肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ56


金属腐食性について

塩素系添加剤がほとんどの場合、金属腐食性を持っていることは
ご存じのことと思われますが、
「表面処理」と謳われている商品は多かれ少なかれその腐食性が強いわけになります。
表面処理をするわけですから、表面処理=腐食性(反応性)と取っていいことになります。
もちろん硫黄系の添加剤も同様に腐食性があり
こちらの腐食性は塩素系より問題点が大きいと思われます。

また、上記塩素や硫黄ばかりではなく、様々な化合物には反応性がきわめて高い物質がありますので
場合によって、まだ安全性が十分検証出来ていない物質も
使用されている可能性も否めません。

ASTM D-130、銅箔腐食テストが160度でテストされるのは
150度を超えますと通常の硫黄化合物は銅腐食を起こしやすくなるからです。
塩素の腐食を調べるのはこのテストではないようです。

また、JISなどの規格書を見ても分かりにくく
この腐食テストには、いろんな製品によって厳しさが異なり
銅板腐食試験(JIS-K-2513)などは
調べて行きますとタービン油などの腐食テストと同じ調べ方になるようで
内容は100度で3時間での評価ですから
エンジンオイルの温度が100度を超えるのは当たり前でして
このテストは最高の状態=1aで通って当たり前の腐食試験です。

なお、このページの文面(2003年の更新)を今になって変えさせて頂きましたのは、
ゾ.○ルを販売している企業の方から、
「当社製品は銅板腐食試験(JIS-K-2513-9.2)を実施しており、
試験結果は[1a]となっており、腐食性はないことが実証されております。」
「当社製品に関しては腐食性はありませんし、塩素系ではありませんので、
削除してください。大変、遺憾です。」と頂いたからになります。
結果、試験内容の本当の違い(※)など知るきっかけになり、ありがとうございました。
※銅板腐食データで塩素成分の特定は万一入っていても限定が不可能ということと、
また分析で塩素成分の化合物の構造などの判断が難しいことなど、
更にその銅板腐食テスト内に格段のレベルの違いがある試験が何種類もある事など。
なお、当時の成分分析情報は添加剤の分析機器を持つ企業できちんと調べられたものでしたが
文書での報告書形式で確認したわけではありません。
この内容については「添加剤ミリテック」をご参考頂けると、
上記メール内容についてのご理解が頂けるものと思われます。
(内容など信憑性は個人の判断でお願い致します。)
また添加剤のイクセルなどは同じように銅板腐食試験のデータをHPで公開しているようですので
ご確認ください。
また別の有名なオイルメーカーの技術者は
添加剤の成分などの比較分析を以前からされておられましたが
その技術者の勤める企業の一部の製品には「塩素系成分は入っています」と
胸を張ってお答え頂いているので、
上記と内容から見てみますと技術の方面から見る塩素成分の評価と比べ
一般的には塩素成分はかなり毛嫌いされているのがわかりました。
これらは家庭用洗剤やら漂白剤などの問題と同じようにデリケートなのかもしれません。
(なお評価の順番は良好な順(?)に1a、1b、2a、2b、2c、2d、2e、3a、3b、4a、4b、4cとなります。)
また、このJISでの銅板腐食試験は
100度で1時間や3時間、150度で1時間などと言うように
テストの結果により
1種、2種、3種などという規格が与えられるようですが、これらが無いものもあります。
この例では試験時間の指定がありませんので、随意ともいえそうです。

で、
100度で3時間の試験を良い成績で通るより
150度で1時間の試験を同じ成績で通る方が遙かに非常に難しいのですが
このあたりは説明がないと初めての方には分からないわけでして
規格の問題点・安心をチェックする盲点なのかもしれません。

ですから逆に、逆手にとって
この事を知らない方に「規格を好成績で通っています」と言えば
もしも150度での評価が最悪の結果であっても
隠し通せるわけです。いいえ、決して上記企業の評価ではありません。

加えて、「○○などの金属系、固体物質は使用していません」という表記の場合も
○○系以外の金属物質や、固体物質は使われている可能性があると
読むべきでしょう。
「重金属は使っていません」はかなり正確な表現で
カルシウム系などの成分は入っていても良いことになります。
「塩素系ではありません」は含有成分に塩素成分が皆無という表現ではなく
成分には「Cl」と付く多量の塩素化合物が含まれていても
それが一般的に使用されている腐食性の強い塩素化合物で無ければ
表現的には間違っていないのかもしれません。

そういった成分は禁止されている化合物では無いので
MSDS(MATERIAL SAFETY DATA SHEET)にも出てこないでしょう。
PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)にも入らないでしょう。
ですから成分分析になるのですが、
それをしますと優秀な塩素化合物質も
毛嫌いされているフロンなどの規制物質と同じように
Clが検出されてしまいます。
普通に使う塩素系漂白剤など、どうなるのでしょうね。

製品の品質に厳しいメーカーは品質の管理上の問題点も加味し、
160度とかそれ以上の長時間とかで独自にテストしているわけで、
最高のテスト結果が出たからといって、それを持ってその製品の性能評価にはしません。
やはり、上記JISですと、1種、2種というような厳しさの異なるテストの
難しい基準での評価結果だけを出します。
使用するユーザーの期待に応えようと頑張っているわけですし、
それ以上に、製品の改善を惜しまないわけです。

なお、このテストが好成績で通過する事と
塩素成分が含まれてるかどうかとはほとんど無縁で、
成分分析しか入っているこの成分の元素の有無は分からないわけで
過去に成分分析をした研究所は誤った試験結果を出しているとは思えないのですが
そうのように説明されている製品は
ご記載通り「塩素フリー」製品なのかもしれません。
でも入っていないと公言し「塩素フリー」とパッケージに記載している製品が多くないのは
不思議な次第ですね。
理由は簡単です。調べられて提訴されれば裁判で不利になるからでしょう。

そうなってきますと
多分市販されている表面処理、改質系の添加剤のほとんど多くのものは
このような腐食性を持つ成分を含む事になり、
腐食性が出ると困りますので、ラボデータ上では腐食をしないように
「腐食防止用添加剤」をさらに加えることになります。
つまり、
製品の腐食テストは添加剤自体に腐食防止の添加剤を加えることで
消され、押さえてしまうことも可能なわけです。
表面処理・改質をするために必要な元素ですから
ただでさえそういった類の成分が入っていないと考えるのは無理と思われます。

ですから規格の範囲を遙かに超えた長時間のラボテストをすればほとんどのものは
大なり小なり腐食性が現れることでしょう。
どれぐらいの腐食性があるかは各メーカーの腐食テストをお聞きになられて、
テスト内容をお調べになればわかることでしょうから、
ここでは正直言って数値も出せませんので分かりません。
普通に使用している添加量でも腐食性が出てくる可能性があることは否めないわけです。

ちなみに、
腐食性がきわめて少ないとされる添加剤を原液に濃度を近づければ、
ある程度の腐食性が伴うわけで、
これは、とある精密部品をつくる会社の方からの実験結果で知ったわけですが、
(普通の添加量では全く問題がない=腐食がない)
反応を起こすことは添加剤の性格上仕方のないことかも知れません。
(なお添加剤は常時性能改善される製品ですので現在の製品は更にこの試験の性能が上がっていると思われます)。

ASTM D-130、銅箔腐食テスト、160度Cで合格。
防錆試験 ASTM D665、D130−−−合格(160度C、1Hで変色度1b)
ただ、それらの腐食性はオイルだけを使用していてもあるわけですし、
特にイオウ系添加剤が含まれるギアオイルなどのSP剤などはきわめて腐食性が強いとされています。
(したがって、イオウ系=「硫化」と付く添加剤成分も同様に腐食性を伴うと考えていいわけになります。)
リン酸系添加剤やエステルでもリン酸鉄を表面につくるわけですし、
金属腐食=化学反応はどうしようもないことと思われます。
ただし、それらが摩耗を防いでいることは忘れてはならないことなのですが・・・。
ですから添加剤として「有効な場合は表面処理剤」で、「不具合は腐食」なのです。

使用される燃料の種類によっても水分が加わることで異なる酸が発生しています。
硝酸、硫酸、塩酸などがオイルと混じって来ますので、
酸中和剤が入れられることが普通です。
ブローバイガスの使用によって、その量も増えますし、
オイルは更に過酷な状況ですから、
「よくオイルだけで何年も走れるものだ」と感心してしまいます。

で、ご心配になられる方も多いでしょうが、
添加剤の腐食性と比較して、極圧下での金属摩耗度を、
添加剤のあるなしで比較しますと、
それでも腐食性のある添加剤の方が、何も入っていないオイルと比較すればまだましというわけでして、
「エンジンの耐久性向上」と言う広告も一応了解できるわけです。

エアコンに以前は環境によくないフロンR-12が使用されていましたが
これには潤滑剤ともなる塩素が含まれており
機器の保全には役立っていました。
134aはこの潤滑性が無くなり、潤滑油によいものを使用しなければ
いけなくなったわけですし、潤滑面のコーティングなども改良されるようになってきています。
まして、エンジンの耐久性よりも償却する方がはるかに早いわけですから、
こんな事を書いても意味のないことかも知れません。
本当に気にするのは産業界の方だけなのかも知れません。
(機械が高いですからね。)

万一、腐食性が添加剤未使用の摩耗量と同一だとしても、
多分廃車するまでに、「腐食性のせいでエンジンがだめになってしまう」ことも無いでしょうし、
20万キロぐらい走行すれば、エンジンがおかしくなっても
(小型ディーゼルなら30万キロ、大型トラックなら100万キロ)
誰も文句を言わないでしょうね。

と言うわけで、効果の少ない添加剤でも十分使用対象になるわけですし、
腐食性が多くても、実際はオイル交換が早い場合ならなおさらわからないわけですから、
使い続けて、万一壊れたとしても、
それは「エンジン自体の寿命」として片付けられてしまうわけです。

多少問題点があるにはあるのですが実体はまあそんなところでしょう。

ボロンナイトやダイアモンドやセラミックのような硬い固体潤滑剤などをオイルに添加しても
新車みたいなエンジンであれば、多少摩耗が増えようとも、クリアランスの増加は、
かえって「あたりがついた」ような状態とみなされ、
レスポンスの向上を感じるかも知れませんし、
添加剤を使用される人の誰もが摩耗を極端に嫌っているわけでもないことがわかります。
(なおボロン系化合物もよくないとことでした。)

ただ気を付けたいのはあまり腐食性が高いと、クランクなどのメタルへのダメージが強くなり、
エンジンから異音が発生するようになりますので、
長期に渡る継続使用は好ましくないでしょう。
使用例で心当たりのある添加剤もありますので、
添加剤の使用に当たっては十分注意も必要です。

ですから、新車のようなまだ削れてもいいようなエンジンには何でもいいかも知れませんが、
走行距離の増えたエンジンにとっては、
それ以上の摩耗はいいとは思われませんので、
極力、摩耗・腐食の少ない(=壊れにくくするような)添加剤を選んでしまうわけです。
一旦、クリアランスがある一定状態より広がりますと、
金属摩耗量はそれほど多くならないのですが、
エンジンの体感的「ふけあがり感」とは裏腹に、
ピストンでの気密性が悪くなり、オイル消費の増加、出力の低下が起こってきますので、
高粘度オイルや粘度増強剤主体の添加剤の効果の方が出てくることになります。
エンジンの構造上、粘度は作動油としての側面を持つため、
指定されたオイル粘度でいいわけなのですが、
古くなってきますと、どうしても高粘度の方へシフトしますので、
燃費にも影響がでてきます。

エンジンの状態をどこまで維持するかだけが中心ではありませんが、
どうしても添加剤の腐食性について気にかかってしまうのは、
職業上のことからかもしれませんが、
そのあたりと償却のバランスが難しいところかも知れません。

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