メンテナンス・メモ(その2-1)

ダイナモ(オルタネータ)の怪

症例:その1:ワゴンR、H11年式(走行約2万キロ)
1年半使用後の冬の夕方、突然セルが回らなくなった症例。
顧客のガレージに止めるまで何事も無くかかっていたエンジンなのに、商談を済ませ出て来ると、突然バッテリー上がりの症状。
顧客の自動車に運良くブースターが載せてあったのでバッテリーをつながせてもらうが、かろうじてセルが1-2回
ゆっくり回るが、回してゆくと止まってしまった。
で、電話がかかり、症状が話される。
よくあるのは、ブースターがきちんとつながっていなかったり、ブースターが細すぎて電流が流れなかったりするため
と言うこともあるので、
確認してもらうが、同じ状態。引き取りにゆくことになる。
中古のバッテリーを持って引取りにゆき、載せ替えると、何事も無かったかのように、セルが元気に回り、一発始動。
バッテリーか?ダイナモ(オルタネータ)か?

しかし、診断の為、一旦預る事にした。
メーカー保証があるので、ダイナモ(オルタネータ)を調べてもらうが、中古のバッテリーは良く充電し、
発電量も十分との事。要するに正常に作動。
新品のバッテリーに交換して、バッテリーの不良と診断が下される。

後日、このバッテリーの状態が知りたいので充電器にかけると、導通なし。
経験上バッテリーには稀にあるのだが
初めて体験した珍しい症状で、端子が断線しているらしい。
だから、ブースターでつないでも、電流が流れないのだからセルが回らなかったわけだ。

で、普通なら、これでその後は1-2年バッテリー上がりなど起きないはずで、めでたしとなるのだが、
その7ヵ月後、同じ症状が起きる。
ただし、この時はブースターでエンジンはかかるし、
しばらくアイドリングをすると、止めても再始動できるのだから充電は何とかしているようなのだが、
チャージランプが点くことがあるという。

一応修理点検の為にその自動車で来てもらう事になったが、途中寄り道した際に、エンジンを切り、
再始動しなかったので応援に行く。
先日はどうも無かったらしいのだがということだがブースターで一発始動するところを見ると、
実際充電はかろうじてしているのかもしれない。
しばらく走っても止まることなく、テスターにて点検。

電流も電圧も正常。
ライトを点けると40アンペア程度流れているので、発電はしている。
おかしい?
バッテリーもいい状態とは言えないが、単体でも電圧はあるし、充電もするようなのだ。
で、
しばらくそのままテスターで発生電流を調べていると・・・出た!
エンジンアイドリング状態で20アンペア近く流れる電流が、段々と落ちてきたのだ。
しばらくすると、ほとんど電流が流れなくなった。
アクセルをふかしても変化しない。
電圧も徐々に低下してきているので、明らかにダイナモ(オルタネータ)の故障と判断し、
ディーラーへ新車3年以内のクレームで修理を依頼する。
この時点でチャージランプは点いていなかったので、
エンジンを切らなければそのまま走れるかと思ったが、
不安なので、バッテリーとブースターを積み込み発進。

不安は的中し、途中からチャージランプが点灯。渋滞中の国道1号線上で突然エンジンが止まってしまう。
中央車線側にいたので、路肩に押すことが出来ず、道路の中央側ぎりぎりまで自動車を押し、
ボンネットを開け、助手席側に積んだバッテリーとエンジンルームのバッテリーをブースターでつなぎ
エンジンを始動。
道路が渋滞でなければ、かなり危険な停車で迷惑な作業だったと思う。
で、途中止まることなく無事ディーラーに着き、症状を話し修理依頼をする。

2−3日してからメーカーから連絡が入り、修理が終わったということで自動車が届けられる。
あいにく、外出していたので、修理内容を聞いておらず
確認のため、電話をすると、
「故障箇所がなかったため、清掃のみ。バッテリーは新品に交換しておきました。」との返答。
「えっ?・・・」
電装業者で十分に発電や電圧を調べた上での結果ということだが、
ディーラーへ引き渡した時、チャージランプが点いていたので、
説明不要としてしまったため、そのことが電装業者にうまく伝わっていなかったのだろう。
ここで過去のいきさつも詳細に説明・・・後日ダイナモ(オルタネータ)は修理ではなく新品に交換されて納車となる。

多分ダイナモ(オルタネータ)の発熱によってダイオードなどが働かなくなる事が原因と思われるのだが、
ダイナモ(オルタネータ)交換以上の原因究明はされなかったようで、真相は検証出来ず。
今後同じ症状が出るかどうかは解らず、もし原因が違う箇所にあり、ダイナモ(オルタネータ)へ派生していた場合は
再発に1年以上かかる可能性が強い。
こういった場合は、ダイナモ(オルタネータ)が自動車に付いた状態でないと原因が調べられないので、
すっきりしないクレームになってしまった。

症例その2:バネットセレナ、H5年式(走行約8万キロ)
チャージランプとオイルランプが同時に点く事があり、オイル不足かと確かめるときちんと入っている。
バッテリーは約3年ほど使用しているのと、メンテナンスフリーの密閉タイプなので、比重は確認できず
良い状態とは判断できないが、使用できない程悪いとも判断しにくい。
バッテリー上がりも起こしたと言うことだが、現在は全くどうも無く直っているかのごとく異常が無いらしい。

とりあえず、バッテリーは交換時期も考えて新品にして、ユーザーの警告灯の点く症状の再現にかかる。
ライトをつけたり、ダイナモ(オルタネータ)が発電するよう電気を使用するが、症状が出ない。
で、エアコンをONする。ファンが強風になったところで、チャージランプとオイルランプが点灯。
テスターにてバッテリー端子に入る電流を確認すると、
滅茶苦茶に針が(デジタルなので実際は数字が)振れまくる。
ん?エアコンが原因か?・・・
もう一度エアコンOFFにしてファンのみON。
ランプは点かない。
やっぱりエアコンか・・・と、メーカーに配線図を依頼するが、オイルランプとか点灯に関連性が全く無い。

まあ、多分ダイナモ(オルタネータ)がからんでいることは間違い無いので、電装屋さんにダイナモ(オルタネータ)を外して、修理を依頼する。
ところが、70アンペア発生させても、異常なしなので、車体に乗せた状態で調べますと言われた。
どこか他の箇所での異常が原因かもしれないとの事だからだそうだ。
ダイナモ(オルタネータ)がそのままで帰ってきた。
「ひょっとすると、今度つけたら正常になっているかもしれませんよ」とのコメントもあった。
またか!。
すごすごダイナモ(オルタネータ)を元通り取り付け、テスターで調べることに腹をくくった。

元の通りかわらずで、エアコンをつけるとランプが点き出す。
しかし今度はちょっと違う。
電気消費が多くなると、つまりファンを最強にするだけでも点灯する。
これはバッテリーが新品だったから先日発生しなかったのかもしれない。

それで、ダイナモ(オルタネータ)であることがある程度確定出来たのだが、しばらくテスターを見てゆくともう一つ奇妙なことがわかった。
アイドリング状態やスモールランプ、ヘッドライト点灯ぐらいでは
十分発電しているようで、電流計もきちんと作動しているのがわかる。針が18アンペア程度までなら指すのだが、
それ以上に電気を消費すると、振れまくる。
元に戻すように、それらのスイッチを切り消費を下げると、また何も無かったかのように数値をきちんと示し、
この上限は20アンペア程度までのようで、充電をしているみたいだ。
電装屋さんでは70アンペア流したと聞いたのだが・・・?!

どちらにせよ、と言うことは・・・ICレギュレーターか?
で、電装屋さんに聞くとこのタイプはICレギュレーターと同時にレクチファイア(ダイオード)も替えないと
後で不具合がまた発生するらしいので、
思い切って替えようと考えたのだが、ユーザーの納期まで時間が無い為、
リサイクル商品(=いわゆる中古品)をと、電話し取りに行く。
ちょうど運のいいことに、モデルチェンジした新しいタイプのダイナモ(オルタネータ)があり、少し加工して交換取り付け。

取り付け後、テスターにて確認。
何をしても警告灯は点灯しないし、アクセルを踏めば、40アンペア以上きれいに発生するようになった。
なお、オイルランプが点灯したのは、ダイナモ(オルタネータ)から直接電気を取っている為に
ダイナモ(オルタネータ)での電圧が下がると「異常」と判断される構造だからのようだ。

症例その3:タウンエース、H3年式(走行約8万キロ)
上記2例と同じく、こちらはオイルランプとラジエター水量ランプとチャージランプと3つ点灯する。
セレナと同様ダイナモ(オルタネータ)から配線がきているので点灯するのだろう。
多少違うのは、最初点灯したのは約3年も前の話で、交換するにいたるまで、バッテリーあがりもなく
交換まぎわまでバッテリー自体も十分充電されているので、
最初は故障かどうかもディーラーでも判らなかった(=症状が再現しないので)という違いがある。

エンジンをかけてからチャージランプ類が点灯するまでの時間は、
一番最初に気が付いた3年ほど前で1−2時間経ってからだったので、こちらでも、
「バッテリーが上がったらダイナモ(オルタネータ)の交換をしましょう」とのんきに構えていた。
交換する気になった時期では、エンジン始動後10分程度からと、随分早く異常になるようになった。
その間約2万キロ以上も走行しているのだから、本当に故障としてよいかどうか疑問も感じる。
エアコンから何から何まで付けても、10分ぐらい症状が出ないので、
普通走行する程度なら問題なくバッテリーのチャージはしている。

こういったケースは故障があっても短時間しか使用しない場合に気が付きにくい。
上記タウンエースでは1−2時間連続して走行するケースは「まれ」で、大体15分程度の通勤使用なので
ダイナモ(オルタネータ)が上記のように不具合が出るとしても、ランプ類が点灯することなどまず起こらない。
このように使用状況で症状が出ないため、故障があっても判らないだけのこともある。
いろんな自動車を丁寧に診断すれば、このような不具合があるのかも・・・と
時々感じることがある。

他の例でも、毎日の走行程度では全く不具合なく、バッテリーがあがることもないのだが
旅行したら、症状が出て、夜、走行中に急にライトが暗くなったという例もあった。
これが山道だったらちょっと怖い。
他に故障箇所があっても本人が気が付かないだけの事かもしれない。
長時間走行して始めた判った不具合も時々見たり聞いたりする。
温度が上がって始めてラジエターから水がゆっくり漏れたり、
エンジンのガスケットからウオータージャケットへ亀裂かピンホールが出来ていたが
短距離走行だけのため、オーバーヒートなど無縁だった例。
高速道路を走った場合だけウオーターポンプからにじみが出る例もあった。
水回りの症状は水温計が上がって始めて気が付くケースが多いのだが、
通勤や買い物で5分程度動かすだけなら、水温も上がる事はない。

このタウンエースの場合も同じ状況なので、不具合が現実的とならないわけで、
そういったうちは、通常考える故障にはならない事になってしまう。
現実的に困ってきて、或いは困るような状況を予想して、
始めて故障となるのかも・・・。

いやはや、この判断は難しい。

この手のダイナモ(オルタネータ)は分解が簡単なので、(レギュレーターやレクチファイアやブラシなどねじ止めしているだけで、
ブラシはまだ1/3も減っていないように思われた。)
とりあえず、レギュレータ+レクチ交換というメニューのオーバーホール。

やろうと思えば、ダイナモ(オルタネータ)の修理は
交換する部品さえ判断出来れば、誰でも出来るようになってきている。
コイルなどの内部配線での故障は経験上滅多に出会うこともなくなった。

で、もちろん、取り付け後の電流・電圧の測定結果は良好。
これで廃車するまで問題なく発電する事と思われる。

メンテナンス・メモ(その1)
メンテナンス・メモ(その2)
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