クーラントについて

クーラントの成分

成分の割合

エチレングリコール+リン酸塩系物質+5%以下の水=JIS規格となっていて、 90%−95%位の濃度で売られています。
この場合の成分%はエチレングリコールでその他5%以下の水と 4−6%の防錆剤が入って100%となります。

 金属腐食を抑えるためには最低1%以上の防錆剤が必要になりますので、 水を加えて30%にしたLLCの中に、
1%以上防錆剤が入るように調合されています。

クーラントの効果

不凍液の効果としては、エチレングリコールが水に対して2倍の66.6%の状態が 1番不凍性がよくなることが分かっています。
ただし、そこまでの性能は必要なく−15度Cで凍らない状態で出庫されています。 あまり濃いのはよくないと言われるのは、
その防錆剤の濃度によって異なる金属に 対して、効果が変わるためです。
過剰添加は鉄製品にはよくても、アルミ製品には よくなかったりしますので、このバランスが大事です。
30%−35%位にしておくと 無難です。

 また防錆効果として、リン酸塩が使われていますが、これは、金属に対して 化学結合し錆から守るためです。
酸素と結合しておきる腐食作用が「錆」と呼ばれますが、リン酸塩は 酸素より強く金属と結合してしまうため、
金属表面に防錆皮膜を作ります。そのために 酸素との結合が遮断され錆びさせない効果を生みます。

クーラントの劣化と寿命

金属表面と水が触れ合うと、そこから錆が発生したり、遊離してイオン化します。
防錆剤が金属表面から剥がされることが「劣化」になるわけですが、これは、 で、おきます。

 劣化して金属の表面から一部剥がれるとそこから腐食が進行してゆきます。 このとき、新たに添加剤として「防錆剤」を添加してやれば、
約1年ぐらいは進行をくい止められるのですが、 防錆剤の種類が異なったりすると反応を起こす場合もあり、
成分が一致しているか、調べる必要があります。
こういった理由から、一般的に異なるメーカーの不凍液を同時に使用しないことが言われています。
また、錆の残った前のLLCがあると、新しく入れた防錆剤の効果も激減させてしまう可能性が大きいため、
出来ればクーラント交換においては、出来るだけ完全に交換することが好ましいと思われます。

 大体の場合、クーラントをドレーンから抜き、水道水を入れ、循環させて抜く作業を5回から7回位 してあげれば、充分でしょう。

 クーラントに含まれる防錆剤は熱に弱い場合が多く、サーモスタットの作動が悪かったり、
オイル管理が悪くエンジンが高温になりやすい状態が続くと、 クーラントに余計な熱がかかったりして、劣化を早めます。
ですから、水温計の針がいつもより高めを示すようでしたら、交換時期が来ていなくても その原因を突き止め、
クーラントも交換した方が良いでしょう

 また、リン酸塩はカルシウム分と結合してリン酸カルシウムになり、沈殿を起こしやすい物質になりますが、
これが、「ラジエターを詰める」原因となり、オーバーヒートにもつながりますので、
硬水は使わず、 普通の水道水(軟水)で濃度調整をしてください。

 上記の目図まりを洗浄剤という酸で剥がしてしまう方法もあります。目図まりの初期段階には有効と思われますが、
完全に目図まりしてしまってはどうしようもありません。時々こういった症状の「ラジエターやヒーターコア」がありますが、
高圧洗浄でダメな場合は交換になります。

 クーラントの寿命は、クーラント液に含まれる金属イオン濃度とエチレングリコールや防錆剤の濃度で調べるのですが、
普通は、車検毎に交換していれば大丈夫になっています。
燃費を気にする人は冷却水に気を配ってください。 冷却能力の差が結構「燃費」に影響を及ぼします。

 また、このクーラントは実はリスクマージンを一番取っている「純正品」が、意外と一番よいものと言えるのですが、
別に、交換さえしていれば、どのメーカーの商品でもほぼ大丈夫です。交換しない人で「添加剤としての防錆剤」を使う人は、
よく販売店に訪ねて、納得出来るような商品を入れてください。

 また、冷却水の補充に「水道水」を使用すると、さび止め剤の濃度が薄くなり、ラジエターなどを錆びさせる原因となります。
出来るだけ同じ銘柄のLLCを使用する事が鉄則です。ですから、交換した時はそのメーカーと同じものが入れられるよう
シールなどに記入しておくと良いと思われます。

 また、LLCの交換は錆や溜まった不純物を出すためにも、ドレーン抜きをお勧めします。
これは、クーラントメーカーの技術者の方も同意見でした。

 さらに、クーラント交換で注意する事は、
あまりにも錆がひどくメンテ不良の場合、洗浄剤などを使用すると かえって、こびりついた汚れが冷却水の通路をふさいだり、
漏れの原因になることがあります。こういったことはオイルの場合も 同じと言えますので、早め早めの交換が良いと思われます。
この場合は水での洗浄がベターでしょうね。
また、表面張力の関係なのか、水よりクーラント液の方が浸透性が高く、
にじみやすいということも聞いておりますがこの点については確認できていませんので、 あしからず。
どうしても、使いたい場合は、まず水で充分洗浄をして、 内部の汚れをゆっくり落とす作業を繰り返すか、
洗浄ではなくコーティング剤で「錆などの上から膜を作る」といったタイプの ものもありますので、整備工場で訪ねてください。
あくまでも「プロ」と相談した方がいいでしょう。

 ラジエターの保証期間は大体5年なのですが、3年目にクーラントの交換がされてないと、クレームが効きません。
そして、このときのクーラントは「純正」を指定しているようです。 トヨタ純正の場合は出来れば3年用の「赤」の使用が薦められます。
「緑」は一応2年用のようです。なおダイハツも「赤」と「緑」を使用されているようですが
ほとんどのメーカーは「緑」を使用しています。

2006年現在で販売されているクーラントの寿命は、ほとんどの製品が
通常使用で2車検程度=4年間の寿命があるロングライフ系になっています。
このため、車検から車検の間に漏れとかが無ければ途中で交換する必要はありません。

逆に、何故かスタンドで毎年交換をしている方のホースを確認しましたら
冷却液が通るほとんどすべてのホースが白くチョーキングを起こしていました。
決して感心できる事柄とは思えませんので、薦められても出来れば断りましょう。
上記に記載した添加剤成分が過多になるためと思われます。
なお、メーカーによっては10年間無交換で保証していることもあり、各社の交換期間を確かめて、交換されるようお薦めします。
 また、上記「LLCの色」で、持ちの良さが変わると言うことではなくて、色が付いているのは、
間違って飲んだりしたりしないための「着色剤」と言うことだけです。
これは「ガソリン」の場合も同様に着色されていますし、
エンジンオイルの場合も同じです。
(エンジンオイルで特に色がほんのりついているのは清浄分散剤系だけだったと記憶しています。
ですから、ベースオイルもほぼ無色透明ですから、誤飲などを避けるため、
琥珀色かグリーン系やブルー系に着色されています。色によって性能が変わると言うことではありません、
=色では性能判断できません。)
性能がいいタイプのLLCに、「トヨタ純正」では赤を使用していますが、
緑と同じ性能の「赤」もありますので、トヨタは2種類で3つの製品があることになります。
詳しくはトヨタディーラーにてお尋ねください。
また、日産のクーラントは「緑」が普通使用されてますが、防錆剤をリン酸から有機酸に変える事で
寿命を5年に伸ばしたと言われています。
このように、クーラントも時代の要請や性能向上によって製品自体の品質が変わっていますので、
クーラントの混合は極力避ける方がいいことになりますし、
新しい自動車にはそれにあった製品を使用した方がいいと言うことになります。
ラジエタークーラントのグレード
    
エンジンオイルにグレードがあるのと同じように、実はクーラントにもグレードがあります。
不凍液として1種と2種に分かれ、
通常自動車で使用されるのは1種の「AF」に対し2種の「LLC」という記号となり
規格的にはこれしか品質表示がありません。

ところが、これでは長期耐久性などで困りますので
クーラントメーカーは自動車メーカー各社に合わせて
ガソリン車用、ディーゼル車用なども含め、多くの種類の製品を作っています。
ただ、高品質製品は純正品販売の支障にもなるだろうからと言う理由もあったりで、
整備業者にも特に長い寿命の製品は純正を使うようにさせる為に
汎用品としては販売していません。

ただし、「2車検対応」(=耐久性4年から5年)のいわゆるロングライフ化された製品は存在します。
グレードの呼称を「グレード1」とか数字で表現するかどうかは分かりませんが、
クーラント製造メーカーはどれがそうなのかを公表しないようですし
(仕入れ値で分かるのですが・・・)
こういった製品は長期使用でやっと差が分かるわけですので
車検毎の交換をされる場合は、どちらを使ってもほとんど関係なくなってしまいます。

2006年前後から10年間(あるいはメーカー指示)以上無交換で良いタイプと
通常の2車検対応タイプのクーラントとは着色料が分けられているようですが(=色が違う)
価格は高性能になればなるほど高くなる傾向になります。
(いつも記載していますとおり、「希望小売価格はどんな高い値段でも付けられ」ますので無視してください)
整備上は確かに簡素化されますが、クーラント補充には必ずメーカー指定のクーラントを使用せねばならないので
多少困る時もあります。

なお、材料価格や環境問題との兼ね合いから
今後とも高品質化し、値段も高くなっていく傾向となります。
 

ラジエターの防食剤の種類と製品の種類
ラジエター防食剤は不凍性をもたないため温暖時に単独で水に添加するか、防食性の向上の目的で、
不凍液と混合使用されます。
1.種類
液状  1.透明液状型・・・無機系、有機系防食添加剤でLLCにも入っています。3−5%で使用され、製品は濃縮タイプ。
2.不透明乳化型・・・油成分と界面活性剤を主成分とします。ウオーターポンプなどのシールの潤滑性に優れるが
  廃液公害問題から使用されなくなりつつある。
固形 1.錠剤型・・・平均的1%の低濃度で使用され、冷却水を抜く手間が省けるため便利。
2.顆粒・粉末型・・・同上
3.カートリッジ型・・・建設機器用。
2.製品
1.ラジエター防食剤 上記の液状透明型。冷却機構の防食性向上だけに使用されます。
2.オーバーヒート防止剤
腐食によるオーバーヒートを防止するほか、冷却水の熱搬送量を向上させるとか、
冷却水の泡立ちを防止する事で、オーバーヒートを防止します。
3.ストップリーク
LLC、不凍液中のエチレングリコールは表面張力が小さいため、ラジエターホースやウオーターポンプの
シール部からしみ出す事がありますので、微細な粒子によって漏れを止めたり、穴を塞いだりします。
表面張力を上げる成分を含むことが普通。
4.泡立ち防止剤
消泡剤を主成分とします。多孔性の物質にシリコーン油を含浸させた粉末状の物が多いようです。

オイルの消泡剤の水溶性型と考えていいと思われます。
5.鳴き止め剤
最近は販売されなくなったのかあまり見かけません。
ウオーターポンプのスティックスリップによる異音を抑制する目的で作られたようですが、
ウオーターポンプの品質、材料の改良により、異音発生が起こりにくくなったからとも思われます。

主に上記不透明性(乳白色)の製品。
6.クーラント強化剤
LLCの使用に対し6ヶ月程度に1回添加し、クーラント中の各種の防食添加剤の劣化を抑制したり
劣化成分を補ったりする目的で使用されます。ただし、永久的に交換しなくて良いとは思われませんので、

ある程度の時期(普通は車検かな?)を決めて、使用されると効果的と思われます。
ラジエター防食剤の品質・規格(JIS K2408.1990)
 
pH値(最低使用濃度)  6.0〜11.0    
金属腐食性
(最低使用濃度調合水溶液)(88±2度C、336±2h)
1.金属試験片−質量の変化(mg/cm2
アルミニウム鋳物 ±0.60   
鋳鉄 ±0.60
±0.30
黄銅 ±0.30
はんだ ±0.60
±0.30
2.外観・・・試験片とスペーサーとの接触部以外に腐食がないこと。ただし変色は
       差し支えない。
3.試験中の泡立ち・・・
       冷却器から泡があふれ出ないこと。
4.試験後の液の性状・・・
 
ph値の変化                   ±1.0           
液相                       液相に著しい変化がないこと(※1)
沈殿量(vol%) 0.5以内     
泡立ち性(ml)
最低使用濃度   10以下    
最高使用濃度 10以下
製品の容器に表示された最低及び最高使用濃度
ゴム膨潤性(※2)(最高使用濃度)(88±2度C、120±2h)
 
質量の変化% ±7            
体積の変化% ±10
硬さの変化、IRHDまたはHs ±10          
密度(15度C)g/cm3(※3)(原液) 報告                 
循環腐食性
(最低使用濃度調合水溶液)(88±2度C、336±2h)
1.金属試験片−質量の変化(mg/cm2
 
アルミニウム鋳物 ±0.60    
鋳鉄 ±0.60 
±0.30
黄銅 ±0.30
はんだ ±0.60 
±0.30
2.外観・・・試験片とスペーサーとの接触部以外に腐食がないこと。ただし変色は
       差し支えない。
3.試験後の液の性状・・・
 
phの変化  ±1.0 
液相                      液相に著しい変化がないこと(※1)
沈殿量(vol%) 0.5以内
4.部品の状態
ポンプシール部                               運転中作動不良を起こさず、
液漏れ及び異常音がないこと
ポンプケーシング内面及びポンプの羽根 著しい腐食がないこと
※1:分離した油分をかき混ぜたとき、比較的容易に分離しない場合又は液の表面に固い膜状のものを生じる場合をいう。
※2:水による空試験を行い、試料液による変化率との差を示す。
※3:液状のものだけに適用する。水で希釈していない防食剤。

界面活性剤

製法や用途によって、乳化剤、可溶化剤、分散剤、湿潤剤・浸透剤、洗浄剤、起泡剤、消泡剤などに分類されます。
分類の方法は下記の表参照。
A:界面活性剤の主な親水基と親油基
親油基 弱親水基 親水基 強親水基(電離基)
−(C2)nHなど
直鎖、分岐鎖、二重結合などの炭化水素鎖
−C65など、環状炭化水素鎖
−(CF2)H
−COOCH3
−(CH2OCH2)−
−C64OCH3
−CS
−CSSH
−COOH
−OH
−CN
−NHCONH2
−COO
−COONa
−SO3Na
−OSO3Na
−COONH4
−N−Br

B:代表的な界面活性剤
種類 界面活性剤例
1.イオン性
  (a)アニオン性 ・カルボン酸塩(脂肪酸およびロジン酸セッケン、エーテルカルボン酸塩など)
・スルホン酸塩(アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩など)
・硫酸エステル塩(硫酸化油、アルキル硫酸塩、エステル硫酸塩など)
・リン酸エステル塩(アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩など)
  (b)カチオン性 ・脂肪族アミン、その四級アンモニウム塩(一級・二級・三級アミン塩、四級アンモニウム塩など)
・芳香族四級アンモニウム塩
・ピリジニウム塩など
  (c)両性 ・ペタイン
・アミノカルボン塩
・イミダゾリン誘導体など
2.非イオン系
   ・エーテル(アルキルおよびアルキルアリルポリオキシエチレンエーテル、
         グリセリンエーテルおよびポリオキシエチレンエーテルなど)
・エーテルエステル(プロピレングリコールエステルのポリオキシエチレンエーテル、
         ソルビタンエーテルのポリキシエチレンエーテルなど)
・エステル(ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、しょ糖エステルなど)
・含窒素系(脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドなど)

工事中


冷却水によるトラブルはこちらで。

元へ戻る


ホームページへ