ともと「まちづくり」とは、役所主導で進められる「都市計画」に対抗して、住民自身の手で地域の課題解決をしていこうという運動じゃった筈。
 ところが最近は、どうもその耳ざわりのよさを利用して、区画整理や再開発、用途規制とかのどう考えても「それって都市計画じゃん!」というような事まで役所が「まちづくり」なんて言うもんじゃから、本来この言葉が持っておった含蓄がどうも忘れられがちじゃ。

 もういっぺん言うとこう。「まちづくり」とは、住民自身の手で都市・まちの課題解決を目指すということ、つまり自分らの住んでる「まち」を自分らの手で運営していこうとする活動のことじゃ。都市計画よりも自治(これも陳腐化した言葉じゃのう)、コミュニティ形成(これもじゃ)、地域マネジメント(これもじゃ・・・とほほ)こういうところに近いと思うといたほうがよかろう。

ほれほれ仙人極私的解釈による

まちづくり薀蓄集

まちづくりとは
地域の課題の解決方法とは
 緊急に解決せんとまずい地域課題を認識したときどうするか。まず誰もが思いつくのが役所になんとかしてくれえと言うていくことじゃ。つまり、個人の問題に留まらん公的、社会的な問題の解決は役所の仕事というイメージを、国民誰しもが持っているからじゃ。無論これは正しい。そのとおりじゃ。しかし、役所が必ずしもこっちの期待している解決をしてくれるとは限らん。特に特定の地域や個人の利害に強く関わるような内容や、必ずしも周辺の多くの住民の共通認識になっとらんようなことについては、役所はやたらと腰が重い。そうこうしているうちに解決のタイミングを逸してしまうこともしばしばじゃ。
 しかし、これらの課題のすべてが役所でないと解決でけんことばかりかというと、実はそうでもないのじゃ。例えば通学路の安全確保のため毎朝警察官を配置せよと警察に要望したところで、実現はいつになるこっちゃらわからんが、地域のPTAとかで子どもの親たちに呼びかけて、交代で通学路のポイントに立つことにするのはすぐにでもできそうじゃの。
 公的なことはみんな役所、このワンパターン思考から踏み出すのがまちづくりのまず第一歩じゃろな。
 
地域の課題とは
 地域というても○○地方とか○○市とかから、それこそ町内や向こう3軒両隣の範囲くらいまでいろんなレベルで捉えられる。じゃから、地域の課題っちゅうても国家政策に関わることから、近所づきあいに起因することまでさまざまじゃ。これをあえて十把一絡げに言うと、「日々(地域住民が)機嫌良う暮らしていく上での妨げになること」あるいはそこまで行かんでも「将来のことを考えると、このままほっとくとどうもまずいんちゃうかなということ」かなと思う。
 しかしこれまた住民それぞれの意識レベル、関心の違いなどでその認識の内容、程度は様々じゃ。例えばそこで商売をしてる人と住んでるだけのサラリーマン、子どもや年寄りが家族にある人とない人とでは問題意識は随分違う。地域課題の実態把握というのは実はめっちゃ難しいのじゃ。
制度や施策をうまく使う
 まちづくりにおいては役所は何かをやらせるべくプレッシャーをかけるところではなくて、うまく利用していろんな知恵を引き出させるところと考えたほうがええ。
 幸い最近はどこの役所も自分らのできること、できひんことに自覚的になってきたし、昔のように住民を動員してなんかさせようというやり方では通用せんようになってることに気づき始めておる。まちづくりの相談窓口や活動助成・専門家派遣の制度など、なんかある筈じゃ。こういう情報はしっかり集めるのがいいの。
 さらに、地区計画、景観協定など、住民間で話し合ってつくったルールを、法律で裏付けて地域内で一般的拘束力を持たすことのできる制度なんかもある。まちづくりの取組がこうした「まちのかたち」まで含めた課題解決に発展するなら、うまく利用すべきじゃの。
仲間を増やす、合意をつくる
 実はまちづくりを進めていく上で最初にぶつかる難関はこれじゃ。
 限られた問題意識の高いメンバーだけの活動で終わっては、単なるサークル活動と見られても仕方あるまい。メンバーもいつまでも元気なわけではないので、いずれその活動が尻すぼみになるのは目に見えておる。そうならんためにも、いかにたくさんの賛同者を地域内で集め、「地域の意思」がそこにあることを対外的にも認識してもらうかが大事なのじゃ。また、活動の過程では、地域住民の何らかの新たな負担を背負ってもらう必要が出てくる。このため、直接動いてくれる仲間とはならないまでも、活動に理解を示し、その成果に合意、協力してくれる人を地域に広げていかんとならん。これが実は相当手間隙とエネルギーの要ることなのじゃな。
  合意形成の手法として「ワークショップ」なる方法がある。行政や専門家の手を借りて、こういう方法を使って、効果的かつ効率的な合意形成を進めてはいかがじゃろう?
  ただし、気つけんといかんのは、特に役所には、ワークショップというのは「行政が住民の意見を効率的に収集するための手法」などと勘違いしとる輩が未だに結構おる。こういうのに踊らされんためにも、目的意識をはっきり持って取り組んでいく必要があるぞよ。

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