糖尿病


糖尿病とは

 体のエネルギー源であるブドウ糖が、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの不足やはたらきの低下によってうまく利用されなくなると、血液中のブドウ糖濃度の高い状態が続くようになります。これが糖尿病で、成人病型(インスリン非依存型)糖尿病は、体質的な遺伝に加えて、高カロリー、高脂肪食、肥満、運動不足など、様々な生活習慣が原因となります。初期はほとんど無症状で、糖尿病の三大症状(多尿、多飲、口渇)が現れる頃には、すでに進行しているケースガ多いものです。糖尿病のこわい点は、様々な合併症を招くこと.検査で高血糖を指摘されたら、生活を改善して血糖値をコントロールしていきましょう。

糖尿病の予防・治療の基本は?
  1. 食事療法 
     血糖値をコントロールするには、食事療法がまず大切です。まず気をつけたいのは、エネルギーをとりすぎないことです.インスリンのはたらきに見合った食事をすることで、ブドウ糖を完全に利用しきってしまうことが大切なのです.次に栄養のバランスをとるように心がけることです。食品交換表を利用したり、医師や栄養士の指導をうけましょう.糖尿病食は、病人食ではなく、体にとって最も理想的な健康食なのです。
  2. 運動療法
     糖尿病の予防・治療のために、適度な運動は欠かせません。肥満の解消、血糖値のコントロールに、運動療法は効果を発揮します.運動といっても、急にスポーツをはじめるということではありません。たとえば、散歩でもいいのです。要は自分の体に適した方法でエネルギーを消費するということです。最低でも30分くらいは無理なく持続でき、体内に新鮮な酸素をたっぷりと送り込む有酸素運動、たとえば早足で歩く、プールで歩いたり泳ぐ、自転車に乗ることなどが適しています。最も手軽で安全、そして効果的なのが散歩といえるでしょう。1日1万歩を目標に、ふつうに歩いている人を追い抜くくらいのスピードで歩いてみてください。あらゆる成人病の予防にもなります。大切なのは、毎日続けることです。 

  この食事、運動療法に加えて、必要により薬物療法(経口血糖降下剤やインスリン製剤)も行われます。 

日常生活の心得
高血糖と低血糖
高血糖を招きやすい場合
高血糖は、インスリンの相対的または絶対的な不足によっておこります。たとえば風邪をひいたり、けがをしたとき、あるいは精神的なストレスがある場合は、インスリンの必要量が多くなり、その分インスリンが不足する状態となることもあります。運動不足など、治療が計画通りおこなわれなかったときにも現れることがあります。
低血糖を招きやすい場合
低血糖は、インスリンの相対的な過剰によって起こります。とくにインスリンの注射や血糖を下げる薬を飲んでいるような人で、食事を抜いたり、食事の量やタイミングが不適切だったり、過剰な運動をした場合に起こる可能性があります。あるいは急な病気でものがたべられないような場合にも起こることがあります。
低血糖の症状
低血糖になると、最初は、空腹感、いらいら感、冷や汗、ふるえなどがみられ、やがて頭痛がしたり、ボーとしたり、フラフラしたりする症状が現れてきます。さらに進むと、うわごとをいうなど意識が混濁し、ついには意識不明にいたる危険な状態になります。低血糖の初期の症状に気ずいたら、ペットシュガーやジュースなどを口に入れるなど、素早く対処しましょう。
病気の時の注意
病気のときは、軽い風邪などの場合でも、体に余分のストレスがかかって、より多くのインスリンが必要になります。このためインスリンの量が追いつかなくなって高血糖をきたす可能性があります。病気で体調のよくない時は、以下のことを心がけましょう。
◆病気の時の心得7ヶ条
  1. 安静、保温につとめる。
  2. 尿糖、血糖は1日4回以上測る。(少なくとも3食前と就寝前に)
  3. 尿ケトン体をチェックする。(血糖値が高く、かつケトン体陽性であれば、インスリンの追加が必要。病院または主治医に連絡を)
  4. インスリンを中断しない。(食事がとれない場合でも基本的には中止しない)
  5. 水分を補給する。
  6. 食事は必要量を確保する。(食欲低下時は少量ずつ、回数を増やして摂取)
  7. 腹痛があり、嘔吐を繰り返すときは、病院または主治医に連絡を。
病気の時の食事
体調の悪い時でも、食事はできるだけ普通にとるようにしましょう。食品交換表を参考にするとよいでしょう。食欲が低下しているときは、少量ずつ、回数を増やして食べます。普通の食事がとれないときは、下記を参考にして下さい。
(1)少し体調が悪いが、食べられないことはない場合
消化のよいものを、適正カロリーにしたがって食べる。(卵、チーズ、鶏肉、果物など)
(2)微熱があるが起きていられる、少量なら食べられる場合
1回の食事の量が少ない場合は、間食などで回数を増やす。(うどん、オートミール、パン、プリンなど。間食としては、ジュース、スープ、果物、アイスクリームなど)
(3)熱があり、だるい、下痢をする、なにを食べる気がしない場合
1ー2時間おきに水分をとる。(スープ、おかゆ、ヨーグルト、ゼリー、アイスクリーム、バナナなど)
(4)高熱、ひどい吐き気、下痢
1日1000ml以上をめやすに、15−30分毎に水分をとる。水分もとれなければ病院または主治医に連絡する。(ジュース、コンソメスープ、おもゆなど)
旅行や出張のときの注意
旅行や出張の場合には、運動量の増加や精神的なストレスも加わってインスリンの必要量が増えると同時に、生活が不規則になり、食生活も乱れがちになりです。血糖のコントロールがよいことが最低条件ですが、旅先でもある程度自己管理する能力を身につけておくことが必要です。
◆旅行時の心得
  1. 事前に医師の診察を受け、スケジュールを相談する。
  2. 医師の証明書、糖尿病手帳、健康保険証を携行する。(海外旅行の場合は、現地語のものを)
  3. その他携帯するもの:インスリンと注射器のセット、自己測定器具、ペットシュガー等。
  4. 海外旅行の場合は、時差などを考慮して、インスリン投与量の調節をする。(主治医に相談して下さい)
  5. 同行者に糖尿病であることを知らせる。
足の健康管理
糖尿病では、神経障害のために皮膚の感覚が鈍くなり、足の傷や、火傷、水虫などの感染に対して気ずくのが遅れることがあります。そのうえ、血液循環が悪いことで、傷の治りが遅く、結果として壊そを生じたりします。
◆足の健康8つの心得
  1. 温かい石鹸水で毎日よく洗いましょう。湯に足をつけっぱなしにしたり、強くこすったりしないように。
  2. 爪は、深爪をしないように、できるだけハサミや爪切りを使わずに、ヤスリを丹念にかけましょう。
  3. 傷や炎症がないか、足をよくみる習慣をつけましょう。
  4. 家の外、中を問わず、裸足で歩かないことはもちろん、サンダル、ゲタなど裸足ではくものも避けましょう。
  5. 靴ずれに注意し、履き物の清潔を保つようにしましょう。
  6. 切り傷にヨードチンキのような刺激の強い薬は使わないようにしましょう。よく洗った後、刺激のない消毒薬を塗り、滅菌包帯で処置します。
  7. ウオノメ、タコは、切ったり削ったりせず、ローションで湿り気を与え、タオルでアカを落とす程度にとどめます。
  8. 水虫に注意し、あればできるだけ早く治療しましょう。
アルコールについて
糖尿病だからといって、食べてはいけない、飲んでは行けないという食品はありません。アルコールも同じです。しかし、アルコールもカロリーの一部と考えて飲む場合は、正しい食事計画に組み込んで栄養のバランスを調整する必要があります。またアルコールは、肝臓の働きにも影響を与えます。肝臓での糖の放出を抑え、低血糖発作を引き起こすことがあるので注意が必要です。
◆お酒を飲む場合の心得
  1. 食事計画に組み込んで少量たしなむ。(日本酒に換算して1合以内に)
  2. 空きっ腹で飲まない。(低カロリー、高蛋白、ビタミンの食品といっしょに)
ホ−ムペ−ジに戻る