮肉なことに、女性自らが無自覚にも性支配を受け入れ、民族解放闘争を優先させる結果になった。しかし運動内部では、重大な問題や戦略の討議からはずされ、単なる食事提供者として扱われてきた。やがてそうした扱いに不満を表明し、男性同様の活動を行ない、積極的に自らの影響力や潜在的価値を認めさせて、解放闘争の指導層に参入していったのである。
 その結果、明らかに伝統的な性別役割分業に多くの変化をもたらした。たとえば、伝統社会では女性や子供が秘密の宣誓を行なうことはなかったが、女性も宣誓の儀式の中心的役割を演じた。儀式では植民地支配者から土地を奪回し、ケニアからヨーロッパ人を追放するために戦うことに忠誠を誓い、ゲリラ活動に身を投じた。実際に女性は解放闘争のなかで、重要な任務を遂行し、森の戦士に物資の供給と安全な隠れ家の提供をするネットワークを組織したり、自ら戦闘にも参加した。植民地政府は、ロイヤリストやホームガードにスパイ活動をさせ、宣誓を行なった人を、男女問わず逮捕し、弾圧を強め、ケニア人どうしの分断をはかった。
 このように、女性は社会的、政治的に目覚めて、解放闘争に参加したのだが、男性支配からの解放ではなく、むしろ女性の組織能力とその影響力を男性に認めさせることを目標にした。女性の能力を排除し、女性の勢力を無視すれば、民族解放闘争の損失になることを行動で示した。この闘争が七年間も持ちこたのは、実際に女性の組織を通じて情報や食物、薬品、銃などが森の戦士に供給されたからだった。
 しかし、こうした女性の活動は歴史に記録されず、無視されてきた。それどころか、植民地行政官の報告書に基づいて、女性活動家の役割は強制的に「マウマウ」に忠誠を誓わされた犠牲者か、「マウマウ」の戦士に性をサービスする売春婦に矮小化され、女性のイメージが故意に著しく歪められてきた。
 本書はこうした歴史の歪曲の意図を究明し、歴史の真実を明らかにするために書かれたのだった。歴史研究は記述された歴史的事実をどの立場にたち、どの視点からを分析するのかが問われるが、故意に記述から除外された歴史的事実を再構成する作業でもある。その意味で、これまで、女性の視点からケニア史が書かれてこなかったことを考慮すれば、本書の出版意義は大きい。そして、富永智津子さんの訳書によって、多くの読者がアフリカ女性の社会参加のありようを知ることができ、今後のアフリカ研究に新たな地平を拓くと確信する。ケニア人歴史家のマイナ・ワ・キニャティによる『マウマウ戦争の真実ーー埋れたケニア独立前史』(第三書館)とあわせて読むと、いっそうこの時代の背景が理解できるのではないだろうか。  (図書新聞、2447号、99年7月24日、楠瀬佳子)


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編集: Keiko Kusunose ---------------------------------------------------------------------