SL/GF−3規格

2001年7月1日より、新規格のSL/GF−3が導入されますが、
SG以前では、規格の寿命(新規格への移行期間)が長く、どちらかと言えばオイル性能は
市場での不具合を解消するために規格があったようにも思われます。
SH/GF−1以降では、規格が短い期間で代わって行き、オイル品質の継続的な改善をされてゆくようになっています。
これは、いわゆる省燃費性などの環境問題にも関係していますし、エンジンの使用環境も苛酷な状況になり
オイルに対する要求度が求められているからになります。

新規格導入の理由と主な変更点
1.環境問題から

  • 米国のCAFE基準値※をクリアーする目的
  • オイル消費低減を求められている
  • 高温酸化安定性に対する要求
  • 変更点:1.省燃費性向上に関しては、従来の規格では製品の初期性能だけが評価されてきたが
           新規格においては、省燃費性の持続性も評価の対象となっている。
           具体的には、8000km相当使用されたオイルで基準値をクリアーする必要があるなど
           長期安定性を求められるようになってきている。
         2.他に強化された基準値としてはオイル消費の低減があり、
           オイルの蒸発性を抑えるように強化されている。
         3.高温酸化安定性に関しては、試験基準値の強化となっている。

    2.エンジン試験機の部品供給性の問題から

  • 10年以上前のエンジンで試験されている
  • 既に試験実施不可能なエンジン試験が出ている
  • 変更点:1.試験エンジンの全面的変更がなされ、日本製のエンジンが初めて採用されるに至る。
           (この試験はSeq.VIII)
         2.有鉛ガソリンから無鉛ガソリンへの変更(この試験はSeq.IV A)
    ※CAFE基準値:

    新旧エンジン試験の比較

    評価項目 1989年〜1994年 〜1997年 〜2001年6月30日 2001年7月1日〜
    APIグレード SG SH SJ SL
    ILSACグレード GF−1 GF−2 GF−3
    認証方法 自己認証 EOLCS
    エンジン試験
    防錆性 Seq.IID Ball Rust Test
    (ラボ試験)
    高温清浄性 Seq.III Seq.IIIF
    高温酸化安定性 Seq.IIIE Seq.IIIF(無鉛化)
    高温動弁摩耗 Seq.IIIE 1Seq.IIIF、Seq.VE
    あるいはP≧0.08wt%
    触媒被毒防止性 ≦0.12%P ≦0.10%P ≦0.10%P
    (中)低温動弁摩耗 Seq.VE Seq.VIA
    (KA24Eエンジン)
    (中)低温清浄性 Seq.VIE Seq.VG
    軸受腐蝕 CRC L−38 Seq.VIIF
    Ball Rust Test
    高温清浄性 Cat.1H2 TEOST 2TEOST MHT
    (ラボ試験)
    省燃費性(ILSACのみ) Seq.VI Seq.VI Seq.VIA Seq.VIB
    1IIIF試験機はカムの材質上、摩耗が起こりづらいため、IIIFによる摩耗評価は実質上、形式的な評価になる。
     次世代試験のIIIGが完成するまでは、”VE試験”もしくは”オイル中のP含有量(摩耗防止剤のZDTP由来分として)を
     0.08wt%以上”とすることで摩耗評価と代替する。
    2Thermo−Oxidation Engine Oil Test、Middle and High Temperature

    新旧ベンチ試験の比較

     
    規格 API SJ SL
    ILSAC GF−2 −−− −−− GF−3 −−− −−−
    粘度 0w−XX
    5w−XX
    10w−XX
    0w−20
    5w−20、30
    10w−30
    その他の
    SAE粘度
    グレード
    0w−XX
    5w−XX
    10w−XX
    0w−20
    5w−20、30
    10w−30
    その他の
    SAE粘度
    グレード
    ベンチ
    試験
    防錆性 Seq.IID Ball Rust Test
    蒸発性
    (下記どちらか一方)
     ・NOACK法 22以下 20以下 15以下
     ・ガスクロ法※1 17以下 15以下 10以下
    ろ過性
    泡立ち性
     ・Seq.I&II&III
     ・High Temp Foarming 200/50以下 100/0以下
    触媒被毒(P含有量) 0.1以下 −−− 0.1以下 −−−
    均質性と混和性
    せん断安定性 CRC L−38 Seq.VIII
    高温清浄性(デポジット) TEOST TEOST MHT
    低温ゲル化 −−− −−−
    粘度特性 SAE J300 SAE J300
    引火点
    (どちらか一方)
    200以上
    (COC)
    185以上
    (PMCC)
    −−− 200以上
    (COC)
    185以上
    (PMCC)
    −−−
    1SJではASTM D2887かD5480で測定、SLではASTM D6417で測定

    例えば今まで、SJグレードでエンジン(自動車)メーカーで15000kmOKとか言われてきたオイルは、
    シビアーコンディションの場合、半分の7500kmOKということでしたが、
    この規格SLではそういう条件のないエンジンでも、基本的には8000kmOKですが、
    シビアーコンディションでは4000kmOKという事になってしまいます。
    4000kmというのが長いか短いかは、人それぞれの判断になりますが、
    一応、基準的に最低ラインが出来たことは、評価されるべきかもしれません。
    条件によっては8000kmOKというわけではありませんので、今までのオイルの耐久性と比較してどういうように
    耐久性が向上したかがわかりにくいのですが、
    規格が出来たおかげで、少なくとも最低の走行ラインは理解できるようになってきました。
    ですが一方SJ規格をパスしているオイルでもSL規格をパスできない商品があることは事実です。
    あえて規格の問題から一般的エンジン対応のSLを取得しない場合(レーシングオイルなど)は別として、
    いかに今まで長期使用条件において摩耗性が問題にされてこなかったかが、判るような気がします。

    規格はある程度「ユーザー側の利益」として設けられるのですが、
    本当は企業側の問題意識の現れと見て良いような気がしてなりません。

    SLのGF−3の規格では、更に省燃費性能が求められるため、暖まる事による粘度低下よりも最初から粘度を
    下げてしまう事でのメリットを考えて、5w−20などの低粘度オイルが出てきています。
    もちろん、摺動面の耐摩耗性能が格段に向上した設計のエンジンでしか、使用は認められませんが、
    使用する側のユーザーとしては、オイルの価格に跳ね返り、交換時期も短縮されるなど、
    実際の使用上で良いことばかりとは言い切れないのが実情です。
    5w−20で実際に8000Km走行をよしとするのは、きわめて良好なコンディションでの走行状態のみで
    通常はやはり3000Km程度での交換を勧められる事がほとんどと言えますし、
    本当にSL規格の通り8000Kmを模範的走行でなく、ある程度のシビアコンディションで走行しても大丈夫と
    言ってくれるような製品を適正な値段で買えたらいいなと思っています。
     

    工事中


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