<改訂新版>

初めてのオプション理論

〜 もうオプションなんかこわくない 〜

村中健一郎 著

近代セールス社

定価 本体1400円(税別)

昭和63年8月6日 初版

平成10年8月28日 17版

平成17年8月31日 改訂初版(通算18版)

初版の「はしがき」より

 本書はオプション理論の研究成果を紹介したものではありません。今、金融界の新人類と呼ばれている「クオンツ」にしかわからない数学の専門書でもありません。「クオンツ」とは計量分析(quantitative analysis)を金融の分野で担っている数学者・科学者の集団のことです。この本はテキスト(教科書)です。オプション理論の基本的概念を伝えるために書かれたテキストなのです。クオンツたちの頭の中身の一部がこのテキストに書いてあるのです。クオンツの発祥の地はウオール街。大手投資銀行などが、数学者や物理学者という金融とはまるで無縁の人材を採用し、ディーリングや新金融商品開発に計量分析手法を導入したのです。クオンツの中にはNASA(米航空宇宙局)からの転職者も含まれていたため、クオンツは「ウオール街のロケット・サイエンティスト」とも呼ばれ、実際に今日までウオール街で大活躍してきました。クオンツが、持っている技能を金融界でフルに発揮できたのは、クオンツと数学アレルギーの人とを一体化させる、言わば掛け橋となる共通言語が存在していたからでしょう。水と油を融合させる物質や手段があったからでしょう。このテキストはオプション理論についての本ですが、オプションを題材に、クオンツの世界を誰にでも感じていただけることをテーマに書かれた本です。日本の金融界は、今、急速なピッチで変貌しつつあります。リスク管理に未曾有の綿密な分析手法が取り入れられてきています。もはや、クオンツの存在無くしては、これからの金融界は無いといえるのです。クオンツにはクオンツ特有の思想があります。クオンツの世界というものがあるのです。このテキストを一読されれば、クオンツの世界を見、クオンツと出会い、クオンツとお友達になれることと私は信じております。クオンツを知る鍵は、

Think

Learn

Create

です。


改訂新版の「はしがき」より

 本書は世に出て17年になるロングセラーです。当初、読者は金融機関の実務家がほとんどでしたが、個人投資家の読者が増え、「練習問題の解答を載せてほしい」という要望が強まりました。そこで解答・ヒントを加筆し、増補改訂することとなりました。

 

目次

Section 0  このテキストの目的

Section 1  あなたと私の関係

  なぜあなたはオプションを買うのか

  あなたと私の関係を結ぶもの

Section 2 ここでちょっと私は考えます

Section 3 アービトーラージ分析への第一歩

Section 4 オプションってアービトラージなんですね

Section 5 アービトラージと危険中立的な世界

Section 6 あなたもアービトラージするんですね

Section 7 プット・コール・パリティー

Section 8 デルタは誘導コンパス

Section 9 2期間モデルにおけるオプション価格形成論

Section 10 二項モデル

Section 11 市場は生きているんだ

Section 12 不確実性の計量化

Section 13 オプションへのいざない

練習問題

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