
「軍隊のない平和な島を返してください」「もう米兵に脅かされるはイヤ」。少女暴行事件への怒りと叫びが、会場の参加者の心に響く−。21日午後、宜野湾市真志喜の海浜公園で開かれた「少女暴行事件を糾弾し、地位協定見直しを要求する県民総決起大会」(同実行委員会主催)は、大会参加者が主催者発表で当初の予想をはるかに上回る8万5千人(県警調べ、5万8千人)を数え、会場は県民の米軍基地への怒りと抗議の声に包まれた。また同日は宮古、八重山で3千人規模の抗議集会が開かれたほか、本土でも東京・永田町での県出身者による抗議集会をはじめ、各県で大小の連帯集会が開催され、怒りの渦が全国に広がった。大会では(1)米軍人の網紀粛正と犯罪根絶(2)被害者への謝罪と完全補償(3)日米地位協定の見直し(4)基地の整理縮小−の4項目を盛り込んだ決議を採択。24日には代表団を上京させ、村山首相、河野外相、モンデール駐日米国大使などに申し入れるほか、米国訪問団も編成して要請行動を展開することにしている。
県は米軍用地強制使用の代理署名を拒否し、現在国との間で緊張関係にあるが、この日の総決起大会が復帰を挟んで最大規模の集会となったことで、県民世論が一層盛り上がることは必至。県側と話し合いによる解決の道を探る村山首相としては一段と苦しい立場に追い込まれそうだ。
大会では主催者を代表して嘉数知賢実行委員長(県議会議長)が「このうねりが大きくなって全国に広がり、時代を突き動かす力となるよう県民の結集を願う」とあいさつ。このあと各界代表が登壇し、それぞれの立場から事件、米軍基地への思いをぶちまけた。
大田知事は今回の事件に関し「行政の責任者として少女の尊厳を守れなかったことを謝りたい」と頭を下げ、代行拒否に至った理由として「次代を担う若い人に夢を与える仕事をしたい」と米軍基地の整理縮小への意気込みを語った。
このあと「子供を生み育てる立場としてこのようなことは許せない」(赤嶺千壽沖婦連会長)、「現状に手を出せない政府と闘うことを誓う」(仲村和文沖青協会長)、「胸を張って子らに引き継ぐ島をつくっていこう」(玉寄哲永県子連会長)と次々とあいさつ。
また高校生代表の仲村清子さん(普天間高3年)は「問題解決をあきらめることが、次の悲しい事件を起こしてしまう。若い人も真剣に考え始めている」と会場の共感を呼んだ。このほか「にじみ出る少女の叫び、願いが叶うために連帯を」(稲嶺恵一経営協会長)、「基地の整理縮小なくして沖縄の21世紀の扉は開かない」(渡
久地政弘連合沖縄会長)と思いを述べた。
このあと、親泊康晴那覇市長が「沖縄の心とは武器なき平和の建設」との大会アピールを読み上げ、大会決議とともに採択。要求実現に向けたガンバロー三唱で閉幕した。

佐渡山武士さん 微力かもしれないが、高校生も何かしなければならない、と思った。生徒会の役員で話し合って参加を決めた。宮古には米軍基地はないが、戦後50年たってもこのような事件が起きることを許してはならない。(宮古高2年、平良市)
上原博さん(50) いたいけな少女が傷ついたことを思うと、非常に怒りを覚える。自分にも小学1年の娘がおり、いたたまれない気持ちでいっぱいだ。意見発表した高校生が「今回の事件を通して米軍基地の問題を知った」と語ったのが心に残った。(石垣市、教員)
下地由美子さん(40) ニュースで米軍による犯罪に触れるたび、にくらしい思いでいっぱいだった。米軍犯罪をなくすには基地の撤去しかないと思う。今回の事件を教訓の一つとして教育現場でも浸透させるべきだ。(石垣市、団体職員)
田口寿さん(40) 土曜学校の子供たち十人も連れて来た。子供からお年寄りまで多くの人が心を一つにして怒りを共有するのが大切だ。戦後50年たっても基地被害は毎年発生している。先勝国としてまだ沖縄への差別意識があるのではないか。(神父、平良市)
山城広美さん(33) 沖縄ではいくつもの米軍事件、事故が続いてきた。今回の事件は子を持つ親として決して許すことはできない。これを機会に本土の人たちにも沖縄の現状を知ってもらいたい。地位協定は絶対に見直すべきだと思う。大田知事の取った行動で初めて代理署名の存在を知った。知事の勇気をたたえたい。(主婦、北中城村)
男性の上原さん(76) 県民全体で怒りを現すことに大きな意義がある。偉い人たちは安保が重要というけど、国民全体で沖縄だけがその負担を強いられるのはおかしい。国民全体で考えるべきだ。河野外相の一連の発言には納得がいかない。今日は一人でも多くと思い自転車で参加した。(無職、那覇市)
仲本一弥さん(36) 何度か団体規模の集会に参加してきたが、今回は全県的に広がり県民が一体となっている。この機会に沖縄の運動を成功させないと現状は変わらない。地位協定の見直しまで闘うべきだ。大田知事の代理署名拒否も県民の一人としてバックアップしていきたい。(会社員、浦添市)
池宮城紀夫さん(55) 40年前の島ぐるみ闘争も見たが、それ以上の人が来ている。復帰後、冷めていた県民がワジワジーして、主体的に大会に参加するのは大変なこと。特に女性や子供が多く、久しぶりに胸が熱くなった。日米両政府に対する50年間の怒りが、これだけの人をつき動かした。(弁護士、那覇市)
源河夏子さん お母さんに誘われて来ました。自分のことじゃないからそんなに来ないと考えていたけど、たくさんいるのでびっくりしました。みんな怒っているんだと思う。幼い子供にひどいことをする米兵にはむかつく。事件前は、嘉手納カーニバルとか行きたかったけど、もう行きたくない。(コザ中2年)
仲村かおりさん 番組を作るつもりで放送部の部員二人で来た。被害者の小学生がかわいそう。運動の盛り上がりがかえって少女を傷つけることになるのでは、と感じることもある。沖縄から基地はなくならないのだろうか。(名護高2年)
与那覇正さん サイクリングチームのメンバーを代表し、3人で石川市から自転車で来た。今回の事件には憤りを感じる。家族らとも、よく話に上る。すぐに全面撤去とはならないでしょうが、あまり活用していない基地は早く返してほしい。(石川市)
金城文子さん(33) 仕事で子どもを預かっており、被害者と子どもたちが重なってしまう。基地関連の集会にはいつも参加してきたが、今回の思いは特別だ。基地のもつ暴力的なものにあらためて怒りを感じている。力をあわせていきたい(学童クラブ指導員、豊見城村)
宮平渚さん 放送コンテストに出品するため、基地のことを取材しました。沖縄にある基地が県民に大きな被害を及ぼしていることが分かった。取材する前はテレビとかで見るだけで実感がわかなかったけど、取材や大会に参加して現実味が出てきた。(名護高2年)
町永豊さん(28) 新潟での盛り上がりは9月後半から。基地は正直に言ってわれわれの身近には見えない。反戦、平和という大きなくくりの中ではみんな分かっているつもりだが、全国で基地問題を重要視したのは初めてではないか。(自治労新潟県本部)
玻名城綾子さん(15) 暴行事件については「あんたたちいったい何なのよ」と言いたい。米軍基地がすべてなくなると、日本を防衛する米軍がいなくなるので困ると思う。生活環境の面など基地の弊害が多く出ているので整理縮小の方向にもっていくべきだ。(浦添高1年)
花城健治さん(60) 40年前の島ぐるみ集会にも琉大生として参加したが、今大会の盛り上がりはその時以来と言っていい。当時、住民側の攻撃の目は米軍に向かっていたが、現在はどちらかと言うと、社会党が参画しても変わりばえのしない政府に向けられている。(浦添市)
比嘉秀幸さん(17) サッカー部員20人くらいで参加した。こんな集会に出るのは初めて。授業中、ヘリの音で先生の声が聞こえなくなるときがある。基地を一気に返すというのが無理なら、まずは普天間基地から返還してほしい。(宜野湾高2年)
金城金永さん(81) 国が基地を容認しているから、今度のような事件が起きる。これだけ県民が盛り上がると、政府も基地問題を真剣に考えるはずだ。復帰闘争と同じように運動を続け、1日も早く基地をなくしてほしい。(大宜味村喜如嘉)
長嶺慎治さん(26) 娘を持つ親として暴行事件は絶対に許せない。大田知事の代行拒否は一県民として支持している。大会の雰囲気はよく、政治性を抜きに、参加者の心は一つになっている感じ。時代は変わっており、それに伴う条約の改正を望んでいる。(那覇市首里)
金城初子さん(66) 米軍の事件・事故を振り返ってみると、いろいろなことがあった。でも静まることはない。米軍がなかったら、こんなことは起こらないはず。県民が頑張って、基地をなくしてほしいと思った。(主婦、具志川市)
川口みどりさん(17) 母が大会に参加すると聞き、わたしも行ってみようかなと思った。事件はむごいと思うし、地位協定で容疑者を日本が引き取れないのはおかしい。基地を一気に返してもらうのは難しいと思うので、地位協定だけでも早めに見直してほしい。(興南高3年、宜野湾市)
屋宜世儀さん(40) 今までにない集会だし、大きな流れの中で、自分も参加して、沖縄の現状を変えたい。こういう体験をさせて、積極的な人間に育ってほしいと思って、5歳と3歳の息子を連れてきた。一番は地位協定の見直し、最終的には基地を縮小してほしい。(地方公務員)
嘉数美佐代さん(21) 南部に住んでいるので、基地について考えたことがなかった。あの事件で考えるようになったし、県民の怒りが一気に爆発したと思う。基地が今すぐなくなるのは難しいだろうが、やはりない方がいい。(会社員、南風原町)
上運天栄さん(16) 高校の友達と4人で来た。家は読谷村だが、爆音で夜眠れない日もある。こんな集会には僕らのような若い人たちが来なければ。おじいさんたちが今まで頑張ってつくり上げた沖縄を、僕らがこれからつくっていくのだから。(高校生、読谷村)
渡口正永さん(52) 5万人集まればよい方かな、と思っていたので、8万人と聞いて大会にかける県民の意気込みを感じた。ここに集まった人々の怒りの声が、基地をなくし平和な沖縄をつくっていく方向へ持っていけたらと思う。(会社員、糸満市)
渡口宣一郎君(12) こんなに多くの人の集会に初めて参加した。これだけの人が基地をなくすために力を合わせれば、いつかは基地のなくなる日が来ると思うし、そんな日が来てほしい。機会があればこれからもできるだけ参加したいと思う。(小学生、糸満市)
中村昌樹さん(40) 21世紀に向かって、今やらなければという気持ちで参加した。被害者の痛みを多くの県民が共有し、事件が二度と起きないような環境をつくることが県民としての責任だと思う。基地撤去が県民の総意ということを示したい。(自営業、那覇市)
照屋全豊さん(54) 私たちは自衛隊のP3C基地建設の反対運動を続けている。今大会で自衛隊基地の撤去が取り上げられなかったのが残念。米軍が出て行けばその代わりに自衛隊が入ってくる可能性があることも忘れないでほしい。(農業、本部町)
内木啓二さん(30) 県民の怒りをひしひしと感じるととも に、基地問題を国民全体で考える必要があると感じた。6年前に初めて観光に来たが、今は沖縄が抱える問題を一緒になって考えようと活動を続けている。あらためて沖縄の人々のパワーを実感した。(公務員、愛知県)
沖縄タイムス1995-10-22付

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