1.乾燥など硬化しない
自然硬化や低温による硬化はしません。
グリースの潤滑上の問題点の一つは、初期稼働時に、グリースが流体潤滑を行えない点にあります。
つまり、極端な例で言いますと、半固体でなく、シール性が良いのであれば、エンジンオイルのような
液体である方が良いわけです。
その方がいわゆる「くさび効果」で素早くジャーナルを浮かせる事が出来ますので、
金属摩耗も少なく出来るわけです。
まして、グリース自体が乾燥などによって「硬化」してしまうと言うことは、ベアリング部にとって
エンジンのドライ発進をしているのと同じ事ですから、
摩擦・摩耗に良いはずがありません。
ハブベアリングの状態を見ますと、古くなった自動車では特に、メンテナンス上の問題点かも知れませんが
グリースの硬化・乾燥によるひび割れなどが見受けられます。
また、4WD車の場合、シャシグリスの硬化もよくおこり、グリスチェンジが困難になっているケースも
時々見受けられます。(メンテナンスフリー型密閉式でも、きしみ音がひどい場合は、グリスアップで
解決する場合が多くあります。)
2.オイルとの分離がない
オイルとソープ(増ちょう用の石けん)はお互いに溶解しませんので、分離は避けられない現象です。
今までのグリースと異なるところは、チキソトロピックの一体化したタイプのグリースですから、
グリースの性能を最初から取り入れられた同種の単一物質から形成されていて
ペーストそのものになって出来ていると言うことです。
ですから、オイルとの自然分離はほとんどありません。
3.中高温特性と低温特性
滴下点320度Cという並外れた特性とともに、−40度Cでもトルク測定の出来る低温測定を有しています。
連続的・長時間使用においては150度Cまでの使用に十分耐久性があります。
またチキソグリースと同じような常温の「ちょうど」を持ち、なお、グリースのデータはLUBRICATION EGINEERING からの転記による。
常温−高温を繰り返しても変成しない=グリース状を保つタイプでは
使用温度により200度C前後の高温帯まで使用できるHTG200、
更に300度C前後の高温帯まで使用できるHTG300が
ラインナップされています。
| グリースのタイプ | チキソグリース | リチウム
コンプレックス |
アルミニウム
コンプレックス |
ポリウレア |
| グリースのちょう度 | 2 | 2 | 2 | 2 |
| 滴下点温度(度C)・D566 | 320〜360度 | 280〜300度 | 260〜280度 | 220〜240度 |
| リークテスト
(D1273−163度C−g) |
0.18g | 3.1g | 1.2g | 0.8g |
| 耐久性能(D3336−149度C−
No204ベアリング−失格までの時間) |
900時間以上 | 580時間 | 97時間 | 420時間 |
| 可逆性(D556) | あり | なし | あり | なし |
| グリースのタイプ | チキソグリース | リチウム
コンプレックス |
アルミニウム
コンプレックス |
| グリースのちょう度 | 2 | 2 | 2 |
| −18度Cでのポンピングテストg/sec
(米スティールモービリティテスト) |
0.12g | 0.06g | 0.20 |
| 低温トルクテスト、N.M.
(D1478−スタートトルク−40度C) |
1.0N.M. | 凍結測定不可 | 凍結測定不可 |
| 同上−稼働トルク | 0.08N.M. | 凍結測定不可 | 凍結測定不可 |
4.比類のない高潤滑性能
5.過酷な条件で潤滑効果を維持
6.並外れた防錆、耐水性能
潤滑性能としては通常のリチウム・アルミニウム・ポリウレアグリースの10倍前後の超潤滑性があり、
極圧性能では、16トン/sq.cm2あります。
4球極圧テスト機での摩耗指数は95、焼き付き点750kg
低負荷摩耗試験では平均摩耗度0.3mm
チムケンテストでは140kg。
高温高荷重、低温高荷重などの過酷な条件下では3−10倍の潤滑維持時間があります。
耐酸化の特性は過負荷酸化テスト(ASTM D942)で500時間にて
たったの160g、1000時間でも720gの耐久負荷圧の減少しかなく(下記表下から3段目)、
どんなハイグレードグリースも薄膜銅板にグリースを塗布し炉で放置しても
炭化・硬化・ヤニ化しますが、チキソグリースでは本来の姿のままです(下記表最後)。
水分を50%含んだ状態での耐久性では、10万回のストロークでも
粘性の劣化が認められず、
疑似または自然海水による銅板腐食性テストでは
通常のグリースの20倍をこえる性能を実証しています。
別に少し高性能の市販グリースを使用し、交換などのメンテナンスを良くすればいいわけなのですが、
こういったグリース箇所はほとんどメンテナンスがおろそかにされる箇所ですし、
ベアリングなどの破損・摩耗は少ない部類に入るわけですが、
これも「こだわり」と言うことでしょうね。
壊さないことを追求していったら、やはり1度だけのメンテで充分なら、
良いものが使いたくなってしまうわけです。
なお、チキソグリース(スプレーを含む)を使用する場合、
ベアリングなどに付いている元のグリースは本来、完全に抜き替えた方がいいのは当然なのですが
なかなかそうも出来ません。
僅かに残ってしまうのは仕方ないことですが、出来るだけ取り除いた方がいいでしょう。
一応、現在使用されているグリースに対しての混和は問題ないと考えられます。
自動車用としては、ほとんどがリチウム系で占められています。
シリコングリースはゴム・プラスチックがある箇所に使用され、
カルシウム系グリースは値段が安いため、シャシグリースとして使用されていましたが減少しています。
ウレア系は有機モリブデンや極圧剤と一緒に配合されて高級なタイプと言えますが、
まだ、一般的ではありません。
どうしても無理な場合は、ミックスされて潤滑しますので、本来の高性能が出ない場合もあり得ます。
金属表面に到達できない可能性があるからです。
ミックスされても、それで異常が出るわけではありませんので、
安心と言うことは言えると思います。
7.外部の物質の影響を受けず安定し、無鉱毒無公害です
あらゆる環境条件の中で常に高度に安定し、一切の重金属類は含みません。
上記の性能をそれぞれ下記に記します。
| グリースの種類 | チキソグリース | リチウム
コンプレッス |
アルミニム
コンプレッス |
ポリウレア |
| ちょう度 | 2 | 2 | 2 | 2 |
| チムケンテスト(D2509)LBS | 270kg以上 | 55kg | 50kg | 70kg |
| 4球極圧テスト(D2596)LWI−kg | >95 | 45 | 45 | 80 |
| 4球極圧テスト(D2266)=摩耗テスト
40kg1200rpm75度C−mm |
0.30 | 0.50 | 0.55 | 0.35 |
| 摩耗と摩耗度の分析テスト
SRVフリクションシュミレーターー80度C 荷重 |
1200N | − | − | − |
| 同上121度C | 900N | − | − | − |
| 摩耗(2時間50度C)
同上 |
300N:0.108 | − | − | − |
| 摩耗(1時間75度C)
同上 |
400N:0.100 | − | − | − |
| 摩耗(1時間121度C)
同上 |
300N:0.095 | − | − | − |
| 耐水性能テスト
防錆テスト(D1743) |
合格 | 合格 | − | 合格 |
| 塩水防錆テスト
1.5mil(1000分の1インチ)の腐食に要する時間 ASTM(B−117−73) |
950時間 | 48時間 | − | 48時間 |
| 25度C D217 mm/10 粘度変化
10万回(50%の水を含む) |
+5 | − | − | − |
| D1264(70度C)によるグリース損分 | 2.7 | − | − | − |
| 耐酸性テストD942−500時間
(1=80gの耐負荷圧減少) |
2 | 15 | 5 | 19 |
| 同上1000時間 | 9PSI | 劣化
測定不能 |
劣化
測定不能 |
劣化
測定不能 |
| GM9075D
薄膜銅板上での300度F炉中で 100時間放置テスト |
ペースト状
(分離変化なし) |
樹脂状
(不可) |
乾燥樹脂状
(不可) |
ワックス化
(多少は可) |
| 粘性変化テスト・B217・・・10000回攪拌、-4度C | +1 | +10 | +10 | +15 |
| 粘性変化テスト・ローリングテストD1831
資料粘性=290、66度C、100時間後 |
296
測定誤差範囲内 |
流体化 | 流体化 | 流体化 |
| 化学系 | 石油系潤滑グリース |
| 用途 | 潤滑グリース |
| 規制対象外 | LD50/LD50、ハツカネズミ経口、20000mg/kg以上皮膚接触に変化現れず |
| 製品 | WHMIS規制対象外、運送規制対象外 |
| ・形状
・NLGI硬度 |
・固形質
・グレード#2、グレード#0 |
| 比重 | 1.02 |
| タイプ | ・チキソトロピック
・非水溶性 |
| 滴下点 | 320度C以上 |
| ・引火点
・自動発火点 |
・175度C以上
・250度C以上 |
| 沸点 | 230度C以上 |
| 耐荷重特性 | 16トン/sq.cm2 |
| ポンピング温度 | −18度C以上 |
| 使用温度範囲 | −20度C−+160度C(一般用)。
他商品に+150度C−+2500度Cのタイプあり |
| ・燃焼危険物
・分解物質 ・爆発性 |
・CO2、CO、SO2
・同左 ・非爆発性 |
| ・化学的安定性
・非順応性 ・反応性 |
・化学的に安定
・酸化物質および強酸物質は避ける ・無反応性 ※非水溶性ですので、このグリースの扱いは「中性」です。
|
8.インプレッション
普段グリースを使用する箇所で、わざわざチキソグリースに交換することは、構造的にも難しく、
その箇所を分解しなければならないことが多いため、
やらないのが普通と言えます。
ただ、異音が発生したり、分解のついでの作業という場合には、一度試してみる価値はあります。
例えば、ホイールのセンターベアリング部や、セルモーターとかダイナモ(オルタネータ)のメタルベアリング部とか、
あるいは、ドライブシャフトグリースとして使用しますと、
異音が解消されたり、作動抵抗がかなり低減されたりします。
整備上の事柄ですので、本来はリビルト、新品交換をお勧めする事柄なのですがカート等ではすでに十分実績があると聞いており、特にウェットでの性能が評価されているようです。
かなり鳴りが大きく出ているドライブシャフトのブーツ修理だけの場合、
応急処置として保護目的に使用する事もあります。
最新のチキソグリースはかなり進化しているようで
鳴りの音質がかなり小さく室内から聞こえなくなったり、かなりの確率で異音そのものが解消したりする事があります。
通常の鳴き止めグリースは途中から効果が消えてしまうことを考えますと
摩耗進行の防止やグリース自体の耐久性から考えて
非常に効果的と思われます。
フタを取るとこぼれるような柔らかいグリースが使用されている箇所には0番の方を
薦めします。
こちらで試した例は、セルモーターの錆などによる作動の不具合と異音が解消されたり、ジャッキ、スチーム洗車機のユーザーの方では、業務用乾燥機に使用されておりまして充填回数が減ったことや、固化しないことが
グリース充填で作動がスムーズになったり、結構重宝しています。
インバーターエアコンの室外機のファンモータが故障したときも、
分解してローター部とベアリング部に充填しましたが、異音の発生が無くなり、ファンが停止することも無くなりまして、
とても助かりました。
本来なら、モーターを交換しなければならないのですが、
どこまで持つかテスト中です。
(結果はその後3年間フル活動でも大丈夫でした。恐るべし。)
スプレータイプの場合は、こちらで使用例が報告されています。
また、バイクのチェーンやオープンベアリングとなる部分に使用される場合などは
飛び散りにくいスティッキーグリースが良いかもしれません。
(潤滑性能はチキソグリースと同じです。)
9.通販価格
ジャバラチューブ入りでちょう度(固さ)2番と0番があリます。
チキソグリース400g=1本単位で販売しています。
0番2番ともに6825円(消費税含む)になります。
送料と代引き手数料などはこちらをご覧ください。
なお、業務用10本ケース単位での場合の販売価格は
68250円になり、送料と代引き手数料サービスになります。
0番・2番共にジャバラ容器のみで筒タイプは廃盤になりました。
なお、自動車では通常は2番で大丈夫です。
スプレーグリース250ml缶は3990円(消費税190円含む)/1本・・・岩谷製
固さは0番相当になっています。
上記商品は常時在庫しています。
なお、最新の製品をお渡ししていますので、ロットには製造年月日が記載されており、
外観のシールの色と表示などが多少変わる場合もあります。
10.柔らかくするには
2番手のチキソグリースが固いと思ったり、0番でもまだ柔らかいグリースを希望される場合は
00番がありますが、市販されていません。
まず、GRPーPLUTO808かNEW−GRPを2−5%混合して柔らかくしてご利用ください。
(実はPLUTOやNEW−GRPを入れた方が更に高性能になるのですが・・・ここだけの話です。)
2番は1番ぐらいに、0番は00番ぐらいになると思います。
なお、5%以上NEW−GRPを混合されても問題はありません。
10%程度までは高性能になりますが、それ以上混合されても性能はのびません。
一般的な混和(親和性・相性)は次の通りですが、高温下では残った元のグリースが性能的に劣っていますので
混和(親和性・相性)にマイナスの影響を及ぼします。
このためどれくらい混ざるかの目安を下記に記載します。
×のグリースは出来るだけ除去してチキソグリースだけを使用された方が良いということになります。
自動車用では混和性には問題ないと言えます。
なお通常用いられる混和安定度は
グリースの機械的安定度を見る方法の一つで
規定の混和器で10万回混和した後、
25度Cに保持して60回混和した直後のちょう度を指します。
それぞれの種類や混和性などはこちらにも記載しております。
◎混和性に問題なし
△混ざると不安定
×混合には不適
脂肪酸と有機酸を両方に持ついわゆる錯塩石けんはコンプレックスグリースと呼ばれ
チキソグリースとの混和性は良好になります。
| グリースの種類 | 適合 | 備考 |
| アルミ系金属石けん基グリース | △ | 高温に弱いので混ざると不安定だが
コンプレックスグリースは良好になるため耐荷重の必要な一部の自動車用に使用 |
| バリウム系グリース | ◎ | 親和性に問題なし |
| カルシウムステアレート系グリース | ◎ | 親和性に問題なし
自動車用に多く使われている |
| カルシウムハイドロキシ系グリース | △ | 混ざると不安定 |
| その他のカルシウム系グリース | × | |
| 非石けん基系グリース | × | ベントナイトや
シリカゲルなど |
| リチウムステアレート系グリース | △ | |
| リチウムハイドロキシ系グリース | △ | |
| その他のリチウム系グリース
リチウムコンプレックスグリース |
◎ | 自動車用に使われている |
| ポリウレア系グリース(1) | ◎ | 自動車用はこちらが使用される
脂肪族・芳香族の ジウレアなど |
| ポリウレア系グリース(2) | × | ポリウレアの種類
(トリ・テトラウレアなど) により混合不適 |