Les Elles


Les Elles

(9/1997)


今度は「ナイショだけど」なんてゆうてる場合じゃないっす。1997年の堂々ベストアルバムじゃないかとまでさえ思っている、名盤です。
今回もタイトルなし。「スノーボール」の方(1枚目)と「パジャマ」の方(これ)、ってゆう区別でよろしゅおすか?

さてさて。一枚聴き通して、もーその日はその後に他のCDが聴けなくなりました。熟聴するのに精根使い果たしてもうた。本でも映画でもそうだなー、魂こもってる作品に飲み込まれる時って、こんな感じがする。久しぶりでした、すごい手ごたえ。

一言で云って、怖い。相変らずアコースティックな編成にこだわっていて、プラス、試しにちょっとしたサンプル・ループなんかも隠し味的に織り込んでいます。アレンジは前作より浮世離れしちゃって、いつの時代とも、どこの地方とも(まぁ欧州は欧州ですけど)云えない、御伽話のような世界。怖い情景がいっぱい詰まってる子供の頭の中を垣間見てしまった気分。というと、音の面でPascal COMELADEを連想する人も多いかと思いますが、les Ellesはやはりあくまで「言霊」が命ですから、別モンということにしましょう。

そしてその詞、ですがこれまた腹括って、イッちゃってくれてます。
空を飛んでる飛行機が下痢しちゃってて垂れ流すものだから、バッチくてたまらん・・・とボヤく曲だとか。給食をムリヤリ食べさせられて「あぁ、先のとんがったハサミを持ってたらなぁ・・・」っていう、"ナイフは僕の友達"(本田恭章 :-o)な曲とか(これなんかもう歌ってもいない、独り言状態)。人は死ぬわ、血は流れるわ、女の子はヤられちゃうわ、もうすごい事になってるのを、一人称で、とことん当事者の視点で描いてる。

この作品、私の頭の中では、一番好きな映画の内の一本、「シャイニング」と同じとこに分類されてます。つまりは「ホラー」なんですが、どっちも、とっても怖い人生を、断片的にでも、疑似体験させてくれる。ただのジェットコースター的恐怖ではなくって、この手のホラーは、もっと深いところに作用する。なんでもない日常に潜んでいる狂気とその境界線を、意識させてくれる。特に「今が一番心地好いから、世の中には変わって欲しくない」率の高い、我等日本に住む日本人にとって、頭から冷水浴びるよな、ハッと我に帰り身辺を客観的に見直す機会を与えてくれる、外国旅行同様、一年に一回は必要な、重要な体験だと思う・・・。

そうそう、あと、ジャケットの絵のタッチが、これまた今日本で一番怖い漫画、 「ドラゴンヘッド」に似てるの・・・小3くらいから中3くらいまでの子供の怖さ、 みたいなのが、目の辺りに、漂ってます。CD屋でチェックしてみて下さい。

是非日本にも来て、パジャマでお邪魔ライブを披露して欲しいものです。誰か呼んでくれよー!!!フェスティヴァル・春はどーなったのさ!????

●27 Septembre 1997


Les Elles

(1995)


実は、1995年の隠れたベストアルバムじゃないかとまでさえ思っている、名盤です。
フランス北西部ノルマンディー地方(上陸作戦のあったところ)出身の女性4人組のデビュー作。レーベルはフレンチパンクの老舗Boucherie Productionsなのですが、このLes Elles[彼女達]はバンドと呼べないくらい、クラシックなアコースティック楽器の使い方をしていて、なかなか意外でした。音だけ聴いているとちょっと不思議な雰囲気ですが基本的には涼し気。しかし・・・。歌詞がねじれている!それもかなり強烈に、痛々しいくらいにひねちゃっています。やけくそなくらい素直な歌声、確かな演奏力、緻密なアレンジ構築、皮肉とユーモアとが入り雑じった不条理ファンタジーな詞の世界。「女の子だからって、可愛いからって」だけで許されてしまうガールズものには違和感を抱いてしまう人に、ぜひとも聴いて欲しい一枚です。あと、裏ジャケの、スノーボールに入った4人の写真が笑えます。
ライブツアーもしているようで、2枚目以降も期待できそう、とっても楽しみです。
ホントは、ナイショだけど、おススメ!

●19 mars1996


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