Hugo


La Formule

(5/1996)

狼少年が凶悪な案山子のバケモンに追われて麦畑を逃げ回ってるの図。
子供の世界の悪夢から未だ抜け出せずにいる男、ベルギーの自作自演君、 ユゴのデビュー盤。
てゆうか、結構堪能してるんじゃないかと思われます、あの未知のもの ばかりに囲まれた世界を。

「アイツらが村を包囲しにやってくるぞ!」(誰だよ、アイツらって) とかいって、チャリで村はずれの柳の木まで全速力でつっ走って、 おもむろに「よし、ここまで来れば大丈夫」とかなんとか言ったりして、 一体何がだいじょぶなんだか知らんが、おお真面目に作戦立てたりして。
とか、レジデンツのフリークショウばりのサーカスの見せ物小屋だとか。
そんな日々を、別にとりたてて懐しみ美化するでもなし、子供っぽさを ウリにするんでもなし、ひとつずつ飄飄と描いてます。 子供の頃誰もが持っていたような妄想をそのまま切り取って曲にした、 そういう作品です。

少年ぶったいやらしいオトナの目線に陥らず、新鮮さを保っている秘訣は、 メロディに負うところが大きいんじゃないかな。ポールが好きなのねー、 と、お里がバレバレな展開、しかしどっかが一箇所ねじれてる、がために クラインの壷状態。独特の節回しで、何故だか既視感のある異次元空間へと 聴く者を連れてってくれます。でもって一曲に必ず一回、たいてい2番の サビのあと、おいしい仕掛けがあるんだな、これが。ほとんど、グリコの おまけですね。

背景担当が、只今破竹の勢いで日本のマーケットに攻勢をかけてるBertrand BURGALAT。ここでは、サウンドの要となる、ピアノとドラムの音色に的を 絞ってお得意の60年代なAMラジオ・ワールドを、ユゴのなよっとした線の 細いヴォーカルとじゃかじゃかギターにぶつけてます。結果として全く ラウンジーじゃないので、渋谷周辺のビュルギャラーさん達(そんなもん いるか)には肩すかしになるかもしれないけど、裏方としてしっかりした、 いい仕事っぷり。年代不詳なアルバムに仕上がってます。

アルバム一曲目のタイトルが、[いてッ]だもんなぁ。ヘンな兄ちゃん!頑張れよ ●1er Decembre 1996


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