LIO


1996年9月26&27日@渋谷クラブクアトロ


演奏曲目
1. J'te frappe
2. Chauffeur
3. Fallait pas commencer
4. L'autre joue
5. Tristeza
6. Les brunes comptent pas pour les prunes
7. Ghetto
8. Cruaute menthol
9. Je casse tout
10. Soir de Tour Eiffel
11. Chesterfield
12. In extremis
13. Banana Split
14. Idylle a Vera Cruz
(9/27のみ、アンコール) Teteou

9月26日(木)

毎年5月にパリ郊外で開催される大型音楽フェスティバルPrintemps de Bourgesを受けて、日本でも「フェスティバル春」がシリーズ化されて早6回目、今年は仏核実験の余波だか何だかどういう訳か秋の十五夜に、なんとLioを迎えるという知らせを聞き付け、Daho来日の時だって腰を上げなかったくせに(って、でもあれは一生の不覚だとおもってます・・・)、今度ばかりはわざわざ東京までスッ跳んで行きました。デビューの時からのファンで、誰かに「影響を受けたり目標にしているシンガーはいますか?」と尋ねられたら迷わず「LioとFrance GALLと大貫妙子さんです」と答える私にとって、まさか日本で、この時期に、こんなに間近で見れるだなんて、思ってもみなかった。

初日、お客さんはほぼ男女半々、年令層高め、きわめて整然としたお上品な人々で、仏大使館関係者みたいなのが多い。これはしめたとばかりに、ステージ前のかぶりつきにグイグイと食い込んでゆく。みんな道をあけてくれるんだもの。
バンドのにいちゃん達は典型的なヨーロッパのロックミュージシャンの風貌:髪の毛長くて背高くてロシアの政治家がよく着てるよなくすんだ色のシャツにジーンズで。キーボードの男の子だけはやたらと若そうで、ちょっとジャミロはいってる帽子かぶってNovationでシュワーとかやっている。
そして、黒人の美人コーラス二人に続いて現れたLio!!意外と小柄。しかしあの衣装は一体・・・。ローマ時代の戦士の鎧を真似て鎖でザックリ編んだようなチュニックを素肌にはおっていて、胸丸見え。てゆうか別段隠すものではない、って感じ。ウエストが無い幼児体型の腰の周りには小さい金属のプレートを繋ぎ合わせたやつを巻いてて、網タイにロングブーツ。もしやとは思ったがやはり。網タイの下にパンツ履いてないのがライブ中盤以降に判明し、「うわー。いけないもん見てもぅたぁー」「やっぱり変態だった・・・?」。

しかし。パフォーマンスはそんな衣装とは関係なく、いたってノーマル。でもって、トップ・エンタテイナーとしての長いキャリアを感じさせるパワーと安定感と笑顔!笑顔!笑顔!
テンション高いけどピリピリしたとこがなくてスムーズ。元気がはち切れてるけど空騒ぎに陥らずに、ついつい見てるほうもニコニコしてしまうよな楽しさ。英語とフランス語のMCをまじえながら次々と往年のヒット曲をロックなバンドヴァージョンで叩きだしてゆく。音だけ聞いていたら、かなり強いハードな感じなのにLioのパフォーマンスを目前にすると人懐こいポップさを帯びるから不思議だった。
最新アルバムはちょっと暗めで重く作り込んだ世界だったし、久々の音楽活動でその新たな方向性を思う存分発揮したいだろうに、ファンのために昔の曲も沢山やらなくちゃならなくて、嫌がってないかなぁ、と私は勝手におっかなびっくり見始めたのだけれども、今の曲も昔の曲も同等に扱われていて、流れも自然で、どちらもLioの中では完全に消化されているのが伺えて、私などには飲み込みにくかった新作の曲もなんだかライブの間は納得できてしまった。

昔は「キッチュなロリータ」みたいな括りで語られていたけど、歌はこぶしこそ回さないが音程しっかりしてるし、パワーあるから「キッチュ」ではないな。ヘンに情念込めないところがプラスチックな感じがしたかも知れないけど、これは「ポップ 」と言った方が正しい。
で、「ロリータ」かどうかというのは、まあ今となってはそんな歳ぢゃないし、ナンなんですが、小悪魔的なところは微塵もなくて、少女特有の向こう見ずな「やんちゃさ」を今迄ずっと発散し続けているという、「野生児(WAVEの柳沢氏)」野放し状態と言ったほうが近い。松田聖子とか小泉今日子が天真爛漫なまんまパワーダウンせずに「大人の女」な歳を迎えたってとこかな。

ごりごりなBanana Splitで大受けして、最大限楽しませてもらって大満足の一夜でした。




9月27日(金)

さて、翌日のライブ。衣装は黒サテンのボンデージぽいボディスーツ。やっぱ昨日のは誰かに、止めとけっていわれたんだろうなぁ。お客さんヒイてたもんなぁ。

前日公演後に楽屋で「今日は初めての日本公演でとっても緊張していたの。明日はもっとハジけるから期待しててね」と言ってたLio。あんなに大スターなのに、生真面目だなぁ。真剣な態度で日本でのライブに取り組んでいてくれて、なんだか私はとっても嬉しい気持になりました。
しかし。その時すでに彼女は首にチェックのマフラー巻いてウロウロしていて、やばい感じがしていたのだった。翌日は朝からプロモーションとかであちこち引きずり回されたようで、初日の頑張り過ぎもあったのか、すっかり声が嗄れてしまっていたのです。

底をついてしまった声以外の、ほんとに総てを投げ打って観客を楽しませようとしている姿にプロの底力を感じました。
私は努力とか根性とかって、どちらかというと好かんのです。特に「こんなに努力してるんだから大目に見て」というような態度は許し難い。
が、この日のLioは、事情を知らないLio初体験の人に「ハスキーな声だね」くらいにしか思わせず、また前日のライブや従来の彼女の声を知っている私達は序盤は「応援せな」とちょびっと心配してしまったけど段々演奏に引き込まれて純粋に楽しんでしまうような、実に堂々たるステージでした。
正直いって、これほどまでに力強く且つ可愛いらしい人だとは思ってなかった。感動のあまり、涙さえ浮かんできちゃいました。あぁ、私この人に一生ついて行こう、と心に決めたのでありました。

という訳で、Lioのページを近々展開させ、独立したものに移行させようと計画中です。フランスWEAの協力を得て、写真や詳細なディスコグラフィー、レヴュー、曲のサンプルなど、見て聴いて楽しい盛り沢山なページにしようと目論んでおりますので、請うご期待です!!!

●29 Septembre 1996


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